異世界帰りの勇者さま

ノリ君

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1章 帰ってきた勇者さま

4話 ヒーロー????勇者さま

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「ふう、危なかったぜ!」

 焦ったせいで、声を出してしまったが、つぶやくように言ったから聞こえてないだろう。
 さすがに、声を出したら気付かれるかもしれないからな。
 
 神(しん)が、思考しながらか自然体へと体勢を戻しているとき、ナイフを突きつけた男は、いきなり現れた男にナイフを抑えられ、腹を蹴られた痛みで悶絶していた。

 ナイフを突きつけたC男の状況は、ナイフを持っていた手は、手首あたりが逆方向に折れており、神力でふき飛ばないように抑えられた状態で、神(しん)の蹴りを食らった腹は、内臓破裂状態になっていた。
 おかげで、C男は痛みのあまり、気絶してくずれ落ちるように倒れていった。

 A男とB男は、ケンカ慣れしたC男なら、ただ蹴られただけで、すぐに起き上がるだろうと思っていたので、C男の心配より、いきなり現れて、これからのお楽しみを邪魔した男に腹を立てていた。

A 「なにすんだ、てめえ!」
B 「ぶち殺すぞ、ごらあ!!」
 下衆な男たちは、それぞれにナイフを持って女性に乱暴をはたらいていたため、持っていたナイフを取り出して身構えてきた。
 下衆な男たちは、慣れた手つきでナイフを弄びながら、
A 「なんだてめえ、マフラーで顔を隠しやがって、ヒーローにでもなったつもりか!」

 男たちのやり取りで、ようやく恐怖で固まっていた美奈子達が、危ない男たちと自分達の間に、細身の男子がいることに気付いた。


美奈子
 「え?だれ?いきなり現れた????」
桜     
 「ふぇ?だれ?どこから来たの?」

 美奈子と桜は、雪子にナイフが向けられた瞬間も見ていたため、神(しん)が転移で現れたのを見ていたが、当然、瞬間移動と同じ転移で人が移動する現象が物語の中だけと思っている二人は、現状を理解できずにいた。
 雪子は、人の気配が迫ったのに、痛みや衝撃がないことを不思議に思い、目を開いたら、視界に自分を守るように立つ、赤いマフラーが目立つ全身黒ずくめの男性がいることが入り、背中にまわされたマフラーに
     SIN♥
と編み込まれている文字に気付いた。

雪子   
 「え?なに?だれ?え?SIN?」

 雪子のSINと言う言葉を聞いた美奈子と桜は、自分達を守るように立つ男性のマフラーに、SIN♥と編み込まれているのに気が付いた。
 おかげで、美奈子達は、助けに来てくれ男性が、SINという人物なんだろうと思ったが、マフラーが顔が隠れているため、まだ、神(しん)であることはバレずにいた。
 まあ、落ち着いて服装を見たら、クリスマスパーティ前に会ったときの神(しん)の服装と同じことに気付いて、マフラーのSIN♥という文字と服装から神(しん)であることは間違いないと思われることになる。
 しかし、鈍感勇者の称号が良い仕事をしてくれたため、神(しん)は、バレてねえと思っていた。


 美奈子達が、まだ動揺している間に、神(しん)は、次の行動に移っていた。


 『雪子にナイフを突きつけた奴は、内臓破裂か...ココ日本で殺すとマズいな・・・内臓を治す代わりに男の尊厳を取り上げよう。』
 神(しん)は、生命が軽い異世界で神にまでになった男である。よって、殺すことに躊躇はしなかったが、自分の日本でのこれからを考え、男どもの一物のみを奪い取ることに考えが決まった。


 そう考えた俺は、アイテムボックスから、愛用の刀である

     神刀 神切り
(存在次元が違う魔神を切るために作った刀であるため、神(しん)の任意で切れるモノが変わる)

