いい加減こっち見ろよ!〜見た目だけだとフラれ続ける私は、どうやら幼馴染の執着愛に気づいていなかったようです。〜

こころ ゆい

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もう少しお手柔らかにお願いしてもいいですか?

3.同居?同棲?②

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「このマグカップ、やっぱり可愛いね」

「八重、このキャラ好きだよな」

「うん、大好きっ。ゆるい感じがいいの」

 一生が珈琲を淹れてくれたマグカップは、私の好きな『ぐでパンダ』のキャラクターが描かれたペアマグ。

 男の子の『ぐでパンタ』と女の子の『ぐでパンダ』がそれぞれに描かれていて、二つ並べると二人が腕を組んで寄り添っている形になるデザインだ。

 しかもこのペアマグ。限定品で、このキャラが大好きな私は発売日にわざわざお店に並んでまで買い求めに行ったクチ。でも結局私の順番が回ってくる前に売り切れて買えなかったのだ。

 それがどうして一生の家にあるのか。
 ここに引っ越して(?)きた日に、まるで馬の前にぶら下げる人参のごとく差し出されて、興奮した経緯がある。

 彼は、「もらった」と一言だけ。
 でも照れると言葉数が簡潔になる気がある一生だから私はピンときた。多分、偶然見かけて、私が喜ぶ顔を想像して譲ってもらったのかなぁ、と。

 うむ。これ以上は深く追求しないでおこうと一言お礼を言うにとどめたのだ。

「ふぅん。俺にはあんまわかんないけど」

「え~、このゆる可愛いが伝わらない?人を脱力させる魅力満載でしょう?」

「ふはっ、宣伝部長かよ」

 くくくっと肩を震わせる一生に、マグカップを「ほれほれ」と近づける。

「わーかったって。可愛い。ゆる可愛いは十分伝わったっての」

「ふふん、やっとわかったか」

 腰を元の位置に落ち着けた私の頭を、一生はよくできましたとばかりにポンポンした。.....甘やかされてる。可愛がられてる。愛でられている。


「今度の休み、何したい?」

「え?」

「俺も休みだから、どっか行くか」

「いいの!?」

「ああ。買い物か映画か.....行きたいって言ってた美術館でもいいぞ。どうしたい?」

「えっと~....迷う」

「ははっ、俺が決めてもいいぞ。まだ迷う時間あるけど」

「じゃあ、ちょっと考える」

「ん。了解」

 また頭をぽんぽんされて、とても優しい目で見つめられて.....胸が満たされていった。

「一生....」

「ん?」

「ありがとう....」

 気づいたら、頬は緩みっぱなしで。ふにゃって笑み崩れてーー。胸を満たす幸福感にふわふわと浸っていたから、一生の表情まで見えてなかった。

 口元は緩んだまま、ソファの背もたれに身体を預けて。視線を両手で持ったマグカップに落とした瞬間、目の前にふっと影がさした気がしてーーふにっ。.....唇に柔らか感触と温かな体温を感じた。

「............」

 一瞬、何が起きたのか理解できなくて.....でもゆっくりあげた視線の先に一生の緊張した顔があった。

 距離なんてないくらい近く.....なんなら鼻先が触れてるくらいの場所で「.....いや?」って。低くて甘くて.....少し震えた声で聞かれてーー。

 私は顔がみるみる熱くなった。恥ずかしさと異常なほど高鳴る心臓で、一生と目を合わせていられなくて視線を逸らす。

 でも誤解されたくなくて、首だけはふるふると横に振った。

「.....八重。好きだよ」

 私の返事を聞いてから、一生はさっきの声と違う、甘くて優しい声音でそう言って....また唇がふわりと重なった。

 さっきはすぐ離れた唇が、今度は長く重なったまま。夢の中を歩いてるみたいな、泳いでるみたいな。地に足がついてない感覚に陥った。

 ふっと離れた時長い腕に包まれて、優しい力でぎゅって抱きしめられた。

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