【R18】稀によくある異世界召喚録 〜またまた外れスキルを与えられたけど、他の世界から持ち込んだ力があるのでモーマンタイです〜

遠野紫

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クラス転移と外れスキル

08 スタンピード③

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 すぐにでも、ここは魔物で溢れかえるだろう。
 しかし、心配はいらないぞ皆。

 なんせここには俺がいるんだからな。


「おい、魔物が……!」


 おっと、早速だな。
 見たところ、デカめのゴブリンか。
 おそらくはハイゴブリンかゴブリンロードだろう。
 

「皆、彼女を守れ!」

 
 一人の騎士がそう叫ぶ。
 すると、丸腰状態の柊さんを守るようにして皆が武器を構えた。
 見れば分かる。なんとしてでも彼女だけは守ろうと言う布陣だ。
 

「待って、私はまだ戦えるわ……! 武器さえあれば、あの程度の魔物……」

「駄目だ。貴殿は貴重な星五スキルの持ち主。ここで失う訳にはいかないのだ」


 まあ、そうよね。
 柊さんを騎士が守ろうとするのは彼女が女の子だから……とか、そう言うかわいい理由なんかじゃない。

 シンプルに王国にとって重要な最高グレードのスキルの所持者だからって言うだけだ。
 
 もっとも、生徒の方は違うみたいだけどね。
 皆、これまでの戦いで柊さんに助けられているんだ。
 その恩返しのつもりでもあるんだろう。

 いい友情だ。感動的だな。
 だが無意味だ。
 
 何故なら、すべて俺が解決してしまうんだからな。


「グオオォォ!!」

 
 ゴブリンは馬鹿正直に真正面から向かって来る。

 やっぱり所詮はゴブリンだな。
 上位種でもゴブリンはゴブリン。
 こんなの、どこからでも自由にお斬りくださいって言っているに等しい。


――ズバッ


「グゲガアァァッ!?」


 お望み通り、腹から真っ二つに斬り裂いてやった。


「なんだ……。今、一体何が起きたのだ……。この私ですら見えなかった……だと?」


 当たり前だぜ。
 騎士団の人たちはこの世界の基準なら相当強いんだろうが、生憎と俺は規格外。
 目で追えるとは思わないことだな。


「キエエェェ!!」

「ガルルルゥゥッ!!」

「うわぁ!? ど、どんどん来るぞ!!」


 おっと、さすがに数が多いか。
 近接武器で相手をすることもできなくはないが、やっぱりタイマン以外となるとやや戦いにくいのが正直なところ。

 だからこういう時は……魔法に限る。


「フラム」 


 どっかの世界で身に着けた火属性の初級魔法を放つ。

 これは本来なら木を少し焦がす程度の魔法だ。
 それこそ最初の街を出てすぐに出てくる魔物にしか通用しないようなレベル。
 魔術系の職業が初期から習得しているタイプのやつだな。

 だが、俺が使うと話が変わって来る。


――ゴゴゴゥッ


 俺の手の平から放たれた火球は瞬く間に巨大化し、魔物の群れへと向かっていく。
 そう、俺の持つ膨大な魔力を使って放たれた魔法はさながら上級魔法のような威力と規模になるのだ。

 まさしく、今のはメラではない……メラゾーマだ。
 と、なるわけだな。

 ……待て、逆だわそれ。 
 ただのクソザコやんけ。


「ギアアァァァッ!!」

「グガガアアァァァッ!!」


 まるで地獄の業火に焼かれているかのように、苦痛に悶えながら消滅していく魔物たち。
 彼らの断末魔はそれはそれは恐ろしいものとなっていた。

 うん。俺、魔王だねこれもう。
 ……魔王だったわ。前世の話ではあるけど。


「な、なんなのだこの魔法は……。星四、いや星五スキルにも匹敵する威力ではないか……」

「はは……こんなのと比べたら俺の中級火属性魔法なんかライターみたいなものじゃんか……」


 ふむふむ。皆の反応を見る限り、今の魔法はこの世界でも相当強い部類らしい。
 まあ、初級魔法なんですけどね?

