MMOやり込みおっさん、異世界に転移したらハイエルフの美少女になっていたので心機一転、第二の人生を謳歌するようです。

遠野紫

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第二章『巡り合う運命』

29 チーム分け

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 アーロンの説明にあった場所へと向かうと、そこにはもう既に何人もの冒険者がいた。

「おお、アンタが噂の魔王殺しか!」

 そんな中、俺を見つけた一人が俺の方へと近づいてくる。

 彼の言った魔王殺し……それが俺の二つ名だった。
 その名の通り、魔王を討伐したことでそう呼ばれるようになったのだ。
 二つ名なんてその存在自体がカッコいいものだが、いざ実際に呼ばれると……なんだかむず痒いながらも嬉しさがあった。

 とは言っても、魔王を殺した功績は本来俺だけのものでは無いんだけどな……。
 結局は最終的に魔王を倒した俺の名だけがどんどん大きくなっていって、あの二人の英雄の名はどれだけ説明しても一切語られなかった。
 そんなの、あまりにも悲し過ぎるだろ……。

「おい、てめえが魔王殺しか!!」

 その時、そう叫ぶ一人の剣士が俺の前に現れた。
 
「……俺に何か用か?」

 冒険者はゴロツキやチンピラの集まりとは言うが、だとしても群を抜いてこの男は態度が悪かった。
 だから俺も相応の態度で出る。
 こういう輩には舐められたら終わりなのだ。

「魔王を討伐したとかなんとかで良い気になりやがってよぉ……こんな女ごときが魔王を倒したとか、俺は信じてねえからな! あんなの幻惑魔法か何かに決まってやがる……!」

「お前、魔王殺し殿になんてことを!」

「あ゛ぁ……?」

 一触即発の気配……これ以上は不味いか。

「まあまあ、とりあえず落ち着いて……」

「うるせえ!!」

 そう叫ぶと彼はそのまま向こうへと去って行ってしまった。

「はぁ……またアイツは。申し訳ない。彼の代わりに謝罪しよう」

「……俺、嫌われているんですかね」

「とんでもない。王国の人間は皆、魔王殺し殿のことを英雄として扱っていますとも。ただ彼は昔から自分が魔王を倒すんだと意気込んでいて……」

 ああ、そう言う事か。
 俺が彼の目標を奪ってしまったのだろう。
 そして宙ぶらりんになったまま自暴自棄に……。

「一応魔王殺し殿と彼は別の班になるはずだから安心していただきたい。とは言え、共にダンジョンの探索を行う者同士なのだから、もう少し柔和になってはくれないものだろうか」
 
 彼の言うように俺と彼は別の班みたいだから、探索中に今みたいなことが起こることはひとまず考えなくてよさそうだな。

 それにしても班分けか……。
 ゲーム内においてもダンジョン探索に同時に挑める人数は決まっていたが、この世界においてはより顕著に人数が重要なものとなっていた。
 と言うのもこのダンジョン、一定人数が一定範囲内にいると強力な魔物が出てきやすいらしいのだ。

 それを防ぐために探索に挑む者たちをいくつもの班に分け、それぞれある程度の距離を保ちながら探索を行っていると言う訳だ。
 近すぎず遠すぎずの距離……もしもの際には駆け付けられる程の距離感だな。

 またそうなってくると班のメンバー構成もかなり重要になってくる。
 基本的には六人一組の班単位で行動をするわけだからな。
 魔術師のみの六人チームとか、回復術師だけの六人チームとか、そう言うふざけた組み合わせにはならないようにしているらしい。まあ当然か。

 んで、俺の班。
 同パーティのメンバーは連携の関係上優先的に組み分けされるらしく、メイデンは俺と同じ班だ。
 となると残りは四人だ。
 そしてどうやらこの四人は同じパーティのようだった。

「初めまして、魔王殺し様。今回の探索、我ら『紅の華くれないのはな』が同行させていただきますね」

「えっと……普通にステラで構わないよ」

「それではステラ様。私は紅の華リーダーのアイシャです。どうかお見知りおきを」

 大盾を背負っている紅い髪が特徴的な彼女はリーダーと言うだけあって結構しっかりしてそうだった。
 まだ十代後半くらいだろうに凄いな。
 
「じゃあ次は私ね! 私はマリン、魔術師よ!」

 青い短髪に青い瞳が目立つ彼女は元気いっぱいにそう言った。
 まさに元気はつらつと言った感じだ。恐らくパーティのムードメーカーなんだろうな。

「んじゃ、次は俺だなあぁっ……と。ふぅ、セーフ。で、なんだっけか? ああそうだ。自己紹介だったな。俺はルーク、見ての通り戦士だぜ」

 背中に背負った大剣が重いのか、銀髪の彼は少しよろめきながら自己紹介を行っていた。
 あんな状態で探索に出て本当に大丈夫だろうか……?

「そんな目で見ないでくれよ。これでもこの剣は結構使い込んでいるんだぜ?」

「そうなのか?」

「ああ、クエスト中は身体能力強化のスキルを使うからしっかり扱えるんだ」

 なるほど、そう言う事か。
 それなら確かにあれほどの大剣でも使いこなせるのかもしれない。
 ゲームだとそもそも装備するために必須ステータスが設定されていたから、後から対応させると言うのは完全に盲点だったな。

「最後は僕だね。えっと、僕はローリエ。神官です……と言ってもまだ新人ですけど。それでもいつかは、偉大なる大神官様のようになるのが夢なんです……!」

 長い金髪が目を引く彼は最初は自信なさげな声で自己紹介をしていたが、夢を語る時にはもうこれでもかってくらいに目を輝かせながらハキハキとした声で宣言していた。

 とまあこんな感じで個性豊かなメンバーが揃っている紅の華だが、その構成自体はまさにお手本と言っていいものだろう。
 アイシャはタンクとして皆を守り、ルークは戦士として攻撃を行う。
 そして魔術師のマリンが援護を行い、神官のローリエが回復を担うのだ。
 
 バランスが良く、完璧としか言えない布陣だった。
 彼女らとであればきっとダンジョン探索も問題なく進むだろう。
 俺たちが本気を出すまでも無いかもしれないな。
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