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クラス転移と外れスキル
09 脱走
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やあ。
スタンピードを退けた俺たちはまたいつも通り訓練の日々を送ることになったよ。
ただ、今までとは明確に違う点が一つ。
クラスメイトの皆の中における俺の扱いが向上した。
要するに外れ勇者としての扱いじゃあなくなったってわけだ。
まあ、あれだけの魔法を見せたらそうもなるよな。
この世界基準だとそれこそ宮廷魔導士どころの騒ぎじゃないみたいだし。
だからだろうか。
今や俺は小林を超える実力の持ち主として祀り上げられている状況だ。
まさに大英雄ってね。いやぁ照れますな☆
とは言え、当然この状況をよく思わない人もいる。
小林……はもちろんそうなんだが、それ以上に厄介なのは王国の重鎮共だ。
彼らは俺と言うイレギュラー過ぎる存在をどうにかして排斥しようとしているらしい。
どうしてそこまで……と最初は思ったが、理由はしっかりとあった。
その理由とは……デデンッ!
外れスキル持ちの存在は王国に不幸をもたらすから……だ、そうだ。
なぁにそれぇ、と皆さまお思いのことだろう。
もちろん俺もそう思った。なんか抽象的過ぎるし。
けどもう少し深く探ってみたところ、どうやら一筋縄ではいかない問題のようだぞこれは。
まず大前提として、この国には勇者教と言う宗教がある。
かつて活躍した勇者の子孫たちが作った宗教らしい。
そんな彼らに伝わる話によれば、その昔外れスキルの持ち主が巨悪を打ち倒し世界を救ったのだとか。
だから勇者教信者の中には外れ勇者を神聖視する人も少なくないのだと。
で、ここからが問題。
どうやらこの国は王族と勇者教の間で過去に何度も紛争が起こっているらしい。
その理由はズバリ、勇者の扱いについて。
なんとこの王国、以前に何度か召喚された勇者も最終的には国のための駒として使い潰していたらしいぜ。
そうなってくるともう大変だ。
世界を救う程の活躍をしておきながら、元の世界に帰すどころか駒として使い潰すなんてありえない。
と、王国の過去の判断を批判する人たちが大量に発生してしまったわけよ。
はい、大戦争勃発不可避。
言ってしまえば教祖様が滅茶苦茶な扱いでこき使われ続けたわけだもんね。そうもなるよ。
そうして何度も何度も争いが発生した末、王国はついに彼らを抑え込んだようだ。
そして同じことが起こらないように勇者教を厳しく弾圧し、挙句の果てには「外れスキルの持ち主は災厄の権化である」みたいな話を流布したらしい。
また同じようなことが起こって勇者教が力を取り戻さないように、用意周到に対策したと言うことなんだろう。
と言うことで、今の王国は外れスキルの持ち主をめっちゃくちゃに毛嫌いしているわけですね。
にもかかわらず、外れ勇者であるはずの俺はめっちゃくちゃに強い。
はい、そうです。
俺と言う存在、今の王国においてあまりにも危険が危ない不発弾過ぎるんすわ。
勇者教に伝わる話そのものじゃんねこんなの。
外れスキルを持ちながら、圧倒的なまでの力を誇る伝説の勇者。
そんなものが再び現れたと知ったら勇者教が派手に活動を再開するに決まってんのよ。
そりゃあ俺だって、祀り上げてくれるんなら悪い気はしないよ?
俺にとっちゃあ勇者教とか王国とか極論どうだって良いし。
けど、向こうはそうもいかないだろうしなぁ。
このままだとそう遠くない内にろくでもない争いに巻き込まれる未来しか見えないぜ。
ええい、かつて召喚された勇者め。
なろう系主人公みたいなお前のせいでこんなことに……いや違うか。
全ての諸悪の根源はそもそも勇者の扱いを間違えた王国だ。
自業自得すら受け入れずに勇者教を制圧して弾圧した王国のせいで、俺は今外れ勇者として排斥されかけとるんやが!!
はー、もう許せん。
いいもんね、そっちがその気なら俺だって好き放題しちゃうもんね。
具体的にはそう……召喚された勇者全員でとんずらするとか。
どうせ魔王を討伐したって、そのあとは王国の駒として使い潰されるんだ。
ならいっそのこと、自由にやらせてもらおうじゃんってね。
まあまあ安心してくれ。
さすがに俺だってそこまで鬼畜じゃない。
ちゃーんと魔王は討伐してやるさ。
そのあとで、俺たちは完全に自由にさせてもらう。
この世界に生きる無辜の民が苦しむのは俺だって本意じゃないし、大義名分は果たさないといけないからね。
だから、安心して衰退してくれ。
王国なんかなくとも、世界は救ってやるからさ。
◇◇◇◇
俺たちが王都から逃げ出してから数日が経った。
今も騎士団は大慌てで俺たちを探していることだろう。
あ、もちろん残った奴もいるよ。
……小林含む数人だけだけど。
いやいや違うって。
さすがの俺も気絶している奴を何も言わずに置いて行ったりしないから。
ちゃんと話をして、返答を聞いた。
残る人たちは皆、自分自身の判断で残る選択をした。
ただそれだけの話だ。
まあでも、多分これ……小林とはあとで戦うことになりそうだよな。
だって俺めちゃくちゃ恨まれてるし。
どうしよう、そうなる前に魔王討伐してさっさと行方をくらませるか?
