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クラス転移と外れスキル
02 戦闘訓練
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やあ。
俺は今、独房にぶち込まれているよ。
おっと勘違いしないでいただきたい。
別に何か罪を犯したってわけじゃあねえんだ。
あのあと、この世界のこととか魔王討伐のこととかを教えられた俺たちはグループごとにしばらく滞在するための部屋へと案内されたんだが……。
それがこれってわけよ。
なんせ俺は最低グレードだからな。
扱いや待遇も最低グレードってわけやね。
にしては、えらく落ち着いているじゃないかって?
そりゃ外れスキルを貰うのは三回目だからね。
慣れたよ。
それに、今の俺には持ち込んだアイテムが大量にある。
何回目かの召喚時に手に入れたアイテムストレージ能力がもう便利で仕方がない。
ほら見てくれ、高級シルクのベッドにふかふか枕、着心地最高のパジャマまである。
おまけにお高めの果物なんか用意すれば、あっという間に最高のくつろぎ空間の出来上がりだ。
魔法を使えば空調なんかも整備できるし、風呂魔法なんてものもある。
もはや俺にできないことはないのだ。
とまあそんな感じで、俺の異世界生活は優雅な独房ライフと共に始まったのだった。
◇◇◇◇
召喚された勇者は戦闘訓練を受けることになっているらしい。
なので当然、俺も参加することになっている。
なんでも、最低限戦えるようになるまではこの国の騎士団が訓練をしてくれるらしい。
いくら強力なスキルがあるとは言え、いきなり放り出したら魔王討伐とか到底無理だろうからね。
とは言え……正直、退屈だ。
言ってしまえば俺は強くてニューゲームを繰り返している身。
レベルと装備をそのままに、何度も世界を救っているのだ。
となればどうよ。
確かに騎士団の人たちは強いけど、俺にとっては赤子も同然。
もはや生物として圧倒的なまでに強化されている俺の肉体には傷一つ付けることだってできないだろう。
そんなのを相手に、訓練になんてなるはずもない。
せっかく異世界に召喚されたと言うのに、ただひたすら退屈な日々を送るハメになっていた。
そしてそれはエルシーちゃんも同じだろう。
彼女もまた、とんでもなく強い存在だ。
どれくらい強いかって言うと、他に召喚された勇者が手も足も出ないような魔王を軽くワンパンしていたくらいには強い。
驚いたよね。
俺に匹敵するレベルの存在が他にもいたんだってなったもん。
どうやら彼女、かつて存在した「始原の龍アマデウス」とか言うとんでもドラゴンの現身らしい。
まあ、自称ではあるけど。
でも嘘ではないと思うのよ俺。
でないとあれだけの強さに説明つかないし。
そんな存在が、まさか別世界の俺の彼女になってるなんてね。
世の中、何が起こるか分からないもんすわ。
「おい、そこ。何をサボっている」
おっといけね。
適当に隅でくねくねしていたのがバレちまった。
「いや、お前は最低グレードの……なら構わん。勝手にしろ」
えぇ……。
期待していないにしたって、もう少しこう……なんかあるだろ。
結局、外れスキルを掴まされた俺と言う存在自体がこの国にとって厄介者というかどうでもいいものなんだろうな。
「おい巧ぃ。どうしたんだそんな端っこでよぉ」
うわ面倒なのが来た。
訓練によって、より一層自分の強さを理解して有頂天になっている小林だ。
ダル絡みとかされたら俺の怒りも思わず有頂天になってしまう。
「聞いたぜ? お前、訓練もまともに受けてないんだってなぁ。ま、仕方ねえよな! お前の外れスキルじゃ魔王討伐どころか魔物と戦うことさえ難しいんだからよぉ!」
うーん、案の定とも言うべきダル絡み。
とは言え、俺のスキルが外れスキルだということは紛れもない事実なので今だけは好きにさせておこう。
俺と小林の間には天と地ほどの差があるってことが、どうせ実戦で分かるんだから。
「あぁん? 気に食わねえなぁその態度。俺は剣聖だぞ。能力値だってクラスで一番だ。いや、それどころじゃねぇ。既に騎士団のほとんどはぶっ倒してんだぞ俺はよぉ! なのにどうしてお前はそう平然としてやがる。他の奴らは皆、俺を怖がって機嫌を取ろうとしてんだ。力を持たなかったばかりに惨めにな。だから、お前もそうあるべきだろうが!」
だいぶ滅茶苦茶な理屈で怒鳴られた気がする。
まあ、自分を最強だと思っている彼からしたら俺の態度はあまり気分が良くないものなのかもしれないけどさ。
でも俺、別にお前のこと怖くはないし。
「はぁ……いいぜ、だったら分からせてやる。俺に逆らったらどうなるかってなぁ!!」
訓練用の木刀を振り上げる小林。
うん、遅いね。
その程度で俺に攻撃が当たるわけないじょのいこ。
――ブンッ
「んなっ……!?」
「おっと、偶然避けられちゃった」
もちろん嘘。
けど、あれだけ好き放題言っていたわけだし俺も少しくらいおちょくらせてもらうよ。
「て、てめぇ!!」
――ブゥンッブンッブゥンッ
すかさず攻撃を繰り返す小林だが、そのすべてが空を切るのみ。
最低限の動きだけで避ける俺に、一度たりとも当てることができなかった。
「はぁ……はぁ……おかしいだろ! なんで、テメェなんかの能力値で俺の攻撃が避けられんだよ!!」
「さあて、なんででしょうね?」
「ふ、ふざけやがって……!!」
小林は懲りずにもう一度剣を振り上げた。
いいだろう、そっちがその気ならこのまま満足いくまで避け続けても……うん?
