【R18】稀によくある異世界召喚録 〜またまた外れスキルを与えられたけど、他の世界から持ち込んだ力があるのでモーマンタイです〜

遠野紫

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ゲーム転移とジョブ無し

17 また別の異世界へ

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 やあ。
 魔王を討伐して、ついでに小林も返り討ちにして、転移門で元の世界へと帰った俺たちだよ。
 このまま柊さんに俺の気持ちも伝えようと、そう思っていたんだけどね……。

 残念ながら、無理そうだよ。

 どういう意味かって?
 そりゃあ、俺が今置かれている状況を見れば分かる。

 転移門を通って、真っ白に染まった視界がだんだん戻ってきたかと思えば……そこは見慣れた教室ではなくどこかの路地裏だ。
 ははっ、もうこの時点で何かおかしいってわかるね。

 けど、それだけじゃあない。 
 俺の見た目も変なんだ。

 変って言っても、奇抜な格好をしているとかそう言う意味じゃないぞ?
 そもそもこれは服装とかそう言うレベルの話でもない。

 ご存じの通り、俺の見た目はやたら体がゴツイこと以外はその辺によくいる男子高校生のそれだ。
 当然、男である。

 だが見てくれ。
 水たまりに映っているのは俺と全く同じ動きをしている女の子だ。
 それも……滅茶苦茶に美少女だぜこれ。

 夕日のように紅いショートボブに、神々しさすら感じる金色の瞳。
 おまけにまつげはバシバシに長い。

 胸のサイズはデカすぎず、かと言って決して小さいわけでもない……まさに黄金比のバランス。
 ウエストの細さとむっちむちな太ももが、それを更に引き立てている。

 やっぱり、恐ろしいまでの美少女だぜこいつは……。

 えっ?
 つまり何が言いたいのかって?
 いやさぁ……ここまで言えばわかるでしょ。

 この女の子が、俺なのよ。

 ああうん、分かるよ。
 俺だって困惑しているんだからね。

 なんせ今回みたいなのは初めてのパターンなんだ。
 何度も何度も、飽きるくらいに色んな異世界に召喚されてきた俺だが……性転換と言うか、全くの別人にされたのは正真正銘今回が初めてってわけよ。

 とは言え、内から感じる力は変わらず今まで通り。
 色んな異世界で手にしてきた力も、魔王の生まれ変わりとしての力もそのままだ。

 となれば、ひとまずはまあ安心だな。
 美少女にされたうえで何の能力もなしに異世界に放り出されたら、瞬く間に孕み袋にされて性奴隷堕ちする未来しか見えない。
 
 おそらくだが、俺の力は俺の魂自体に紐づいているんだろう。
 だから俺が俺である限り、どこに召喚されようがどんな形で召喚されようが、力も一緒に付いてくるってわけだ。

 まるでどこぞの世界の破壊者みたいだな。
 おのれディケイド。

 ただ……そうなると疑問も残る。
 俺の力とは別に、何か妙な感覚もあるんだ。
 
 今までの俺にはなかった力……。
 俺ではなく、「この体が持っている力」……とでも言えばいいんだろうか。
 それに、この女の子もどっかで見覚えがあるような……あっ!!


ネトゲの自キャラアルカディアだこれ……!!」

 
 そうだそうだ思い出したぜ。
 異世界生活が長すぎて忘れかけていたが、この女の子は俺と密接な関係があったんじゃないか。

 と言う事で、改めて紹介しよう。
 この子は俺がネトゲで使っていたアルカディアと言うキャラ。
 見た目も声も記憶の通りだし、まず間違いない……はず。

 にしても、やっぱり良いなこの声。
 可愛さの奥に色気も感じられる。
 ASMRとかして欲しい……って、今なら自分でできるじゃん。やったぜ。

 まあそれはいいとして。

 ゲーム名は確か……「神魔伝説:オンライン」だったか。
 元々はコンシューマーのシリーズだった「神魔伝説」ってゲームをMMO化したもので、その名の通り神々の世界を舞台にしたファンタジーRPG……だったはずだ。

 うん?
 どうしてそんなに情報があやふやなのかって?
 いやいや、これにはちゃーんと理由があるんですよ。

 なんせこのゲーム……俺が高校二年の時にサ終してますから。
 そっから色んな異世界に召喚されて密度の濃い数年を過ごしているんだから、覚えてないのも仕方ないよね。

 それはさておき、このアルカディアがゲーム内で持っていた力が恐らく今の俺にはあるんだろう。
 具体的に言えば職業によるスキルとステータスだ。

 神魔伝説の職業システムはやや複雑で、強いキャラを作ろうとすると結構悩む仕様になっていた。
 その原因になっているのが、レベルをカンストさせると行える「継承」と言うシステム。
 いわゆる転生とか限界突破とか、そう言うサムシングだ。

 これを行うと現在の職業の持つスキルとステータスが引き継がれ、別の職業を再び育成することができるようになる。
 そして全部で九回の継承を行って十職分のステータスやスキルを手に入れることで、晴れて完全強化達成となるわけだ。

 このシステムのおかげでビルドの幅はめっちゃくちゃに広くなり、自由度の高いキャラメイクも相まって、世界に唯一の自分だけのキャラ作成を存分に楽しめたと。
 まさしく継承システムはこのゲームの醍醐味と言えるものになっていたわけだな。
 
 ただ、ビルドによってはとんでもないインフレを招いたりもしていたっけ……。
 そのせいで結局サ終を迎えることになってしまったのはこう……諸刃の剣と言うか自爆と言うか。

 ちなみに、鑑定スキルを使って確認したアルカディアの職業と最終ステータスはこんな感じ。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

剣士ソードマン
 主なスキル:汎用剣術、近接戦闘術
聖騎士パラディン
 主なスキル:光属性魔法、光属性剣技、回復魔法
暗黒騎士ダークナイト
 主なスキル:闇属性魔法、闇属性剣技、弱体化魔法
魔導士ウィザード 
 主なスキル:属性魔法
聖職者クレリック
 主なスキル:回復魔法、浄化魔法、蘇生魔法
付与術師エンチャンター
 主なスキル:強化魔法
召喚士サモナー
 主なスキル:召喚魔法
斥候スカウト
 主なスキル:探索術
鍛冶師スミス
 主なスキル:武器製造、武器加工
錬金術師アルケミスト
 主なスキル:錬金術、錬成術

 名前 :アルカディア
 レベル:100(+900)
 種族 :ハイヒューマン
 HP :21500
 MP :12800
 STR:2300
 INT:3300
 VIT:2000
 MEN:3100
 AGI:1900
 DEX:2900

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 ……うん。
 言いたいことは分かるよ。
 なんと言うか、とっちらかっているよね。

 近接戦闘から魔法系、補助系に製造系までちょっと色々やりすぎだ。
 こんな器用貧乏じゃあどう考えたって浪漫ビルドの域を出ない。
 PVEならそこまで問題ないが、PVPじゃ絶対にガチビルドのプレイヤーには勝てないぜ。
 
 まあでも、これは俺のプレイスタイルを考えると仕方のないことでもある。
 恥ずかしながら、この俺は勇者に憧れていた時代があったのだ。

 結果、すべてを自分でできる万能勇者を目指して作ってしまったのがこの器用貧乏勇者モドキと言うわけである……!

 いやぁ、こうして見返してみるとマジで弱いなこのキャラ。
 ステータスを見て貰えると確定的に明らかなんだけど、全体的にのっぺりしている。
 本来は物理か魔法のどちらかに特化したビルドを作るものだからねこれ。
 
 それこそ近接ビルドなら基準となる職業を決めたら残りの枠でひたすらSTRとVITを盛るべきだし、魔法ビルドにしても同じようにベースを決めたらあとはINTとMENを持っていくのがセオリーだ。

 特に魔法職に関してはMPが命だからな。
 盛れるだけ盛らないと、思っている以上にあっという間にガス欠するぞ。

 なお、俺のこのビルドだと物理スキルもそこそこ潤沢なのでMPはこの量でも案外なんとかなったりする。
 耐久に関しても装備を合わせればそこそこあるし、回復魔法だってある。
 だから継戦能力だけは高いのよねこのキャラ。
 
 もっとも、それは今この状況においては非常に助かるんだけどね。
 実際に自分がそのキャラになるって言うんなら、「超火力だけど紙装甲」とか「鈍足だけど高耐久」みたいなのより汎用的に強い方が便利だし使い勝手が良い。

 そもそも火力に関しては俺が元々持っている力で充分だし、耐久系の能力が増えたと考えると素直に嬉しいまである。
 痛いのとか苦しいのとかは嫌だからね。

 ……さて。
 そうなると……だ。
 今の俺がアルカディアの姿をしていて、更にアルカディアの力も持っていると言う事はだよ。
 
 ここは神魔伝説の世界である可能性が高い……と、そう言っても良いんじゃあないだろうか。

 だとすれば元の世界に戻る方法を一から探さないといけなくなってしまう。
 見たところ、俺をここに召喚したと思われる者も近くにいるわけではなさそうだしな。

 はぁ……やっと帰れると思ったのに。
 今もエルシーちゃんは向こうでずっと俺の帰りを待っているはずだ。
 柊さんだって、きっとさっきの続きをしようと律儀に待っているに決まっている。

 よし、こうしちゃいられないぞ。
 さっさと元の世界へと帰る方法を探さないと。

 そのためにもまずは……行くべきだろう、冒険者ギルドへ!
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