まさしく戦わずして完全勝利!
……とは、いかないよなさすがに。
なんにせよ今は王都……いや、王国そのものから離れるのが何より重要だ。
小林もそうだし、騎士団に見つかっても面倒なことになる。
幸いにもそのための目星は付いているからな。
あとは材料さえあればいい。
それまでの間は皆にはテント泊をしてもらうことになるけど、ありがたいことに受け入れてくれた。
うぅ……ちょっと前までは養豚場の豚を見るような目で俺を見ていた皆も、今は俺を頼ってくれるんだ。素直に嬉しい。
……まあ、王国に使い潰されるくらいならこっちの方がまだマシってだけかもしれないけどね。
っと、柊さんが走って来たな。
何かあったんだろうか。
「佐藤くん、やっと鉱脈が見つかったわよ」
「おぉ! よし、これでやっとアレが作れるな」
嬉しい報告だ。
ちなみにさっき言った材料と言うのがこれ。
大量の金属が必要だから鉱脈を探す必要があったわけよ。
「でも本当にそんなことが……ううん、佐藤くんだもの。きっとできるんでしょうね」
ヤバイ、あの柊さんに全幅の信頼を置かれている。
気持ち良過ぎだろ!
にしても、なんであの時に渡したコートをずっと着ているんだろうなこの人。
寒いのかな。
まあいいや。
これで材料は足りるはず。
ついにアレが……「移動要塞ツェッペリン」が作れるぞ……!
ああ、今からワクワクが止まらない。
ほかの世界だと作るタイミングがほとんどなかったからな。
これがあれば魔王が住まう地まであっという間……かどうかはともかく、その間の移動は快適ってな寸法よ。
よし、ならば善は急げだ。
まずは鉱脈から材料を掘り出さないとな!
スタンピードを退けた俺たちはまたいつも通り訓練の日々を送ることになったよ。
ただ、今までとは明確に違う点が一つ。
クラスメイトの皆の中における俺の扱いが向上した。
要するに外れ勇者としての扱いじゃあなくなったってわけだ。
まあ、あれだけの魔法を見せたらそうもなるよな。
この世界基準だとそれこそ宮廷魔導士どころの騒ぎじゃないみたいだし。
だからだろうか。
今や俺は小林を超える実力の持ち主として祀り上げられている状況だ。
まさに大英雄ってね。いやぁ照れますな☆
とは言え、当然この状況をよく思わない人もいる。
小林……はもちろんそうなんだが、それ以上に厄介なのは王国の重鎮共だ。
彼らは俺と言うイレギュラー過ぎる存在をどうにかして排斥しようとしているらしい。
どうしてそこまで……と最初は思ったが、理由はしっかりとあった。
その理由とは……デデンッ!
外れスキル持ちの存在は王国に不幸をもたらすから……だ、そうだ。
なぁにそれぇ、と皆さまお思いのことだろう。
もちろん俺もそう思った。なんか抽象的過ぎるし。
けどもう少し深く探ってみたところ、どうやら一筋縄ではいかない問題のようだぞこれは。
まず大前提として、この国には勇者教と言う宗教がある。
かつて活躍した勇者の子孫たちが作った宗教らしい。
そんな彼らに伝わる話によれば、その昔外れスキルの持ち主が巨悪を打ち倒し世界を救ったのだとか。
だから勇者教信者の中には外れ勇者を神聖視する人も少なくないのだと。
で、ここからが問題。
どうやらこの国は王族と勇者教の間で過去に何度も紛争が起こっているらしい。
その理由はズバリ、勇者の扱いについて。
なんとこの王国、以前に何度か召喚された勇者も最終的には国のための駒として使い潰していたらしいぜ。
そうなってくるともう大変だ。
世界を救う程の活躍をしておきながら、元の世界に帰すどころか駒として使い潰すなんてありえない。
と、王国の過去の判断を批判する人たちが大量に発生してしまったわけよ。
はい、大戦争勃発不可避。
言ってしまえば教祖様が滅茶苦茶な扱いでこき使われ続けたわけだもんね。そうもなるよ。
そうして何度も何度も争いが発生した末、王国はついに彼らを抑え込んだようだ。
そして同じことが起こらないように勇者教を厳しく弾圧し、挙句の果てには「外れスキルの持ち主は災厄の権化である」みたいな話を流布したらしい。
また同じようなことが起こって勇者教が力を取り戻さないように、用意周到に対策したと言うことなんだろう。
と言うことで、今の王国は外れスキルの持ち主をめっちゃくちゃに毛嫌いしているわけですね。
にもかかわらず、外れ勇者であるはずの俺はめっちゃくちゃに強い。
はい、そうです。
俺と言う存在、今の王国においてあまりにも危険が危ない不発弾過ぎるんすわ。
勇者教に伝わる話そのものじゃんねこんなの。
外れスキルを持ちながら、圧倒的なまでの力を誇る伝説の勇者。
そんなものが再び現れたと知ったら勇者教が派手に活動を再開するに決まってんのよ。
そりゃあ俺だって、祀り上げてくれるんなら悪い気はしないよ?
