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敵ということで宜しいですか?
3. ごめんなさい
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◇
私は、生まれた時から外見を褒められていたらしい。
でも、成長と共に....というより、かなり早い段階で。私の外見と中身の『相違』は周囲にどよめきを与えることとなる。
どこで覚えたのか戦闘態勢に入るとパンチまで繰り出すおてんばで勝気な性格。泣き虫なのに、喧嘩っ早い。自分の感情に素直なのだ。
遊びは外で走り回ったり木登りしたりするのが好き。
外見の大人しそうな、清楚そうな印象とは正反対の活発さだった。
幼稚園から、毎日傷だらけになって帰ってくる娘に、両親は心配を募らせた時期もあったそうだーーが。
父は基本、『自分で学べ』形式の子育てを推奨していた。
だから母とも話して、なるべく口出しせず見守ってくれていた。
更に言えば、両親は私が可愛くて仕方なかった様子で、自分で言うのも何だか、父や母からはとても愛されていると思う。外見と中身が違っていたって、怪我は心配しつつ『八重は元気なのが一番よ』と褒めてくれることまであったから、内面を変えようなんて気は間違っても起きなかった。もちろん、変えようとしたってなかなか根幹部分は変えられないだろうけれど。とにかく。
ーーこれが、わたし。私は、私なのだ。
その頃はそんな思いで、毎日をただがむしゃらに生きていた。
◇
『本当に!!申し訳ありませんでした!!』
両親が深々と頭を下げた。
先に仕掛けてきたのは男の子だと内心思っていたが、頭を下げた方がいいのはわかっていたから、私もペコリと男の子のご両親には謝罪する。
『あははは、そんな改まって。大丈夫ですから、顔を上げて下さい。うちの子も、ややこしい発言をしてしまったみたいですし』
その後何とか修羅場を脱して、私たちはお隣の家にご挨拶に伺うことができた。
というのも、倒れた男の子は実はお隣さんで、ちょうど仕事から帰宅したご両親たちが駆け寄ってきて、その場で、ことの顛末を知ったからだ。
まぁ。白目をむいて倒れていた父は、お隣さんである事実に再び衝撃を受けてーー今度は泡を吹いて倒れたので、少し時間はかかったが。
.....父、よく倒れるな。
でも、すぐに笑って許してくれた男の子の父・大狼 八雲と母・菜々子は、ものすごくにこやかに玄関まで招いてくれた。
何なら『お茶でもどうですか』と誘って頂いたくらいに。
さすがに引っ越してきたばかりで、息子さんをパンチでノックアウトしておいてお茶は....と、丁重に辞退させてもらったため、現在、玄関でこのやりとり中である。
『お、大狼さん~....』
父が、神でもみるみたいに拝んでいた。
母も同じ態勢をとっていて、その時には少し冷静になっていた私は、申し訳なく思いつつ苦笑した。
『一生。お前も言うことがあるだろう?』
穏やかだが、きちんと言葉にしなさいという親心を感じられる声音で語りかけて、八雲パパは『一生』と呼ばれた男の子の背を押した。
罰の悪そうな顔をしながら押されるままご両親たちより前に出た彼は、しばらく視線を彷徨わせたあとにちらりと私の方を見た。
ゆっくり下がっていく眉に、私は目をゆるゆると見開いた。
『....大狼 一生。美花小学校の三年生です。....さっきは誤解させてしまってごめんなさい』
少し小さめの音量だけれど、きちんと自己紹介から始まって、真摯な言葉で謝罪されて。私はもっと目を見開いて驚いた。
(...あれ?何だかすごく....いい子なのかも?)
単純な私はさっき言われた言葉も一瞬で忘れて、目の前の一生を見直した。
私は、生まれた時から外見を褒められていたらしい。
でも、成長と共に....というより、かなり早い段階で。私の外見と中身の『相違』は周囲にどよめきを与えることとなる。
どこで覚えたのか戦闘態勢に入るとパンチまで繰り出すおてんばで勝気な性格。泣き虫なのに、喧嘩っ早い。自分の感情に素直なのだ。
遊びは外で走り回ったり木登りしたりするのが好き。
外見の大人しそうな、清楚そうな印象とは正反対の活発さだった。
幼稚園から、毎日傷だらけになって帰ってくる娘に、両親は心配を募らせた時期もあったそうだーーが。
父は基本、『自分で学べ』形式の子育てを推奨していた。
だから母とも話して、なるべく口出しせず見守ってくれていた。
更に言えば、両親は私が可愛くて仕方なかった様子で、自分で言うのも何だか、父や母からはとても愛されていると思う。外見と中身が違っていたって、怪我は心配しつつ『八重は元気なのが一番よ』と褒めてくれることまであったから、内面を変えようなんて気は間違っても起きなかった。もちろん、変えようとしたってなかなか根幹部分は変えられないだろうけれど。とにかく。
ーーこれが、わたし。私は、私なのだ。
その頃はそんな思いで、毎日をただがむしゃらに生きていた。
◇
『本当に!!申し訳ありませんでした!!』
両親が深々と頭を下げた。
先に仕掛けてきたのは男の子だと内心思っていたが、頭を下げた方がいいのはわかっていたから、私もペコリと男の子のご両親には謝罪する。
『あははは、そんな改まって。大丈夫ですから、顔を上げて下さい。うちの子も、ややこしい発言をしてしまったみたいですし』
その後何とか修羅場を脱して、私たちはお隣の家にご挨拶に伺うことができた。
というのも、倒れた男の子は実はお隣さんで、ちょうど仕事から帰宅したご両親たちが駆け寄ってきて、その場で、ことの顛末を知ったからだ。
まぁ。白目をむいて倒れていた父は、お隣さんである事実に再び衝撃を受けてーー今度は泡を吹いて倒れたので、少し時間はかかったが。
.....父、よく倒れるな。
でも、すぐに笑って許してくれた男の子の父・大狼 八雲と母・菜々子は、ものすごくにこやかに玄関まで招いてくれた。
何なら『お茶でもどうですか』と誘って頂いたくらいに。
さすがに引っ越してきたばかりで、息子さんをパンチでノックアウトしておいてお茶は....と、丁重に辞退させてもらったため、現在、玄関でこのやりとり中である。
『お、大狼さん~....』
父が、神でもみるみたいに拝んでいた。
母も同じ態勢をとっていて、その時には少し冷静になっていた私は、申し訳なく思いつつ苦笑した。
『一生。お前も言うことがあるだろう?』
穏やかだが、きちんと言葉にしなさいという親心を感じられる声音で語りかけて、八雲パパは『一生』と呼ばれた男の子の背を押した。
罰の悪そうな顔をしながら押されるままご両親たちより前に出た彼は、しばらく視線を彷徨わせたあとにちらりと私の方を見た。
ゆっくり下がっていく眉に、私は目をゆるゆると見開いた。
『....大狼 一生。美花小学校の三年生です。....さっきは誤解させてしまってごめんなさい』
少し小さめの音量だけれど、きちんと自己紹介から始まって、真摯な言葉で謝罪されて。私はもっと目を見開いて驚いた。
(...あれ?何だかすごく....いい子なのかも?)
単純な私はさっき言われた言葉も一瞬で忘れて、目の前の一生を見直した。
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