異世界帰りの勇者さま

ノリ君

文字の大きさ
5 / 17
1章 帰ってきた勇者さま

5話 新年そうそう大変かもね 勇者さま(1)

しおりを挟む
     あれから、俺は冬休みを満喫すべくゲーマー魂を燃やし、デーモンクエストを楽しんでいた。
 相変わらず、俺があちらの世界で選んできた選択肢で、ターニングポイントの選択肢は、変に違うのを選ぼうとすると強烈な悪寒を感じて選べずにいたが、武技やスキル等は違うのを選ぶことが出来ていた。
     何せゲーム画面には、スキルの派生ツリーが見えていることから、疾風(素早く走るスキル)を熟練すると、瞬歩(一瞬で走り抜けるスキル)になり、そこから派生するスキルに瞬間移動(同じ次元内で瞬時に長距離も移動可能)や究極では転移(別次元にも跳躍移動可能)が覚えれると分かり、神スキルのおかげで、その辺をすっ飛ばしていたというか、神スキルで行っていた俺として、全スキルや武技等をコンプリートしないと気がすまないことになっていた。
    それに、向こうでは時間が過ぎるから、20年掛かったけど、ゲームではイベント事の間に時間が過ぎないため、レベル上げに勤しんでも何ら問題ないことに気付いてからは、俺が経験した1年目の内に20年目の俺を優に越えるスキルや武技等を身に付けていた。
    お陰で、当時、助けることができなかったキャラを助けることが出来ていた。
    そのため、いい方向に物語が進んで行きご満悦だった。
    また、そのおかげで、主人公の仲間達も多くのスキルを新たに身に付けており、ゲームでは俺が経験した3年目辺りだが、のちに嫁になるキャラ達が転移を修得できるまで、もう少しという所まで来ていた。
    俺は、喉が渇いて小腹がすいている状態になったので、切りの良いところでゲームを中断することにした。


    「んんん〜!何時間、俺はゲームをしてたんだ?」

    俺は、同じ姿勢でゲームをしていたので、背伸びをしながら時計を見ると、18時間はぶっ通しで ゲームをしていたようだ。
 『どおりで小腹がすいたと思ったよ。』
    俺は、何か少し食べようと思ってリビングへ向かった。
    すると、リビングからは、歌と音楽が聞こえ、母ちゃんと巫女が今年の衣装はどうだとか、次の歌手はだれかという話し声も聞こえてきた。
    どうやら、母ちゃんと巫女は歌番組を見てるようだと思って、リビングに入るとテレビの方を見てみた。
    「あれ?巫女。これは紅白歌合戦?」
    「え?ああ、お兄ちゃん降りてきたんだ。ん?そうだよ?今から白組のアイドルが歌うよ。」
    「そっか。」『ああ、ゲームに夢中で忘れてたわ。ん?ということは今日は大晦日か。あちゃー‼曜日や今日の日付までの感覚が抜け落ちてた。』『そういえば、初詣はどうするんだ?』
    「なあ、巫女 。初詣はどうするんだ?今年も親父達と一緒に行くのか?」
    「 んとねえ。今年もお母さん達と一緒に行くよお。当然、お兄ちゃんもだよ。」
    「そうよお。ママは家族一緒に行かないと嫌よ?それにしんちゃんは、受験だからお詣りしなきゃね。」
     『そういえばそうだよ。受験か〜、召喚される前なら憂うつになったんだろうけど、今じゃ教科書や参考書を一読みすれば覚えれるステータスになってるから、気にもしてなかったよ。』
    「御詣りねえ、分かったよ母ちゃ「ママよ‼」・・分かったよママ。ところで親父は?」

    俺は周知能力で、親父がコタツで寝てるのは気付いていたが、敢えて聞いた。

   「 お父さんなら、コタツで寝てるわよ。紅白歌合戦が終わったら起こすから、蕎麦を食べてから初詣よ。」

   「毎年恒例だね。じゃあ、ゆっくりしてるよ。」

    俺は母ちゃんに答えながら、ソファーで紅白歌合戦を見てる巫女の隣に座り、巫女の頭を撫でながら、時間までのんびり待つことにした。

    紅白歌合戦も終わり、起こされた親父も一緒に年越し蕎麦を食べると、毎年恒例の除夜の鐘を聞きながらの初詣に出掛けることになり、家族それぞれが出掛ける準備に掛かった。

    一旦、自室に戻った俺は、いつもの感覚で、いま着ている部屋着をアイテムボックスに収納すると、黒一色の格好にするか、正月なので向こうで作った紋付き袴にするか悩んでいたが、よく考えてみれば、親父達が知らない紋付き袴を着ていったら、問われることに気付き、黒一色の格好にすることにして、アイテムボックスから瞬時に着替えた。

    バサッ!シュッ!!

    神(しん)は瞬時に、襟が立つロングコートを羽織る黒衣姿になっており、黒一色なのに神聖なオーラを纏っていた。
    なぜなら、神(しん)が神になった際に装備していた装備品で、神話級のものだからだ。

   改めて、神(しん)が着た黒一色の格好を見てみよう。

上衣    パッと見で黒ワイシャツに見える
        【聖黒龍の神居衣】
                状態異常無効・全属性反射吸収・浄化
                防御力    250000
下衣    パッと見で黒色の皮ズボンに見える
        【聖黒龍の神脚衣】
                全能力10倍から100倍(任意に変更可)、HPMP回復毎秒10%
                防御力    300000
足先    黒色の靴下に見える
        【聖黒龍の神足袋】
                取得熟練度10倍上昇、取得経験値10倍上昇
                防御力    150000
具足    黒色の革製ブーツに見える
        【聖黒龍の神具足】
                空間姿勢制御
               (空に立てるなど空間姿勢の任意制御)
                空間環境制御
               (装着者の周囲環境の任意制御)
                防御力    200000
外套    革製のロングコートに見える
        【聖黒龍の神衣比翼】
                後光・比翼変形・衝撃全吸収・ 光陣壁展開・浄化
                防御力    500000
聖黒龍シリーズ全装備時ボーナス:防御力2倍

ちなみに、学生服姿は

学生服                    防御力5
学生ズボン            防御力5
ワイシャツ            防御力2
白靴下                    防御力1
運動靴                    防御力3

となっている。
ん、分かりづらい?では、騎士の標準装備でなら

鋼の鎧                    防御力45
鋼の盾                    防御力50
鋼の具足                防御力20
鋼の兜                    防御力25

である。

   うん、神(しん)の装備は、さすが神の装備品でチートですね。



   よし、着慣れたこの格好でいいか。
   母ちゃんの準備を外で待つか。

    俺は、着慣れた格好であったため、特に気にすることもなく玄関で聖黒龍の神具足を履き、玄関外で待っていた。
    すると、準備が終わった親父達が玄関から出てきたので、外側の空を見ていた俺は振り返った。

    親父達は、俺の方を見て呆けた状態でいた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 「あら、しんちゃんは?どうしたの?」

 「お兄ちゃんは早くて、外で待ってるみたいだよ。」

 「しんはもう準備が終わったのか?じゃあ母さん、初詣に出ようか。」

 「そうね。戸締まりは大丈夫かしら?」

 「あとは、玄関だけだよ。お母さん」

 私はお母さんに、玄関のドアに鍵を掛ければ戸締まりが終わることを話して、外に出た。
 すると、私の目に神秘的な男性の後ろ姿が映った。

 私は、それがお兄ちゃんだとは気付かず、神秘的で神聖な感じがする後ろ姿の男性に見惚れていたら、その男性が振り返った。
 その瞬間、夜なのに後光が指して見える男性に見惚れ呆けてしまい、思わず頭を垂れて跪こうとしたところで、その男性が声をかけてきて驚いた。
 その男性がお兄ちゃんだったからだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 「あれ?親父達、どうしたの?」

 俺は、玄関に鍵をかけながら呆けている母ちゃんとなぜか片膝をつこうとしている親父と巫女に声を掛けた。
 すると、3人ともに[( ゚д゚)ハッ!]という感じの顔になり、返事を返してきた。

 「え?お兄ちゃん?」

 「はっ!シン・・・か」

 「ふぁ!??しんちゃん???」



 「なにをバカなことを聞いてるんだよ?どこからどう見ても俺だろ?どうしたんだ。」


 「いや・・・・俺には神様が目の前に現れたように見えてな。シンだとは気付かなかった。」

 「私も同じように感じたの。お兄ちゃんが格好が良い」

 「ママも鍵をかけながら、ビックリしたのかな?固まっちゃった。しんちゃんかっこいいわね、それ。」


 神(しん)は、親父の言葉に思わず驚き反応したが、すぐに冷静になり、平静を見せて

 「何言ってんだ、親父?まだ、寝ぼけてんのか?
  それより、早く行こうぜ!」

 親父達に初詣に行くことを促した。




 


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生女神さまは異世界に現代を持ち込みたいようです。 〜ポンコツ女神の現代布教活動〜

れおぽん
ファンタジー
いつも現代人を異世界に連れていく女神さまはついに現代の道具を直接異世界に投じて文明の発展を試みるが… 勘違いから生まれる異世界物語を毎日更新ですので隙間時間にどうぞ

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...