を取り出し、神速で男どものナイフと服、それと一物を細切れにして、出血させないよう、股間のいち部分のみを瞬時に雑な状態で治療した。

 「カチ、シュン!!カチン!」
       「パラパラパラッ」

 神(しん)が神刀神切りを鞘に納めると、男どもの服がパラパラと落ちていき、男の証明である一物が無い裸体を晒した。

A 「うお!?なんだ?どこから出しやがった?」
 下衆Aはどこからともなく出された刀に驚き

B 「げ!?刀かそれ?」           
 下衆Bは出された物が刀だと気付き驚愕し

C 「なんだ?痛みが無くなった?」      
 下衆Cは、内臓破裂の痛みが消えたことを不思議に思いながらも立ち上がった。



男どもは服と一物が消えていることに気付いていなかったが、そこは真冬の寒空である。
一気に身体が冷え、男どもが思わず、「「「さむっ」」」と声を出して身体を抱えると裸になっていることに気付いた。

 男どもは、自分自身が裸になっていることに気付いて、思わず股間を隠したが、股間にあるはずのモノが無くなっていることに気付きさらに驚愕することになった。

 「「「あれ?無ぇ」」」
男どもは、隠した股間から手をどけてのぞき込み、マジマジと自分の股間を見ていた。


 美奈子達は、目の前に立つ男性が、どこから出したのか、いつの間にか黒い棒を手に持っており、カチンという音とともに、男どもが裸になっていくのを見て


 「「「ふぇ!?」」」

と驚き、思わず顔を手で覆い隠した。
 しかし、そこは気になるお年頃の女子である。
 3人は、気になって指のすき間から男どもを見てしまい、股間のモノが無くなっている男どもを見て

 「「「あれ、おチンチンが無い?おしっこのときには生えてくるのかな?」」」

とトンチンカンな思考になっていた。

 ちなみに、美奈子達の通う学校は、女子に対する性教育がちゃんとした学校で、その教育が半分だけ活かされる形で、美奈子達の思考を形作っていた。
 女子は、男子に比べて色々あるため、男子より先に教えられるのです。

 神(しん)は、神になったうえに神スキルのおかげから、何でもありになったため、声を女性の声に変声させ、男どもに対し、

〘オカマにしてやったんだ!サッサとどっかに行きやがれ!!!〙

と威圧した。
 そして、そこは神の威圧である。
 男どもは、神威に晒されたことから、全身を震い上がらせ、おもわずおしっこをチビリながら慌てて逃げて行った。
 この時、神(しん)は、逃げて行く男どもに対し、男どもと同じように女を襲うゲス野郎達からは、絶世の美女に見えるようになる幻術魔法とお尻が魅惑的に見える魅惑魔法をかけ、さらに、襲った男どもが一生不能になるというか腐り落ちる呪魔法もかけ

 『あいつら、アジトに戻ったら、襲われるだろうなあ。
  ウンチするの大変になるだろうなあ。
  襲った奴らも、おしっこだけでも不便になるだろうなあ。』

と思いながら、ニヒルに笑っていた。

(マフラーのおかげで、悪顔になっていたのがバレていない。しかし、見られたら周囲がドン引くレベルです。)


 神(しん)は、クックックと笑いながら、神刀神切りをアイテムボックスに入れて、美奈子達の方に振り返った。


 ココで神(しん)の中二病が発症した。

 『あれ?声を女性にしたから、髪を伸ばしさえすれば、男装の麗人に見えるんじゃね?』

と、変な方向に装うことを考え、振り返った直後に髪をマフラーから出したように見せ掛けながら、一つ結びにした長髪に変身し声を掛けた。

 「大丈夫かい、君たち。夜道は危険だから早く自宅に帰りなさい。」
 
 神(しん)は、男装の麗人になりきって美奈子達に声をかけ、反対方向に行けばいいのに、自宅方向に向かって立ち去ってしまった。

 この時、神(しん)は、男装の麗人ごっこ遊びの中二病状態である。

 それに
    さすが天然ママの息子である!

