異世界帰りの勇者さま

3章 高校だよ！ 勇者さま

１６話 戦隊ごっこですね 勇者さま

　神（しん）が、１体の悪魔にエクスカリバーを振るうと、剣筋が縦、横、斜めと数十本の光の筋として走り、悪魔の両腕が消え去る。
　Gayoaa！悪魔が叫びながら神（しん）に蹴りを繰り出し、神（しん）はエクスカリバーを盾替わりにして、蹴りを捌いていく。
　他の悪魔は、火の玉をそれぞれ３つほど神（しん）に撃ち込んできた。
　神（しん）は、蹴りをバク転で躱すと、火の玉を一閃しながら後方に飛び退く、一閃された火の玉はそれぞれ爆発し、周囲に熱風を撒き散らした。
　傍から見ると、少し押され気味に見えた。
　子供たちは不安げに見ており、神（しん）は子供たちが不安になっているのに気付く。
　神（しん）は、悪魔達の攻撃を躱し、防ぎながら、Archiveにアクセスし、戦隊の神羅が変身して戦うことが分かった。
　生身で戦うことが子供たちの不安に繋がることが理解った神（しん）は、一旦、悪魔達から距離を取るように飛び退く。

　神（しん）は、Archiveで知った神羅の変身シーンを真似するため、密かに悪魔達に時空魔法ストップを掛けた。
　そして、エクスカリバーの柄頭にある宝玉に手を当て、叫んだ！
　　「BRAVE！CHRONOS！」
　神（しん）は、幻影魔法であたかも変身したように神羅の変身スーツを自身に被せた。

　その瞬間、子供たちは笑顔で「勇者クロノスに変身だー！」と叫んだ。
　子供たちの反対側で、透明な障壁で、子供達のところへ行けない大人達や生徒会役員達は、光り輝きながら、変身した仮面の男に唖然としていた。
　大人達や生徒会役員達は、その仮面の男が神羅高校の制服を着ていたことから、学校の生徒だろうと思っており、一人で悪魔達を相手にするのは無理だと、悪魔達から感じる威圧で思っていた。

　そして、子供達が仮面の生徒を、戦隊ヒーローだと言って離れたところへ移動したのは良かったが、逃げずに観戦し始めたのを見て、子供達を守ろうと向かったら、透明な障壁に阻まれて近づくことができず、観戦する羽目になった。

　そして、仮面の生徒が変身するという現象を見て、唖然となったのであった。

　神（しん）は、変身したら能力が上がるよねと考え、行動速度を上げ、両腕を失った悪魔を
　　「光斬剣！」
と叫びながら、聖光魔法フォトンスラッシュで光りの斬撃を飛ばして縦一文字で切り裂いた。
　
　悪魔は真っ二つに別れて粒子となって消えていった。
　Gaaaa！他の悪魔が叫びながら、火の玉が続けて神（しん）に撃ち込んでいく、神（しん）は、剣でそれらを捌き弾いていくと、火の玉は大人達や生徒会、子供たちの方へ弾かれ飛んでいく。
　
　たくさんの火の玉が自分達の方に飛んできたのを見て驚愕し、それぞれが身構えると透明な障壁に当たり、爆発していく。
　
　皆が透明な障壁に護られていることに気付き、戦いに目を向けると、１体の悪魔は粒子となって消えかかっており、もう一体は、今まさに斬られたところであった。

　しかし、最後に斬られた悪魔は体が半分切り裂かれた状態で後方に飛び退き距離を取ると、叫んだ！
　すると、周囲から黒色の粒子が集まっていき、悪魔を中心にして球状になると、悪魔に吸収されていき、悪魔は治った状態になり、しかも倍以上の体躯になった。
　悪魔はやられた他の悪魔達の力を吸収し、強くなったみたいであった。
　
　しかし、悪魔の横を一筋の光が通り過ぎると、悪魔の四肢が消え去った。
　悪魔が宙に浮いた状態で振り返ると、神（しん）が剣を振り抜いた状態から正対し、剣を掲げる。
　
　神剣武装！

　神（しん）が叫んだ

　すると、掲げた剣が光り輝いた状態から変形し、レッグ武装状態になると、光の粒子となって、神（しん）の右足に装着された。
　すると、神（しん）は腰を落として右足は半円を描くように後ろに回すと、

　光剣脚！！！

　神（しん）は技名と共に悪魔に向かって光を纏って弾丸のように飛び出し、右足を悪魔に真っ直ぐに向けた跳び蹴りを食らわせる。
　神（しん）は光線のように悪魔の中心を突き抜けた。
　当然、悪魔の身体の中心には、穴が空いた状態になると

　ＧＡＸＡAAAAAAAAAAA

　叫び声出しながら、黒色の粒子なっていく

　神（しん）は着地して　ズサーという音と共に滑って止まる。

　悪魔は残り１体となったが、悪魔２体分の黒色粒子が集まっていくと、変体が始まった。