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第二章『巡り合う運命』
26 ルーシオの判断
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「……何故、ここにいるのです」
『妙な事を言う。何故もなにも、ここイダロン帝国は我々の国だろう』
どうやらコイツらとルーシオは面識があるようだ。
そして、あまり良い関係とは言い難い雰囲気でもあった……。
「……そう言う事ではありません。貴方たちはしばらくの間、一切の活動を行ってはいなかったはずですが」
『ふむ、そうだな。確かにその通りだ。何しろ我々はナンバー44の居場所を見失ってしまったのだからね』
「その名は捨てました。今の私は……ルーシオです」
『ほう? たかが人の真似事であるお前が、名を持ったと?』
無機質な人型機械は淡々と、それでいてどこか悪意を感じる声でそう言った。
正直コイツの言葉もルーシオの過去も気になることは多いが、これ以上は……彼にとって不味い気がする。
ここは一旦退くべきだろう。
少なくともこちらにはプレイヤーが二人いるし、ルーシオも相当な実力者だ。
逃げるだけであればまず問題は無いだろう。
「ルーシオ、ここは一旦退きましょう」
「……すみません。私を置いて、メイデンを連れて先に王国へ戻ってください」
だが、ルーシオは一人残ることを選んだのだった。
「それは……どうしてです? 少なくとも私たち3人であれば、問題なく逃げきれるでしょう?」
「……確かにそうかもしれません。ですが、彼らの目的は私なのです。魔王を倒した今、君をこれ以上私の過去に巻き込むわけにはいきません」
「今更そんなこと……。それならどうして、私をパーティに誘ったんですか!」
彼が意図的に俺と距離を置こうとしているのはわかる。
だが、それならどうして俺とパーティを組んだのか。
たった数日の短い間だったが、彼が俺にただならぬ思いを抱いているのはわかりきっていた。
なのに、今になってそれを全て無かったことになんて……。
「ステラ、君に初めて会った時から私は……いえ、何でもありません。私の方からパーティに誘っておいてこんなことになってしまったことを……謝罪します」
「ルーシオ!?」
気付けば俺は彼の攻撃によって勢いよく吹き飛ばされていた。
「あらっ私もなのね」
同様にメイデンも俺と同じ方向へと吹き飛ばされている。
これはプレイヤーとしての耐久を前提とした雑な方法だったが、今この状況で戦線から離脱させるのならこれ以外にいい方法は無いだろう。
だがそれは、彼一人だけがこの場に残るのだと言う証明でもあった。
「二人は王国に戻ってください。そして、私の事は……どうか忘れてください」
「ルーシオ!!」
フライで彼の元に戻ろうとしたものの、あまりにも勢いよく吹き飛ばされているせいでフライの飛行速度程度では相殺することが出来なかった。
ジェット機のような魔導機のバックパックがあれば話は違ったのかもしれないが、生憎とそんな便利なものを今の俺は持ち合わせていない。
「ぐぇっ」
「よっ……と」
そして十数秒後、俺たちは落下した。
「貴方、受け身とかは取らないのかしら」
「仕方ないだろ……こんなふうに落っこちたのは初めてなんだから」
地面に埋まっている下半身を掘り起こしながら、呆れた表情のメイデンにそう言う。
まあそれは良い。今はそんなことを気にしている場合ではないんだ。
「やっぱりルーシオを放ってはおけない。俺は、あそこに戻ろうと思う」
「あら? あんなにも感動的な今生の別れを演出されていたのに?」
「それでもだ。説得でもなんでもしてやる。怒られたって、失望されたっていいさ。同じ冒険者パーティとして、このまま放っておくなんて出来ないんだよ……!」
「あら、あらあら……」
メイデンはニヤニヤとしているが、これはそう言ったものでは無い。