――スッ
一瞬、彼の背後でエルシーちゃんが剣を構えているのが見えた。
……不味い!
「避けろ、小林!!」
「ぁ゛っ!?」
――ガシッ
咄嗟に小林の服を掴み、後ろへと放り投げる。
「おあぁぁぁッ!?」
情けない声をあげながら宙を舞う小林。
その直後、つい今の今まで彼がいた場所に鋭い斬撃が飛んできた。
エルシーちゃんによる一撃だ。
「えっ、なんで邪魔するの」
「いや……あのままだったらアイツ死んでたからさ」
「もちろん、殺すつもりだったからね。だって巧を侮辱してたんだよ。死んで当然だよね☆」
なんの躊躇いもなくクラスメイトをぶった切ろうとしたとは思えないほどに天真爛漫な笑顔でエルシーちゃんはそう言ってくる。
ナチュラルサイコ……あるいはヤンデレか。
どちらにせよ、エルシーちゃんを放置するのはあまりにも危険が危な過ぎる気がする。
今となっては俺も人殺しに抵抗があるわけじゃあないし、小林のこともどうとも思っちゃいない。
けど、今この状況で勇者殺しになるのは不味いだろどう考えても。
「エルシー、俺のことは大丈夫だからさ。下手に人を殺すのはやめような」
「むー……。巧がそう言うなら……」
やや不本意って感じではあるが、受け入れてくれたようだ。
よかった。異世界来て速攻で彼女が指名手配犯とか嫌だからね。
というか、エルシーちゃんを止められるのなんてそれこそ俺くらいなものだろうし。
下手したら世界滅亡エンドっすよ。
「うぐっ、いってぇ……。な、何が起きて……」
あ、小林が起き上がってきた。
どうしよう、また絡んできたら今度こそエルシーちゃんが真っ二つにしちゃうかもしれない。
そうならない内に、あっちに行こうね。
俺は今、独房にぶち込まれているよ。
おっと勘違いしないでいただきたい。
別に何か罪を犯したってわけじゃあねえんだ。
あのあと、この世界のこととか魔王討伐のこととかを教えられた俺たちはグループごとにしばらく滞在するための部屋へと案内されたんだが……。
それがこれってわけよ。
なんせ俺は最低グレードだからな。
扱いや待遇も最低グレードってわけやね。
にしては、えらく落ち着いているじゃないかって?
そりゃ外れスキルを貰うのは三回目だからね。
慣れたよ。
それに、今の俺には持ち込んだアイテムが大量にある。
何回目かの召喚時に手に入れたアイテムストレージ能力がもう便利で仕方がない。
ほら見てくれ、高級シルクのベッドにふかふか枕、着心地最高のパジャマまである。
おまけにお高めの果物なんか用意すれば、あっという間に最高のくつろぎ空間の出来上がりだ。
魔法を使えば空調なんかも整備できるし、風呂魔法なんてものもある。
もはや俺にできないことはないのだ。
とまあそんな感じで、俺の異世界生活は優雅な独房ライフと共に始まったのだった。
◇◇◇◇
召喚された勇者は戦闘訓練を受けることになっているらしい。
なので当然、俺も参加することになっている。
なんでも、最低限戦えるようになるまではこの国の騎士団が訓練をしてくれるらしい。
いくら強力なスキルがあるとは言え、いきなり放り出したら魔王討伐とか到底無理だろうからね。
とは言え……正直、退屈だ。
言ってしまえば俺は強くてニューゲームを繰り返している身。
レベルと装備をそのままに、何度も世界を救っているのだ。
となればどうよ。
確かに騎士団の人たちは強いけど、俺にとっては赤子も同然。
もはや生物として圧倒的なまでに強化されている俺の肉体には傷一つ付けることだってできないだろう。
そんなのを相手に、訓練になんてなるはずもない。
せっかく異世界に召喚されたと言うのに、ただひたすら退屈な日々を送るハメになっていた。
そしてそれはエルシーちゃんも同じだろう。
彼女もまた、とんでもなく強い存在だ。
どれくらい強いかって言うと、他に召喚された勇者が手も足も出ないような魔王を軽くワンパンしていたくらいには強い。
驚いたよね。
俺に匹敵するレベルの存在が他にもいたんだってなったもん。
どうやら彼女、かつて存在した「始原の龍アマデウス」とか言うとんでもドラゴンの現身らしい。
まあ、自称ではあるけど。
でも嘘ではないと思うのよ俺。
でないとあれだけの強さに説明つかないし。
そんな存在が、まさか別世界の俺の彼女になってるなんてね。
