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第三章
最終話(仮) 宰相のドローン
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宰相が放ったドローンが急降下を初め、石橋を破壊しょうとしていると判断した俺は、急いで魔法を発動する。
「ライトウォール!」
空中に光の壁を作ると、ドローンは見えない壁に激突したようで爆発を起こす。だが、爆破も爆風も、光の壁に遮られてこちら側に被害が出ることはなかった。
「チッ、防がれたか。異世界の兵器もたいしたことがないな。魔法で簡単に防がれてしまうなんて」
「宰相! あなたが何を考えているのか分かりませんが、これ以上テオお爺様やご先祖様の残した異世界の道具を、好き勝手にはさせません!」
「マヤノが戻って来た限り、あなたの好きにはさせないのだから」
後方にいたサクラとマヤノが前に出る。彼女たちは宰相に指を向け、野望を阻止すると宣言した。
「ほう、サクラ王女ですか。それに合うのは20年ぶりですかな? 化け物の娘」
宰相がサクラたちを見てニヤリと口角を上げる。
あの男の余裕な態度は何だ? サクラやマヤノが、異世界の転生者の生まれ変わりの娘と孫であり、テオから受け継がれた様々な魔法を習得していることは知っているはず。
普通に考えて勝ち目のない戦いのはずなのに、どうしてそこまで余裕でいられる?
「マヤノちゃんがいると言うのに、余裕ですね。切り札があるのでしたら、さっさと出してくれませんか?」
俺が思ったことを、サクラが変わりに訊ねる。
「ほう、察しが良いですね。良いでしょう。では、来なさい適合者よ!」
宰相が指をパチンと鳴らす。すると時空の裂け目が現れ、渦となって広がると1人の少女が現れる。
白銀の髪をクラシカルストレートにしており、赤い瞳の女の子だ。容姿も整っており、頭に黒いリボンをしている。
彼女を見た瞬間、目を大きく見開いた。
「カ……レン」
衝撃過ぎる展開に驚き、言葉が詰まってしまった。だけど彼女は間違いない。俺がずっと探し求めていた女性だ。
「カレン!」
彼女に声をかけるも反応がない。
「宰相! カレンちゃんに何をしたの! フリードちゃんが呼びかけて反応しないなんておかしいよ!」
「ほう、その男はこの女の知り合いか? そいつは残念だったな。感動の再会とはほど遠い展開になってしまって」
あの男がカレンに何かをしやがった。
宰相に対して怒りが込み上げ、拳を強く握る。
「宰相、今すぐにカレンを解放してくれるのなら、半殺しで許してやる」
「おやおや、何を言っているのです? お前はバカか? この女がお前たちの知り合いであると分かった以上、まだまだ利用価値がある。人質として使うこともできるのですよ。強引にでも攻撃をしたければしなさい。その時はこの娘を盾に使うまでだ」
この男、俺がこれまで出会ってきたクズと同様のクズだ。このまま放っておいたら、この国がおかしくなる。
カレンを傷付ける訳にはいかない。魔法での遠距離攻撃は、彼女に危害を及ぶ可能性もある。ここは肉体強化系の魔法で直接宰相に攻撃を当てるしかない。
「スピードスター!」
そろそろ効果が切れる頃だったので、もう一度俊足の魔法を発動して効果の延長を行う。そして石橋を蹴って走り、宰相との距離を縮める。
「早い! くそう! カレン! ワシを守るんだ!」
「了解しました」
宰相が命令を下した瞬間、カレンが動き、俺の前に立つ。
俺の動きに追いついているだと! あのカレンが! そんなバカな!
意外な展開に驚いていると、彼女は空間の裂け目を作り、その中に腕を突っ込む。すると中から剣を取り出して、俺を斬りつけてきた。
横に振られた剣を、後方に飛んで跳躍することでどうにか回避することができた。
なんて速さだ。まるで人間の限界に近い動きをしている。魔法の効果で俊敏になっていなければ、斬られていたかもしれない。
額から流れる汗を拭い、彼女を見る。
何かないか? 彼女を傷付けずに、宰相へと辿り着く方法は?
思考を巡らせていると、夜空を覆っていた雲が吹き抜けたようで、月が顔を出す。それにより、月明かりが照らされて周囲が明るくなった。
「カレン……その額の紋様は」
先ほどまでは薄暗かったので気付かなかったが、彼女の額には奴隷の紋様が現れていた。
奴隷契約により、強制的に命令をさせられている。
命令を下しているところを見る限り、主人はあの宰相だ。あいつを倒すことができれば、カレンを救い出すことができる。
幼馴染を救い出す方法を見出すことができたのは僥倖だ。でも、彼女を救うには、邪魔をするカレン自身をどうにかしないといけない。
一瞬でも良い。スピードスターの足捌きなら、隙さえ生じれば突破できるはず。
頼む、成功してくれ!