そもそも今はそう言う気分では無いし、彼女の雰囲気に飲みこまれてしまえばそれこそ思うツボだ。
「でも、貴方は私を任されているのでしょう?」
「……俺を引き留めるのか?」
確かにルーシオは俺に彼女を任せたうえで、一人あの場に残ったのだ。
このまま彼女を放棄すれば彼との約束すら破ることになってしまう。
それでも俺は……それこそ、彼女を倒してでも彼の元に戻る。
「いいえ、そうではないわ。……むしろ、私も協力してあげると言ったら?」
「本当に良いのか? あの人型機械がどんな存在なのかも、どれだけの強さなのかもわからないんだぞ」
「ええ。だって考えてちょうだい? 憧れのランカーと、こうして共に戦える機会なんてそうそうないのよ?」
彼女の表情は相変わらずミステリアスで、心情が読めないままだった。
だが、その言葉に嘘は無いと……それだけは確信できた。
「そうか……なら、背中は任せた」
状況が状況とは言え、これは流石に少々臭すぎる台詞だったかもしれないが……。
「ふふっ、任せてちょうだい。貴方の背中、完璧に守り抜いて見せるわ」
想定通り、メイデンは楽しそうにそう返してきた。
ロープレ好きな彼女ならばきっとこの方がテンションが上がると思っていたが、それは正しかったようだ。
「それじゃあ、行こうか」
「待ってちょうだい」
「何だ?」
「私、フライを使えないのよ」
……完全に失念していたが、そう言えば彼女は戦士系のキャラだった。
「じゃ、じゃあ……俺の上に乗ってくれ」
「あら、こんなに小さな女の子に乗られたい変態だったのかしら」
「違う! ……見ればわかるだろ」
彼女の前でしゃがみ、おんぶする形で俺の背中に乗ってもらった。
「それじゃあ、行くぞ」
「ふふっ、落とさないでちょうだいね? それと、あまり変な所は触らないでもらいたいわ。その、敏感な所もあるから……なんて」
「……はいはい、わかったわかった。ほら、飛ぶからきちんと掴まっていてくれ」
出鼻はくじかれるし、どこまで冗談なのかもわからないし、とにかく彼女には振り回されてばかりだ。
だが、それも今は我慢。
急いで彼の元へと向かうしよう。
『妙な事を言う。何故もなにも、ここイダロン帝国は我々の国だろう』
どうやらコイツらとルーシオは面識があるようだ。
そして、あまり良い関係とは言い難い雰囲気でもあった……。
「……そう言う事ではありません。貴方たちはしばらくの間、一切の活動を行ってはいなかったはずですが」
『ふむ、そうだな。確かにその通りだ。何しろ我々はナンバー44の居場所を見失ってしまったのだからね』
「その名は捨てました。今の私は……ルーシオです」
『ほう? たかが人の真似事であるお前が、名を持ったと?』
無機質な人型機械は淡々と、それでいてどこか悪意を感じる声でそう言った。
正直コイツの言葉もルーシオの過去も気になることは多いが、これ以上は……彼にとって不味い気がする。
ここは一旦退くべきだろう。
少なくともこちらにはプレイヤーが二人いるし、ルーシオも相当な実力者だ。
逃げるだけであればまず問題は無いだろう。
「ルーシオ、ここは一旦退きましょう」
「……すみません。私を置いて、メイデンを連れて先に王国へ戻ってください」
だが、ルーシオは一人残ることを選んだのだった。
「それは……どうしてです? 少なくとも私たち3人であれば、問題なく逃げきれるでしょう?」
「……確かにそうかもしれません。ですが、彼らの目的は私なのです。魔王を倒した今、君をこれ以上私の過去に巻き込むわけにはいきません」
「今更そんなこと……。それならどうして、私をパーティに誘ったんですか!」
彼が意図的に俺と距離を置こうとしているのはわかる。
だが、それならどうして俺とパーティを組んだのか。
たった数日の短い間だったが、彼が俺にただならぬ思いを抱いているのはわかりきっていた。
なのに、今になってそれを全て無かったことになんて……。