 おかげで、冷静さを取り戻した美奈子達に、マジマジと服装と背中まわされたマフラーのSIN♥の文字を見られ、美奈子達が愛して止まない神(しん)の自宅を知らない訳がないのに、その神(しん)の自宅方向に立ち去って行くのを見られていた。

 神(しん)は、母親譲りの天然でミスをしたことに気付かず

 よっしゃ、バレてないバレてない。
 あ!そういえば、自室から転移したんだった。このまま帰ったら、母ちゃんや巫女に怒られるな。
 えっと、自室の状態はっと・・・・・・よし、出てきたままの状態だな。
 巫女や母ちゃんはっと・・・リビングにいるな。
 よし、美奈子達からも見えなくなってる。
     
     転移!!

 神(しん)は、転移と同時に外なら靴、部屋なら裸足にしているため、音もなく自室に転移して、さてゲームの続きでもするかなと思いながら、伸ばした髪をそのままにして、マフラーはクローゼットにしまってゲームを再開させるのだった。


 美奈子達はというと、

美奈子
  「ねえ、桜。あれって神くんだよね。」

 「え?やっぱり美奈子もそう思うの?雪子は?」
雪子
   「神くんでしょ、好きな人を間違えたりしないよ。それに神くんのマフラーにSIN♥って編み込まれてたし、あれって巫女ちゃんの手編みじゃないかな。巫女ちゃんって、お兄ちゃん大好きだし、けど、なんで髪が長いの?それに声は女性みたいだった。」

 「私たちに助けたことをバレないようにするため?」
美奈子
  「ええ?桜。それは違うんじゃない?だって、髪以外はバレバレだよ?
  照れてたんじゃないの?」
雪子
   「美奈子の言うとおりかも。私、刺されると思って目をつむってしまったけど、神くんが助    けに入る姿を見たかったなあ。目を開いたとき、目の前にいる姿がカッコ良かったなあ。     ねえ、二人は見たんでしょ。神くんが助けに入ってくれるところ。」
美奈子、桜
 「「え?」」
美奈子
  「いきなり現れたからわかんない。」

 「美奈子の陰から見てたけど、いつの間にか相手と雪子の間にいたの。」
雪子
   「え?わかんないの?まあ、しょうがないか。私が刺されそうになってたし」
美奈子
  「そうだよ。神くんが来てくれなきゃ私たち乱暴されていたよ」
美奈子、桜、雪子
 「「「ますます、好きになっちゃった♥ジュン・・♥」♥ジュン・・♥」♥ジュン・・♥」
 
という感じで、思いっきり天然を発揮したことで、神(しん)が助けたことがバレバレで、股間を濡らす結果となっていた。

 実は、神(しん)がマフラーを強化する際、ヒーローの格好良さを強くイメージするあまり、ヒーローはモテるという付加価値がついたため、魅了(特効)が付与されており、美奈子達の股間を激しく濡らす結果となったのだが、神(しん)は気付いておらず、ズレないようにする固定化だけを解除してクローゼットに直していた。《魔法はイメージが核です。》
 その為、冬休み明けの登校時には、マフラーの強化魔法と魅了(特効)付与が、放置されたことで更に固定化されてしまい、神である神(しん)でさえも解除できない強固なものになっており、休み明けで中学校に登校した際に、神(しん)は苦労することになる。が、それは後のお話しにしよう。

 さて、神(しん)は、どうしているかというと、ゲーム最初の分岐点で思いっきり悩んでいるのであった。


 ううう・・・・・別の選択肢を選ぼうとすると、強烈な悪寒がするのは何でだ?
 あ・・・・・お腹痛くなってきた下痢になったかも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・イタタ(´-﹏-`;)



 さすが鈍感勇者、異世界(バレてると思うけどゲーム世界)の妻たちのプレッシャーで、お腹が痛くなってることに気付いてないようである。










〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 ん〜神(しん)は、神になったのに、苦難が降ってくるねえ。
 思いつくままに書いていますが、基本は面白おかしく苦難な神生を送る神(しん)を思い描いているので、不定期です。
 気長にお願いしますね。
 
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