28 / 81
第二章『巡り合う運命』
28 ダンジョンの探索クエスト
しおりを挟む
王国に帰って来てから気付けばもう十日程が経過していた。
あれからずっとルーシオについて色々と情報を集めてはいたものの、残念ながらこれと言った手がかりは無かった。
「今日もお疲れさまね」
そろそろ日が暮れるため泊っている宿の部屋に戻ると……メイデンの声が聞こえてきた。
アーロンは彼女の部屋も手配してくれたはずなのだが、どういう訳か彼女はずっと俺の部屋に入り浸っているのだ。
「自分の部屋に戻らないのか?」
「だって未知の異世界に召喚されたうえに、部屋でひとりぼっちだなんて……心細いじゃない?」
「それ、今までスラム街の頂点にいた者が言うセリフかよ」
この世界に召喚されてからは見知った者もおらず、彼女はずっと一人だった。それは事実だ。
だが、そんなことなど関係なく彼女はスラム街での戦いの生活を謳歌していた。
そのため、今更そんなラブコメ染みたことを言ったところでキュンと来たりなんかしない。
「ふふっ残念。もう少し焦ったりしてくれるかと思ったのだけれど」
「生憎と、だんだん慣れてきたからな」
「そうなの? ふーん、つまらないわね。それなら……よいしょ」
「メイデン?」
言葉だけではもう勝てないことを理解したのか、彼女は実力行使に出たようだった。
簡単に言えば、薄着のまま俺の膝の上に乗って来たのである。
チョコンと座っているその姿はとても可愛らしく、それでいて見た目の年齢には不相応な程の色気があった。
だが、見た目に騙されるな。コイツに隙を見せたら終わりだ。
「いくら慣れてきたと言っても、これは流石に刺激が強いでしょう?」
メイデンは俺の大きい胸に顔をすりすりと擦りつけてくる。
そのしぐさが可愛いのなんの。
いや、待て待て落ち着け。耐えろ俺。
「おいおい、まさか。俺の中身はそれなりの年齢だぞ。君みたいな少女になんか興味は無いよ」
「そう……」
メイデンはつまらなそうな様子で俺の膝から降りた。
よかった。これ以上は不味かった。
……いや、俺はロリコンでは無いけどね?
結局、そのあとも彼女が自分の部屋に戻ることは無く、今日も彼女と共に寝ることになってしまったのだった。
そして次の日。
明朝にアーロンが俺の部屋を訪ねてきた。
なんでも、ダンジョンの探索クエストの人員が足りていないらしいのだ。
ダンジョンはネワオンにもあった概念で、入るたびにその構造や入手アイテム、出現する敵が変わるものだった。
ただこの世界のダンジョンは俺の知るそれとは違って構造や敵などのランダム性は無いらしい。
んで、そのダンジョンを攻略して手に入るアイテムや装備は強力なものが多いため、国家事業として定期的にクエストを出しているのだと言う。
またこの世界のダンジョンは内部の魔物をある程度間引きしないと外に漏れ出て来てしまうらしく、それらを狩ることで初心者冒険者の稼ぎを維持したり練度を上げさせたりしているようだった。
要はダンジョンの探索クエストは良いことずくめと言う事だ。
しかし、今は少し状況が違った。
と言うのも、魔王の復活によって魔物の活動が活発になっているらしく、多くの冒険者がそれらの魔物の討伐に駆り出されているらしいのだ。
その結果、ダンジョン内の魔物の間引きにまで手が回らず今に至ると。
「お願いしますステラさん! いつもいつも面倒事を押し付けているみたいで申し訳ないんですけど、ダンジョンの探索クエストに参加していただけませんか!!」
「良いですよ。お受けします」
「えっ、良いんですか!? 本当の本当に!?」
「はい。これに関しては私も無関係では無いですし」
正直なところ、これに関しては見て見ぬふりは出来なかった。
ダンジョンから魔物が溢れれば人の往来は減り、王国での産業や商売にもダメージが入ってしまう。
そうなれば待っているのは国の治安の悪化。そして最悪の場合、イダロン帝国のように……。
いや、最悪な予想はやめておこう。
そうならないために、今から対策をする必要があるのだ。
「それなら私も同行するわね。同じパーティの仲間だもの」
「助かるよ、メイデン」
「それでは、早速クエストについてお伝えしますね!」
アーロンはカバンに入れていたクエスト依頼書を取り出して説明を始めた。
……さては、最初から何としてでも俺たちにダンジョン探索のクエストを受けさせる気だったな?
