セカンドパートナー*夫婦交換*

フジキフジコ

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高梨弘樹

【1】肉食

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最初のセカンドパートナー、江梨子とのデートは、仕事帰りの食事だった。

待ち合わせの場所に現れた江梨子は、淡い色のワンピースに薄いカーディガン姿だった。
ワンピースは膝上の丈で、形のいい足や細い足首を強調するような高いピンヒールの靴を履いていた。
セミロングの髪を巻いて、まるで「いい女」の見本のようだ。
美沙都はこんな靴を履いたことないな、とオレはおかしなことを思った。

江梨子が指定した店は思っていたよりはリーズナブルなイタリアンレストランで安心した。
月5万円の小遣い制のサラリーマンに、高額なデート代は正直きつい。

食事の間、話題になったのはもっぱら高校時代の話だった。
もうあれから10年以上立つのかと思うと、齢をとったと思わずにいられない。

食事の後で、江梨子にバーに誘われた。
バーなんて、結婚してから行ったことはなかった。
薄暗い店内で、色鮮やかな甘いカクテルを飲んでいると、独身の頃に戻ったような気分になる。
けれど別に戻りたいと思うわけじゃない。

カクテルを2杯飲み終えると、江梨子が「そろそろ、二人きりになれる場所に行きましょう」と言った。
「おい、酔ってるのか?身体の関係はないのがルールなんだろ」
驚いてオレがそう言うと、江梨子は目で笑った。

「それは建前よ。大人の男女がただ食事してお酒を飲むような付き合いをするかしら」
「嘘だろ、オレはそんなつもりは…」

言いかけて、美沙都のことが気になった。
美紗都も今日、江梨子の旦那と会っているはずだった。

オレの表情から察したのか、「今頃、美沙都もうちの夫と寝てるかもね」と意地悪く言う。
「ま、まさか」

オレは慌てて、ポケットから携帯を出して、美沙都に電話をかけた。
思い直し、すぐにその電話を切って、自宅にかけた。
するとすぐに美沙都が電話に出た。
安心して、オレは適当なことを言って電話を切る。

江梨子は呆れたようにオレを見ていた。
「馬鹿ね、冗談だったのに。うちの夫はそんなタイプじゃないのよ。でも、弘樹はわたしと同じでしょ」
「同じって、なにが」
オレは少しばかり、腹を立てていた。
「肉食って意味よ。さあ、女に恥をかかさないで。連れて行って」
断る隙のないようなタイミングで席を立った江梨子を、オレは慌てて追いかけた。


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