「ステラ、君に初めて会った時から私は……いえ、何でもありません。私の方からパーティに誘っておいてこんなことになってしまったことを……謝罪します」
「ルーシオ!?」
気付けば俺は彼の攻撃によって勢いよく吹き飛ばされていた。
「あらっ私もなのね」
同様にメイデンも俺と同じ方向へと吹き飛ばされている。
これはプレイヤーとしての耐久を前提とした雑な方法だったが、今この状況で戦線から離脱させるのならこれ以外にいい方法は無いだろう。
だがそれは、彼一人だけがこの場に残るのだと言う証明でもあった。
「二人は王国に戻ってください。そして、私の事は……どうか忘れてください」
「ルーシオ!!」
フライで彼の元に戻ろうとしたものの、あまりにも勢いよく吹き飛ばされているせいでフライの飛行速度程度では相殺することが出来なかった。
ジェット機のような魔導機のバックパックがあれば話は違ったのかもしれないが、生憎とそんな便利なものを今の俺は持ち合わせていない。
「ぐぇっ」
「よっ……と」
そして十数秒後、俺たちは落下した。
「貴方、受け身とかは取らないのかしら」
「仕方ないだろ……こんなふうに落っこちたのは初めてなんだから」
地面に埋まっている下半身を掘り起こしながら、呆れた表情のメイデンにそう言う。
まあそれは良い。今はそんなことを気にしている場合ではないんだ。
「やっぱりルーシオを放ってはおけない。俺は、あそこに戻ろうと思う」
「あら? あんなにも感動的な今生の別れを演出されていたのに?」
「それでもだ。説得でもなんでもしてやる。怒られたって、失望されたっていいさ。同じ冒険者パーティとして、このまま放っておくなんて出来ないんだよ……!」
「あら、あらあら……」
メイデンはニヤニヤとしているが、これはそう言ったものでは無い。
そもそも今はそう言う気分では無いし、彼女の雰囲気に飲みこまれてしまえばそれこそ思うツボだ。
「でも、貴方は私を任されているのでしょう?」
「……俺を引き留めるのか?」
確かにルーシオは俺に彼女を任せたうえで、一人あの場に残ったのだ。
このまま彼女を放棄すれば彼との約束すら破ることになってしまう。
それでも俺は……それこそ、彼女を倒してでも彼の元に戻る。
「いいえ、そうではないわ。……むしろ、私も協力してあげると言ったら?」
「本当に良いのか? あの人型機械がどんな存在なのかも、どれだけの強さなのかもわからないんだぞ」
「ええ。だって考えてちょうだい? 憧れのランカーと、こうして共に戦える機会なんてそうそうないのよ?」
彼女の表情は相変わらずミステリアスで、心情が読めないままだった。
だが、その言葉に嘘は無いと……それだけは確信できた。
「そうか……なら、背中は任せた」
状況が状況とは言え、これは流石に少々臭すぎる台詞だったかもしれないが……。
「ふふっ、任せてちょうだい。貴方の背中、完璧に守り抜いて見せるわ」
想定通り、メイデンは楽しそうにそう返してきた。
ロープレ好きな彼女ならばきっとこの方がテンションが上がると思っていたが、それは正しかったようだ。
「それじゃあ、行こうか」
「待ってちょうだい」
「何だ?」
「私、フライを使えないのよ」
……完全に失念していたが、そう言えば彼女は戦士系のキャラだった。
「じゃ、じゃあ……俺の上に乗ってくれ」
「あら、こんなに小さな女の子に乗られたい変態だったのかしら」
「違う! ……見ればわかるだろ」
彼女の前でしゃがみ、おんぶする形で俺の背中に乗ってもらった。
「それじゃあ、行くぞ」
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「……はいはい、わかったわかった。ほら、飛ぶからきちんと掴まっていてくれ」
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