 それこそ俺が本気を出したらこんなものじゃないぞ。
 多分、そこそこのサイズの島程度なら軽く吹き飛ばせるんじゃないかな。


「あれ……誰か来るぞ……? いや、ちょっと待て! なんか凄く速くないか……!?」


 何やら慌てた様子で叫んでいるので、彼の見ている方を確認する。
 新手かもしれないし、警戒の必要も……いや、その必要はないな。

 ありゃエルシーちゃんだ。


――ドギュンッ


「巧、大丈夫?」


 猛スピードでぶっ飛んできたエルシーちゃんは俺の前で急ブレーキをするなりそう言ってきた。


「ああ、別になんともないよ」

「でも魔法を使ったよね。巧がそこまでする相手なんて、無視できない」

「いやいや違うって。数が多かったから魔法で一掃しただけ」

「そうなの? ならよかった」


 そう言うとエルシーちゃんは安心したように微笑んだ。
 可愛い。

 いや、可愛いんだけど……さすがに過保護が過ぎる。 
 魔法を使っただけで安否確認のためにぶっ飛んでくるのはちょっとね。


「じゃあせっかくだし、僕も巧と一緒に戦うね」

「別にそこまでしなくても良いんだぞ?」

「ううん、巧に何かあったらって考えると不安だからさ。だめ……かな?」


 おおぅ。
 エルシーちゃんの秘技、上目遣いだ。

 可愛い。最高に可愛い。
 こんなの拒否できるわけないじゃんね。


「分かった。好きにしてくれ」

「やった! じゃあ早速……あれ、倒そう?」


 エルシーが指さす先には大量の魔物が。
 なるほど、さっきの超速ダッシュでありったけのヘイトを稼いできてしまったと言うわけか。

 まあ、俺とエルシーちゃんならこの程度敵じゃあない。
 最難関と言われたダンジョンを二人で即日踏破したことだってあるくらいなんだからな。


「待て、あの数をたった二人で倒すと言うのか」

「そ、そうだぜ……あんなのいくら二人が強くても流石に無理じゃ……」

「へへん、あれくらい問題ないよ。僕と巧の二人ならね」

「うん。まあ、そう言う事だから……下がっていて。そして絶対に、前に出ないでくれ」


 いや本当に。
 絶対に前に出てこないでくれよ。
 巻き込まれでもしたら確実に死ぬんだから。


「それじゃあいくよ、巧」

「ああ、いつでもいいぞ」

「じゃあ……えい!!」
 

 瞬間、エルシーの周囲が神々しく光り輝き始める。
 彼女が魔法を発動する際に発生する特徴的な現象だ。

 エルシーの持つ始原の龍としての力は始原魔法プリミティブマジックと呼ぶらしく、その魔法を発動させるとこうして空気が呼応するかのように眩く光を放つようだ。

 もちろん、凄いのは見た目だけじゃない。
 その効果もとんでもなく、場合によっては一時的とはいえ現実改変の力すら行使できるとかなんとか。

 さながら世界そのものへとアクセスする魔法……とでも言うべきだろうか。


「よし、俺も負けていられないぞ。うおおぉぉ……ギガフラム……!!」


 フラム系魔法の上級魔法ギガフラム。
 の、魔力量を落としたバージョンを発動させる。

 そうしないとこの辺り一体が吹き飛んでしまうので仕方ない。


「んっ♥ 巧の魔力が僕の魔力と混じり合うのを感じる……♥」

「頼むから変な声を出さないでくれ。皆いるんだから」


 いや、割とマジでね。
 よりにもよってクラスメイトがいる中でそう言う声を出すのはさ……駄目じゃん色々と。
 シンプルに気まずいし俺まで恥ずかしくなってくる。


「……今だよ、巧!」

「あ、ああ! 任せろ!」


 エルシーのドスケベ艶やかボイスに精神を乱されながらも、彼女の合図とともに魔法を放った。
 ……なんで味方に精神攻撃されてんの?


――ゴゴゴゴッ、ドゴゴゴゴッ、ボババババッ


 俺の放った極大火球とエルシーの放った極太レーザーが向かって来る魔物を残さず焼き尽くす。
 その後、地獄のような断末魔と共に彼らは塵も残さず消滅したのだった。


「ふぅ、終わりだね」

「だな。今のでかなりの量の魔物が片付いたはずだ」

 
 見える範囲の魔物は大体倒したんじゃないかと言って良い程に、奇麗さっぱり魔物が消えている。
 スタンピードがどれくらいの規模なのかは正確には分からないが、これでもう俺たちの負けはないんじゃなかろうか。

 ――そして、それは実際その通りだった。
 エルシーちゃんがこれでもかって程に大量の魔物たちのヘイトを稼いでくれたおかげで、今回のスタンピードの大部分をさっきの攻撃で葬れたらしい。

 おかげで死傷者もほとんど出てないし、当然王都への被害もない。
 つまるところ、今回の戦いは俺たちの勝利で終わったと言うことである。

 やったぜ。
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