「スリープ!」
睡眠魔法を発動し、カレンに当てる。
脳に睡眠物質を溜めたことで眠気が生じたのか、カレンの動きが一瞬止まる。
今だ!
僅かに生じた隙を利用し、石橋を蹴ると勢い良く駆ける。
「カレン、何をしている! 早くこいつを取り押さえろ!」
「無駄だ! 睡眠魔法で脳が抑制している状態では、すぐに行動に移すことができない。いくらお前がカレンに命令しようが、実行するまでタイムラグが生じる。こいつで終わりだ! スレーブコントラクト!」
「何! その魔法は!」
宰相に向けて奴隷化のスキルを発動させる。すると、彼の額に奴隷の紋様が現れた。
「我が契約に基づき、命令に従え! カレンを呪縛から解放しろ!」
「くそおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
宰相を俺の支配下に置いたことで、彼は奴隷契約を破棄した。
「カレン!」
彼女の方に振り向くと、銀髪の少女は前方に倒れる。すぐに駆け寄り、彼女を抱きしめると、額には奴隷化の効果を表す紋様が消えていた。
「おかえり、カレン。また一緒に暮らそう」
「フリードちゃん!」
「フリードさん!」
決着が付いたことでマヤノとサクラが駆け寄ってくる。
宰相を倒したことで、彼女たちは笑みを浮かべていた。これから先も色々なことが起きるだろう。だけど彼女たちと一緒なら、きっと上手くいけるはずだ。
完結(仮)
最後まで読んでいただきありがとうございます。
キリの良いところなので、一旦この作品は完結とさせていただきます。
もしかしたら、連載を再開するかもしれませんので、一応仮の完結とさせてもらいます。
ここまで書けたのは、最後まで読んで下さった貴方がいてくれたからです。
本当に最後までお付き合いいただいたあなたには感謝してもしきれません。あなたが居てくれて本当に良かったです。
おこがましいお願いであることは重々承知しておりますが、宜しければ、完結記念のご祝儀として、エールをして頂けると助かります。
私の他の作品の紹介をさせていただきますが、この2作品は、ホットランキング最高2位まで上り詰めた作品なので、楽しんでいただけるかと思います。
『Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!』
『ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!』
こちらの作品は、WEB版なら『仁徳の登録コンテンツ』からアクセスすることができます。
アプリ版の方は、上の方にある作者名の『仁徳』をタップしていただき、次に作品をタップしていただけると一覧が表示されますので、そこからアクセスしていただければ読むことが出来ます。
何卒よろしくお願いします。
「ライトウォール!」
空中に光の壁を作ると、ドローンは見えない壁に激突したようで爆発を起こす。だが、爆破も爆風も、光の壁に遮られてこちら側に被害が出ることはなかった。
「チッ、防がれたか。異世界の兵器もたいしたことがないな。魔法で簡単に防がれてしまうなんて」
「宰相! あなたが何を考えているのか分かりませんが、これ以上テオお爺様やご先祖様の残した異世界の道具を、好き勝手にはさせません!」
「マヤノが戻って来た限り、あなたの好きにはさせないのだから」
後方にいたサクラとマヤノが前に出る。彼女たちは宰相に指を向け、野望を阻止すると宣言した。
「ほう、サクラ王女ですか。それに合うのは20年ぶりですかな? 化け物の娘」
宰相がサクラたちを見てニヤリと口角を上げる。
あの男の余裕な態度は何だ? サクラやマヤノが、異世界の転生者の生まれ変わりの娘と孫であり、テオから受け継がれた様々な魔法を習得していることは知っているはず。
普通に考えて勝ち目のない戦いのはずなのに、どうしてそこまで余裕でいられる?
「マヤノちゃんがいると言うのに、余裕ですね。切り札があるのでしたら、さっさと出してくれませんか?」
俺が思ったことを、サクラが変わりに訊ねる。
「ほう、察しが良いですね。良いでしょう。では、来なさい適合者よ!」
宰相が指をパチンと鳴らす。すると時空の裂け目が現れ、渦となって広がると1人の少女が現れる。
白銀の髪をクラシカルストレートにしており、赤い瞳の女の子だ。容姿も整っており、頭に黒いリボンをしている。
彼女を見た瞬間、目を大きく見開いた。
「カ……レン」
衝撃過ぎる展開に驚き、言葉が詰まってしまった。だけど彼女は間違いない。俺がずっと探し求めていた女性だ。
「カレン!」
彼女に声をかけるも反応がない。
「宰相! カレンちゃんに何をしたの! フリードちゃんが呼びかけて反応しないなんておかしいよ!」
「ほう、その男はこの女の知り合いか? そいつは残念だったな。感動の再会とはほど遠い展開になってしまって」
あの男がカレンに何かをしやがった。
宰相に対して怒りが込み上げ、拳を強く握る。
「宰相、今すぐにカレンを解放してくれるのなら、半殺しで許してやる」
「おやおや、何を言っているのです? お前はバカか? この女がお前たちの知り合いであると分かった以上、まだまだ利用価値がある。人質として使うこともできるのですよ。強引にでも攻撃をしたければしなさい。その時はこの娘を盾に使うまでだ」
この男、俺がこれまで出会ってきたクズと同様のクズだ。このまま放っておいたら、この国がおかしくなる。
カレンを傷付ける訳にはいかない。魔法での遠距離攻撃は、彼女に危害を及ぶ可能性もある。ここは肉体強化系の魔法で直接宰相に攻撃を当てるしかない。
「スピードスター!」
そろそろ効果が切れる頃だったので、もう一度俊足の魔法を発動して効果の延長を行う。そして石橋を蹴って走り、宰相との距離を縮める。
「早い! くそう! カレン! ワシを守るんだ!」
「了解しました」
宰相が命令を下した瞬間、カレンが動き、俺の前に立つ。
俺の動きに追いついているだと! あのカレンが! そんなバカな!
意外な展開に驚いていると、彼女は空間の裂け目を作り、その中に腕を突っ込む。すると中から剣を取り出して、俺を斬りつけてきた。
横に振られた剣を、後方に飛んで跳躍することでどうにか回避することができた。
なんて速さだ。まるで人間の限界に近い動きをしている。魔法の効果で俊敏になっていなければ、斬られていたかもしれない。
額から流れる汗を拭い、彼女を見る。
何かないか? 彼女を傷付けずに、宰相へと辿り着く方法は?
思考を巡らせていると、夜空を覆っていた雲が吹き抜けたようで、月が顔を出す。それにより、月明かりが照らされて周囲が明るくなった。
「カレン……その額の紋様は」
先ほどまでは薄暗かったので気付かなかったが、彼女の額には奴隷の紋様が現れていた。
奴隷契約により、強制的に命令をさせられている。
命令を下しているところを見る限り、主人はあの宰相だ。あいつを倒すことができれば、カレンを救い出すことができる。
幼馴染を救い出す方法を見出すことができたのは僥倖だ。でも、彼女を救うには、邪魔をするカレン自身をどうにかしないといけない。
一瞬でも良い。スピードスターの足捌きなら、隙さえ生じれば突破できるはず。
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睡眠魔法を発動し、カレンに当てる。
脳に睡眠物質を溜めたことで眠気が生じたのか、カレンの動きが一瞬止まる。
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「何! その魔法は!」
宰相に向けて奴隷化のスキルを発動させる。すると、彼の額に奴隷の紋様が現れた。
「我が契約に基づき、命令に従え! カレンを呪縛から解放しろ!」
「くそおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
宰相を俺の支配下に置いたことで、彼は奴隷契約を破棄した。
「カレン!」
彼女の方に振り向くと、銀髪の少女は前方に倒れる。すぐに駆け寄り、彼女を抱きしめると、額には奴隷化の効果を表す紋様が消えていた。
「おかえり、カレン。また一緒に暮らそう」
「フリードちゃん!」
「フリードさん!」
決着が付いたことでマヤノとサクラが駆け寄ってくる。
宰相を倒したことで、彼女たちは笑みを浮かべていた。これから先も色々なことが起きるだろう。だけど彼女たちと一緒なら、きっと上手くいけるはずだ。
完結(仮)
最後まで読んでいただきありがとうございます。
キリの良いところなので、一旦この作品は完結とさせていただきます。
もしかしたら、連載を再開するかもしれませんので、一応仮の完結とさせてもらいます。
ここまで書けたのは、最後まで読んで下さった貴方がいてくれたからです。
本当に最後までお付き合いいただいたあなたには感謝してもしきれません。あなたが居てくれて本当に良かったです。
おこがましいお願いであることは重々承知しておりますが、宜しければ、完結記念のご祝儀として、エールをして頂けると助かります。
私の他の作品の紹介をさせていただきますが、この2作品は、ホットランキング最高2位まで上り詰めた作品なので、楽しんでいただけるかと思います。
『Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!』
『ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!』
こちらの作品は、WEB版なら『仁徳の登録コンテンツ』からアクセスすることができます。
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何卒よろしくお願いします。
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登録作品の見方
作者名か作者近況からのリンクでアプリ版も見れるよ。
別名登録でもしてるのかと思った。
A・I・M様、貴重な情報をありがとうございます。
アプリ番の方は、詳しい扱い方が分かっていなかったので、助かりました。
教えていただきありがとうございます。