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87 路地裏での戦い②
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カルノライザーへと変身した咲へと斬りかかる佐上。
「もらったァァ!!」
その攻撃は召喚されたばかりの時に比べて遥かに速く洗練されており、一瞬だけ存在した咲の隙へと的確に差し込まれた。
「ッ……!」
と言うのも、あの時とは全く違う佐上の動きに咲は一瞬だけ気を取られてしまったのである。
しかしそこからでも避けきれる程に咲の身体能力は高く、佐上の攻撃が彼女に当たることは無かった。
「クソッなんで今のであたらねえんだよ……!?」
今のは確実に当たる軌道だっただろうと、佐上は怒りを隠せない様子でそう叫ぶ。
「いや、今のは流石に私も驚いたよ。いつの間にそこまで強くなってたんだね」
そう言いながら咲は鑑定スキルを使用して佐上の能力を確認する。
――――――
個体名:佐上 辰也
年齢:17
レベル:161
勇者適性
筋力:S
魔力:A+
耐久力:A+
精神力:A
所持スキル:『上級剣術』『中級身体能力強化』
――――――
レベルが上昇しているのはもちろん、身体能力を強化するスキルも習得しており、今の彼は召喚されたばかりの時と比べて遥かに強くなっていた。
それは紛れも無い事実である……のだが、それをもってしても通常形態の咲には及ばないのだった。
「今のはまぐれだ。そうに決まってる」
「ならもう一度やってみる?」
「調子に乗りやがって……!」
再び咲に斬りかかる佐上。しかし先ほどの彼の攻撃や鑑定によって、咲は彼が強くなった事を理解していた。
そのため彼女にはもはや隙は無く、何度攻撃した所で一度たりとも直撃することは無い。
それどころか掠ることさえなく、佐上は圧倒的な戦闘力の差を見せつけられてしまうのだった。
「う、嘘だろ……?」
「悪いけど何度攻撃しても無駄だよ。もうあんたの攻撃は見切ったから」
「く、くそっ……! そうだ、おいお前!」
佐上は何かを思いついたのか、最初に咲をつけていた少女を自身の元へと来させる。
「佐上さま、何の用でしょうか」
「よし、黙って俺の盾になれ」
「えっ……? ぐぁっ!?」
そしてその少女の頭を掴み、自らの前へと掲げた。
「佐上……!!」
「は、ははっどうだぁ!? お前が正義の味方カルノライザーなら女の子に攻撃なんて出来ないよなぁ?」
「いた……痛いです、佐上さま……!!」
佐上には余裕が無くなっており勇者適性と身体能力強化スキルによる筋力強化のことは完全に意識外にあった。
その結果、制御不能となった力で少女の頭を掴んでしまっているのである。
「あがっ……! い、いやだっ……放して……!」
少女の悲痛な叫びが辺りに響く。
その間も彼女の頭はメキメキと音を立てており、もはやいつ砕け散ってもおかしくはない状況であった。
「佐上、その手を放して! そのままじゃその子……!」
「だからなに? 俺にとってコイツらはただの道具。死んだら買い足せばいいだけなんだよ」
「佐上……!!」
「おっと、妙な動きを見せたらその瞬間にうっかり力が入り過ぎてしまうかもしれないよなぁ?」
佐上はそう言って咲を煽る。
そのせいで咲も思うように動けずにいた。
その時である。
「うん? なんだまた鐘の音か……?」
再び街の中に緊急事態を知らせる鐘の音が響き渡ったのだ。
「……今だ」
その一瞬、佐上は鐘に気を取られてしまう。
それを咲が見逃すはずもなく、彼の背後に瞬時に回り込み拳を叩きこんだ。
「がはっ……!?」
意識外からの攻撃に佐上は受け身を取ることも出来ず、そのまま吹き飛び転がっていく。
「大丈夫?」
同時に咲はその場に崩れ落ちた少女に声をかけた。
「……どうして私を助けてくれるの?」
「私がそうしたかったから……としか言えないかな」
「そう、なんだ。……ありがとう」
少女は感謝の言葉を絞り出す。
「あぁ、クソがッ!」
そのすぐ後、起き上がった佐上は咲と少女のいる方へと向かって歩き始めた。
「盾すら満足にできねえとか、お前らにはもう何の価値もねえじゃねえか……!」
「佐上さま……ごめんなさい……」
「今更謝罪とかどうだっていいんだよ!!」
目に見えて怒り狂っている佐上は剣を構えたまま少女へと近づいて行く。
こうなってしまってはもう、いつ彼が少女に斬りかかってもおかしくはないだろう。
……だが、その時は訪れなかった。
「危ない!」
咲は瞬時に少女を庇う。
その瞬間、落雷が二人の目の前……ちょうど佐上がいた場所へと落ちたのだった。
いくら勇者としての高い適性があったとしても、彼は所詮ただの人間である。上位魔法をも超える威力を持つ落雷が直撃すればただでは済まないだろう。
現に、二人の目の前にはつい今の今まで佐上だったであろう人型の炭が転がっていた。
「……」
そんなとんでもないことが目の前で起こっている訳だが、咲の視線はまったく別の所に向いていた。
「……あれが、魔然王」
その視線は港の上空に浮いている人型の物体へと向いている。
それを見た咲は無意識的に魔然王の名を口にしていた。
