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第六章≪秘密≫
3.脅迫者
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一週間後、兄は長谷川さんの甥に会うことになった。
同席したいと言ったけど、兄は聞き入れてくれなかった。
「オレが迎えに来るまで、花音を部屋に置いてくれ」
その日、わたしはジュディスのマンションに連れてこられた。
「いいけど、なにかあったの?」
心配そうに聞くジュディスに、兄は「ちょっとしたトラブルだ。問題ない」と言った。
兄が出ていったあと、わたしはジュディスに言った。
「お願いジュディス、わたし、家に帰りたい!」
「ダメよ、奏が迎えに来るまで、預かったんだから」
「お兄ちゃん、脅迫されてるの」
「脅迫?何を、脅迫されてるの?」
「そ、それは…」
言えない。ジュディスにも。
ジュディスは諦めたような顔を見せて、言葉を続けた。
「だったらなおさら、行かせることは出来ないわ。奏はあなたを心配してる。奏なら、大丈夫よ。脅迫者になんて、負けないわ」
「お願いジュディス、マンションの近くにいるだけでいいから」
「近くに行って、どうするの?」
「わかってる、何もできないって。でも、近くにいたいの!」
わたしはジュディスを振り切ってでも、出て行くつもりだった。
それが伝わったのか、ジュディスは溜息を吐いて、「わかったわ」と言ってくれた。
ジュディスの車で、兄のマンションに着いた。
ジュディスは車を路肩に停めた。
「ここで、いいわね?」
「ありがとう、ジュディス」
しばらくすると、長谷川さんがマンションの前に現れた。
男の人と一緒だった。
「花音!長谷川さんと一緒にいる男、この前、エントランスであなたに話しかけてきた、失礼なヤツじゃない?」
わたしは頷きながら、やっぱりそうか、と思っていた。
あの男が脅迫者だった。
身体が震えた。
得体の知れない恐怖に襲われて。
「花音、大丈夫?顔色が真っ青だわ。もう戻るわよ」
その場にいたかった、兄の側に。
でも、ジュディスにそう伝えることもできないほど、わたしは動揺していた。
同席したいと言ったけど、兄は聞き入れてくれなかった。
「オレが迎えに来るまで、花音を部屋に置いてくれ」
その日、わたしはジュディスのマンションに連れてこられた。
「いいけど、なにかあったの?」
心配そうに聞くジュディスに、兄は「ちょっとしたトラブルだ。問題ない」と言った。
兄が出ていったあと、わたしはジュディスに言った。
「お願いジュディス、わたし、家に帰りたい!」
「ダメよ、奏が迎えに来るまで、預かったんだから」
「お兄ちゃん、脅迫されてるの」
「脅迫?何を、脅迫されてるの?」
「そ、それは…」
言えない。ジュディスにも。
ジュディスは諦めたような顔を見せて、言葉を続けた。
「だったらなおさら、行かせることは出来ないわ。奏はあなたを心配してる。奏なら、大丈夫よ。脅迫者になんて、負けないわ」
「お願いジュディス、マンションの近くにいるだけでいいから」
「近くに行って、どうするの?」
「わかってる、何もできないって。でも、近くにいたいの!」
わたしはジュディスを振り切ってでも、出て行くつもりだった。
それが伝わったのか、ジュディスは溜息を吐いて、「わかったわ」と言ってくれた。
ジュディスの車で、兄のマンションに着いた。
ジュディスは車を路肩に停めた。
「ここで、いいわね?」
「ありがとう、ジュディス」
しばらくすると、長谷川さんがマンションの前に現れた。
男の人と一緒だった。
「花音!長谷川さんと一緒にいる男、この前、エントランスであなたに話しかけてきた、失礼なヤツじゃない?」
わたしは頷きながら、やっぱりそうか、と思っていた。
あの男が脅迫者だった。
身体が震えた。
得体の知れない恐怖に襲われて。
「花音、大丈夫?顔色が真っ青だわ。もう戻るわよ」
その場にいたかった、兄の側に。
でも、ジュディスにそう伝えることもできないほど、わたしは動揺していた。
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