俺にとっちゃあ勇者教とか王国とか極論どうだって良いし。
けど、向こうはそうもいかないだろうしなぁ。
このままだとそう遠くない内にろくでもない争いに巻き込まれる未来しか見えないぜ。
ええい、かつて召喚された勇者め。
なろう系主人公みたいなお前のせいでこんなことに……いや違うか。
全ての諸悪の根源はそもそも勇者の扱いを間違えた王国だ。
自業自得すら受け入れずに勇者教を制圧して弾圧した王国のせいで、俺は今外れ勇者として排斥されかけとるんやが!!
はー、もう許せん。
いいもんね、そっちがその気なら俺だって好き放題しちゃうもんね。
具体的にはそう……召喚された勇者全員でとんずらするとか。
どうせ魔王を討伐したって、そのあとは王国の駒として使い潰されるんだ。
ならいっそのこと、自由にやらせてもらおうじゃんってね。
まあまあ安心してくれ。
さすがに俺だってそこまで鬼畜じゃない。
ちゃーんと魔王は討伐してやるさ。
そのあとで、俺たちは完全に自由にさせてもらう。
この世界に生きる無辜の民が苦しむのは俺だって本意じゃないし、大義名分は果たさないといけないからね。
だから、安心して衰退してくれ。
王国なんかなくとも、世界は救ってやるからさ。
◇◇◇◇
俺たちが王都から逃げ出してから数日が経った。
今も騎士団は大慌てで俺たちを探していることだろう。
あ、もちろん残った奴もいるよ。
……小林含む数人だけだけど。
いやいや違うって。
さすがの俺も気絶している奴を何も言わずに置いて行ったりしないから。
ちゃんと話をして、返答を聞いた。
残る人たちは皆、自分自身の判断で残る選択をした。
ただそれだけの話だ。
まあでも、多分これ……小林とはあとで戦うことになりそうだよな。
だって俺めちゃくちゃ恨まれてるし。
どうしよう、そうなる前に魔王討伐してさっさと行方をくらませるか?
まさしく戦わずして完全勝利!
……とは、いかないよなさすがに。
なんにせよ今は王都……いや、王国そのものから離れるのが何より重要だ。
小林もそうだし、騎士団に見つかっても面倒なことになる。
幸いにもそのための目星は付いているからな。
あとは材料さえあればいい。
それまでの間は皆にはテント泊をしてもらうことになるけど、ありがたいことに受け入れてくれた。
うぅ……ちょっと前までは養豚場の豚を見るような目で俺を見ていた皆も、今は俺を頼ってくれるんだ。素直に嬉しい。
……まあ、王国に使い潰されるくらいならこっちの方がまだマシってだけかもしれないけどね。
っと、柊さんが走って来たな。
何かあったんだろうか。
「佐藤くん、やっと鉱脈が見つかったわよ」
「おぉ! よし、これでやっとアレが作れるな」
嬉しい報告だ。
ちなみにさっき言った材料と言うのがこれ。
大量の金属が必要だから鉱脈を探す必要があったわけよ。
「でも本当にそんなことが……ううん、佐藤くんだもの。きっとできるんでしょうね」
ヤバイ、あの柊さんに全幅の信頼を置かれている。
気持ち良過ぎだろ!
にしても、なんであの時に渡したコートをずっと着ているんだろうなこの人。
寒いのかな。
まあいいや。
これで材料は足りるはず。
ついにアレが……「移動要塞ツェッペリン」が作れるぞ……!
ああ、今からワクワクが止まらない。
ほかの世界だと作るタイミングがほとんどなかったからな。
これがあれば魔王が住まう地まであっという間……かどうかはともかく、その間の移動は快適ってな寸法よ。
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