なにしろその人型物体は明らかに異常なオーラを纏っていたのである。
人知を超えた何か。そう形容するしかない正真正銘の怪物を前にした威圧感を、彼女は全身で感じていたのだった。
「もらったァァ!!」
その攻撃は召喚されたばかりの時に比べて遥かに速く洗練されており、一瞬だけ存在した咲の隙へと的確に差し込まれた。
「ッ……!」
と言うのも、あの時とは全く違う佐上の動きに咲は一瞬だけ気を取られてしまったのである。
しかしそこからでも避けきれる程に咲の身体能力は高く、佐上の攻撃が彼女に当たることは無かった。
「クソッなんで今のであたらねえんだよ……!?」
今のは確実に当たる軌道だっただろうと、佐上は怒りを隠せない様子でそう叫ぶ。
「いや、今のは流石に私も驚いたよ。いつの間にそこまで強くなってたんだね」
そう言いながら咲は鑑定スキルを使用して佐上の能力を確認する。
――――――
個体名:佐上 辰也
年齢:17
レベル:161
勇者適性
筋力:S
魔力:A+
耐久力:A+
精神力:A
所持スキル:『上級剣術』『中級身体能力強化』
――――――
レベルが上昇しているのはもちろん、身体能力を強化するスキルも習得しており、今の彼は召喚されたばかりの時と比べて遥かに強くなっていた。
それは紛れも無い事実である……のだが、それをもってしても通常形態の咲には及ばないのだった。
「今のはまぐれだ。そうに決まってる」
「ならもう一度やってみる?」
「調子に乗りやがって……!」
再び咲に斬りかかる佐上。しかし先ほどの彼の攻撃や鑑定によって、咲は彼が強くなった事を理解していた。
そのため彼女にはもはや隙は無く、何度攻撃した所で一度たりとも直撃することは無い。
それどころか掠ることさえなく、佐上は圧倒的な戦闘力の差を見せつけられてしまうのだった。
「う、嘘だろ……?」
「悪いけど何度攻撃しても無駄だよ。もうあんたの攻撃は見切ったから」
「く、くそっ……! そうだ、おいお前!」
佐上は何かを思いついたのか、最初に咲をつけていた少女を自身の元へと来させる。
「佐上さま、何の用でしょうか」
「よし、黙って俺の盾になれ」
「えっ……? ぐぁっ!?」
そしてその少女の頭を掴み、自らの前へと掲げた。
「佐上……!!」
「は、ははっどうだぁ!? お前が正義の味方カルノライザーなら女の子に攻撃なんて出来ないよなぁ?」
「いた……痛いです、佐上さま……!!」
佐上には余裕が無くなっており勇者適性と身体能力強化スキルによる筋力強化のことは完全に意識外にあった。
その結果、制御不能となった力で少女の頭を掴んでしまっているのである。
「あがっ……! い、いやだっ……放して……!」
少女の悲痛な叫びが辺りに響く。
その間も彼女の頭はメキメキと音を立てており、もはやいつ砕け散ってもおかしくはない状況であった。
「佐上、その手を放して! そのままじゃその子……!」
「だからなに? 俺にとってコイツらはただの道具。死んだら買い足せばいいだけなんだよ」
「佐上……!!」
「おっと、妙な動きを見せたらその瞬間にうっかり力が入り過ぎてしまうかもしれないよなぁ?」
佐上はそう言って咲を煽る。
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その時である。
「うん? なんだまた鐘の音か……?」
再び街の中に緊急事態を知らせる鐘の音が響き渡ったのだ。
「……今だ」
その一瞬、佐上は鐘に気を取られてしまう。
それを咲が見逃すはずもなく、彼の背後に瞬時に回り込み拳を叩きこんだ。
「がはっ……!?」
意識外からの攻撃に佐上は受け身を取ることも出来ず、そのまま吹き飛び転がっていく。
「大丈夫?」
同時に咲はその場に崩れ落ちた少女に声をかけた。
「……どうして私を助けてくれるの?」
「私がそうしたかったから……としか言えないかな」
「そう、なんだ。……ありがとう」
少女は感謝の言葉を絞り出す。
「あぁ、クソがッ!」
そのすぐ後、起き上がった佐上は咲と少女のいる方へと向かって歩き始めた。
「盾すら満足にできねえとか、お前らにはもう何の価値もねえじゃねえか……!」
「佐上さま……ごめんなさい……」
「今更謝罪とかどうだっていいんだよ!!」
目に見えて怒り狂っている佐上は剣を構えたまま少女へと近づいて行く。
こうなってしまってはもう、いつ彼が少女に斬りかかってもおかしくはないだろう。
……だが、その時は訪れなかった。
「危ない!」
咲は瞬時に少女を庇う。
その瞬間、落雷が二人の目の前……ちょうど佐上がいた場所へと落ちたのだった。
いくら勇者としての高い適性があったとしても、彼は所詮ただの人間である。上位魔法をも超える威力を持つ落雷が直撃すればただでは済まないだろう。
現に、二人の目の前にはつい今の今まで佐上だったであろう人型の炭が転がっていた。
「……」
そんなとんでもないことが目の前で起こっている訳だが、咲の視線はまったく別の所に向いていた。
「……あれが、魔然王」
その視線は港の上空に浮いている人型の物体へと向いている。
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