世の中、何が起こるか分からないもんすわ。
「おい、そこ。何をサボっている」
おっといけね。
適当に隅でくねくねしていたのがバレちまった。
「いや、お前は最低グレードの……なら構わん。勝手にしろ」
えぇ……。
期待していないにしたって、もう少しこう……なんかあるだろ。
結局、外れスキルを掴まされた俺と言う存在自体がこの国にとって厄介者というかどうでもいいものなんだろうな。
「おい巧ぃ。どうしたんだそんな端っこでよぉ」
うわ面倒なのが来た。
訓練によって、より一層自分の強さを理解して有頂天になっている小林だ。
ダル絡みとかされたら俺の怒りも思わず有頂天になってしまう。
「聞いたぜ? お前、訓練もまともに受けてないんだってなぁ。ま、仕方ねえよな! お前の外れスキルじゃ魔王討伐どころか魔物と戦うことさえ難しいんだからよぉ!」
うーん、案の定とも言うべきダル絡み。
とは言え、俺のスキルが外れスキルだということは紛れもない事実なので今だけは好きにさせておこう。
俺と小林の間には天と地ほどの差があるってことが、どうせ実戦で分かるんだから。
「あぁん? 気に食わねえなぁその態度。俺は剣聖だぞ。能力値だってクラスで一番だ。いや、それどころじゃねぇ。既に騎士団のほとんどはぶっ倒してんだぞ俺はよぉ! なのにどうしてお前はそう平然としてやがる。他の奴らは皆、俺を怖がって機嫌を取ろうとしてんだ。力を持たなかったばかりに惨めにな。だから、お前もそうあるべきだろうが!」
だいぶ滅茶苦茶な理屈で怒鳴られた気がする。
まあ、自分を最強だと思っている彼からしたら俺の態度はあまり気分が良くないものなのかもしれないけどさ。
でも俺、別にお前のこと怖くはないし。
「はぁ……いいぜ、だったら分からせてやる。俺に逆らったらどうなるかってなぁ!!」
訓練用の木刀を振り上げる小林。
うん、遅いね。
その程度で俺に攻撃が当たるわけないじょのいこ。
――ブンッ
「んなっ……!?」
「おっと、偶然避けられちゃった」
もちろん嘘。
けど、あれだけ好き放題言っていたわけだし俺も少しくらいおちょくらせてもらうよ。
「て、てめぇ!!」
――ブゥンッブンッブゥンッ
すかさず攻撃を繰り返す小林だが、そのすべてが空を切るのみ。
最低限の動きだけで避ける俺に、一度たりとも当てることができなかった。
「はぁ……はぁ……おかしいだろ! なんで、テメェなんかの能力値で俺の攻撃が避けられんだよ!!」
「さあて、なんででしょうね?」
「ふ、ふざけやがって……!!」
小林は懲りずにもう一度剣を振り上げた。
いいだろう、そっちがその気ならこのまま満足いくまで避け続けても……うん?
――スッ
一瞬、彼の背後でエルシーちゃんが剣を構えているのが見えた。
……不味い!
「避けろ、小林!!」
「ぁ゛っ!?」
――ガシッ
咄嗟に小林の服を掴み、後ろへと放り投げる。
「おあぁぁぁッ!?」
情けない声をあげながら宙を舞う小林。
その直後、つい今の今まで彼がいた場所に鋭い斬撃が飛んできた。
エルシーちゃんによる一撃だ。
「えっ、なんで邪魔するの」
「いや……あのままだったらアイツ死んでたからさ」
「もちろん、殺すつもりだったからね。だって巧を侮辱してたんだよ。死んで当然だよね☆」
なんの躊躇いもなくクラスメイトをぶった切ろうとしたとは思えないほどに天真爛漫な笑顔でエルシーちゃんはそう言ってくる。
ナチュラルサイコ……あるいはヤンデレか。
どちらにせよ、エルシーちゃんを放置するのはあまりにも危険が危な過ぎる気がする。
今となっては俺も人殺しに抵抗があるわけじゃあないし、小林のこともどうとも思っちゃいない。
けど、今この状況で勇者殺しになるのは不味いだろどう考えても。
「エルシー、俺のことは大丈夫だからさ。下手に人を殺すのはやめような」
「むー……。巧がそう言うなら……」
やや不本意って感じではあるが、受け入れてくれたようだ。
よかった。異世界来て速攻で彼女が指名手配犯とか嫌だからね。
というか、エルシーちゃんを止められるのなんてそれこそ俺くらいなものだろうし。
下手したら世界滅亡エンドっすよ。
「うぐっ、いってぇ……。な、何が起きて……」
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