あれからずっとルーシオについて色々と情報を集めてはいたものの、残念ながらこれと言った手がかりは無かった。
「今日もお疲れさまね」
そろそろ日が暮れるため泊っている宿の部屋に戻ると……メイデンの声が聞こえてきた。
アーロンは彼女の部屋も手配してくれたはずなのだが、どういう訳か彼女はずっと俺の部屋に入り浸っているのだ。
「自分の部屋に戻らないのか?」
「だって未知の異世界に召喚されたうえに、部屋でひとりぼっちだなんて……心細いじゃない?」
「それ、今までスラム街の頂点にいた者が言うセリフかよ」
この世界に召喚されてからは見知った者もおらず、彼女はずっと一人だった。それは事実だ。
だが、そんなことなど関係なく彼女はスラム街での戦いの生活を謳歌していた。
そのため、今更そんなラブコメ染みたことを言ったところでキュンと来たりなんかしない。
「ふふっ残念。もう少し焦ったりしてくれるかと思ったのだけれど」
「生憎と、だんだん慣れてきたからな」
「そうなの? ふーん、つまらないわね。それなら……よいしょ」
「メイデン?」
言葉だけではもう勝てないことを理解したのか、彼女は実力行使に出たようだった。
簡単に言えば、薄着のまま俺の膝の上に乗って来たのである。
チョコンと座っているその姿はとても可愛らしく、それでいて見た目の年齢には不相応な程の色気があった。
だが、見た目に騙されるな。コイツに隙を見せたら終わりだ。
「いくら慣れてきたと言っても、これは流石に刺激が強いでしょう?」
メイデンは俺の大きい胸に顔をすりすりと擦りつけてくる。
そのしぐさが可愛いのなんの。
いや、待て待て落ち着け。耐えろ俺。
「おいおい、まさか。俺の中身はそれなりの年齢だぞ。君みたいな少女になんか興味は無いよ」
「そう……」
メイデンはつまらなそうな様子で俺の膝から降りた。
よかった。これ以上は不味かった。
……いや、俺はロリコンでは無いけどね?
結局、そのあとも彼女が自分の部屋に戻ることは無く、今日も彼女と共に寝ることになってしまったのだった。
そして次の日。
明朝にアーロンが俺の部屋を訪ねてきた。
なんでも、ダンジョンの探索クエストの人員が足りていないらしいのだ。
ダンジョンはネワオンにもあった概念で、入るたびにその構造や入手アイテム、出現する敵が変わるものだった。
ただこの世界のダンジョンは俺の知るそれとは違って構造や敵などのランダム性は無いらしい。
んで、そのダンジョンを攻略して手に入るアイテムや装備は強力なものが多いため、国家事業として定期的にクエストを出しているのだと言う。
またこの世界のダンジョンは内部の魔物をある程度間引きしないと外に漏れ出て来てしまうらしく、それらを狩ることで初心者冒険者の稼ぎを維持したり練度を上げさせたりしているようだった。
要はダンジョンの探索クエストは良いことずくめと言う事だ。
しかし、今は少し状況が違った。
と言うのも、魔王の復活によって魔物の活動が活発になっているらしく、多くの冒険者がそれらの魔物の討伐に駆り出されているらしいのだ。
その結果、ダンジョン内の魔物の間引きにまで手が回らず今に至ると。
「お願いしますステラさん! いつもいつも面倒事を押し付けているみたいで申し訳ないんですけど、ダンジョンの探索クエストに参加していただけませんか!!」
「良いですよ。お受けします」
「えっ、良いんですか!? 本当の本当に!?」
「はい。これに関しては私も無関係では無いですし」
正直なところ、これに関しては見て見ぬふりは出来なかった。
ダンジョンから魔物が溢れれば人の往来は減り、王国での産業や商売にもダメージが入ってしまう。
そうなれば待っているのは国の治安の悪化。そして最悪の場合、イダロン帝国のように……。
いや、最悪な予想はやめておこう。
そうならないために、今から対策をする必要があるのだ。
「それなら私も同行するわね。同じパーティの仲間だもの」
「助かるよ、メイデン」
「それでは、早速クエストについてお伝えしますね!」
アーロンはカバンに入れていたクエスト依頼書を取り出して説明を始めた。
……さては、最初から何としてでも俺たちにダンジョン探索のクエストを受けさせる気だったな?
34
あなたにおすすめの小説
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います
長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。
しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。
途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる