異世界帰りの勇者さま

ノリ君

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1章 帰ってきた勇者さま

6話 新年そうそう大変かもね 勇者さま(2)

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 神(しん)達、家族は、神社の参道入口まで来ていたが、当然、神(しん)が纏う神気のせいで、ちょっとした有名人よりも注目を集める様を呈していた。
 神(しん)達は、神(しん)が受験生ということもあって、全国でも有名な学業の神様が祀られている太宰府天満宮へとやってきたのだが、移動は電車を使っており、電車内では美麗麗しい男子のうえ、顔を見慣れた家族さえ呆けてしまう神気を纏う神(しん)は、居合わせた人々に畏まれる状態になっていた。
 神(しん)はというと、妹の巫女とゲーム(デーモンクエスト)の話をしており、ゲーマーである神(しん)は話に夢中になっていたため、電車内の状態に気が付いていなかった。
 さすがに、終点になっていた駅に到着すれば乗り過ごすということはなく、電車から降りたのだが、ホームに降りたら降りたで注目を集めていた。
 それは、美麗な神(しん)の家族である藤原家は当然、父親はちょい悪風イケメン、母親はほんわか美女、妹はお人形さんのような美少女であるので、召喚前でもちょっとした注目を集めることはあったが、初詣で混雑する場所で、人が少し離れて注目を集めるほどでは無かった。
 神(しん)は、電車から降りたら家族の先頭を歩いていた。
 神(しん)の腕には、妹の巫女が抱き付いており、神(しん)は抱きつかれて歩く状態に注目を集めていると思っており、シスコンの神(しん)は、気にせずに歩いているが、傍から見ると、神(しん)の前方の人海が割れていく状態になっていた。

 『うわあ、やっぱ、初詣の天満宮は、人で溢れかえっているなあ。』
 『でも、その割には歩きやすいな。前の人なんか、振り返って道を譲ってくれるし、ありがたいな。(⌒▽⌒)』

 神(しん)は、全く気づいていなかった。
 神(しん)は、なったばかりとはいえ、神である。人々は、神である神(しん)の神気にあてられ本能的に道を譲っているのである。
 おかげ、人で溢れかえっている駅から神社までの参道が、上空から見ると、神(しん)を先頭に人垣が割れていくという状態になっていた。




 神(しん)は、本殿前の手水舎で手を清めながら、本殿側から神気が漂って来るのを感じ取っていた。(自分が神気を漏らしていることには気づいていなかった)

 神(しん)は、桜門を潜ると、本殿側の様子をうかがい、本殿の屋根上に宮司の格好で座り、本殿内を見ている男性がいることに気付いた。
 すると、あちら側も気付いたようで、互いの目が合うことになった。
 神(しん)は、姿勢を正して会釈した。

 その姿は、周りの人々が見ることとなった。
 それは、神(しん)の周りが約5メートルくらいは、恐れ多いと本能的に感じ取っていた人々が離れている状態になっており、神(しん)の家族しかそばにいなかったためである。
 その為、周りの人々からは、美麗な男子が桜門を潜ってすぐのところで姿勢を正し、本殿に向かって礼をするという姿が神聖な仕草に見えていた。

 その様子は、たまたま初詣の天満宮を報道していたNEWS番組の中継生放送で撮られることになった。



 「では、初詣で混雑していると思われる太宰府天満宮にいる高橋さん。どうですか様子は?」

 「はい、こちらは今、太宰府天満宮に来ています。見てください。新年まもなくというところですが、すでに本殿内は初詣に訪れた人達で混雑しております。おや?桜門の方の人垣が割れていきます。中学生くらいの男性が、妹でしょうか?腕に抱き付いている状態で入ってきました。なぜ、人々は遠巻きにいるのでしょうか?」
 リポーターは、神(しん)たちを遠目に見ているため、顔の詳細まで見えておらず、神(しん)のあとからくる両親との背格好の比較から中学生くらいと判断し、レポートしていた。
 当然、人垣が割れたところに歩いてくる人物に注目することになった。
 カメラは、人垣が割れていく様子を撮っており、人垣が割れて開いた空間に歩いてくる神(しん)をアップにしていった。
 そして、桜門のそばで立ち止まり、本殿を少し見上げて笑顔になる顔を撮っていた。
 その様子はしっかりとカメラが捉えることになり、神(しん)が姿勢を正し、笑顔から真剣な顔で一礼する姿を全国区で報道することになった。
 おかげで、ツイッターなどSNSは大盛況となり、その様子は神(しん)の同級生にも知られることになっており、また、レポーターやテレビを見ていた人々も見惚れる状態になったことで、無音報道となり、NEWS番組で無音になるという放送事故を起こしていた。


 神(しん)は、一礼しながら、自分が神になったことで、学業の神である菅原道真公が見えたことを嬉しく思っていた。
 そのため、神(しん)は一礼を終えて身体を起こしたあと、満面の笑顔になっており、それを見た全国区の女性が、老若関係なしに見惚れてしまった。
 そして、一瞬にしてファンというか、神(しん)の信者を作ったことで神力を上げることになり、あとで苦労することになる。

 『あのひとは、道真公だろう。まさか、初詣にきて道真公に会えるとは思ってなかったよ。』

 神(しん)は、姿勢を正した際に、巫女を腕から離しており、一礼したあと道真公を見ながらコートを翻しながら、颯爽と本殿の祭壇側に向かって歩いて行った。
 そして、また、その先の人垣が割れて祭壇までの道が出来上がり、その道を神(しん)は、当然のように歩いていった。


 女性のニュースキャスターは、見惚れた状態から我に返り、思わず
 「あの美しい少年は誰?なんて笑顔を魅せるのよ!」
と叫んでしまっていた。。
 おかげで、他のキャスターも我に返り、女性キャスターが叫んだことを詫て、ニュースを続けるのであった。



 『え?お兄ちゃん?なんでこんなところでおじぎをしてるの?』


「あ、お兄ちゃん。私を置いてかないで」

 巫女は、兄が立ち止まり一礼したことを不思議に思い、また、歩き始めた神(しん)をみて、兄に声をかけながら両親と共に、本殿奥へと歩いて行く神(しん)を追いかけていった。
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