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11 ブルーナ(3-1)
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アデリーナ様とマルコ様が仲直りをされた。そうジーノの手紙に書いてあって、私は胸を撫で下ろした。
アデリーナ様とお茶をして数ヶ月の月日が経った。あれから、私達は連絡を取り合っていない。決して私達の仲が悪くなったわけではない。
私は伯爵夫人の侍女として働く事になったし、アデリーナ様も用事があってしばらく忙しくなると言っていた。つまり、予定が合わなかったのだ。
直接会うのが難しいなら、手紙を書いてみようかとも思った。
しかし、デリケートな話題を文字にして形に残してもいいものかと悩んだ。私がアデリーナ様の立場だったら、不躾に感じるから、結局、手紙を出すのはやめた。
だから、彼女とは連絡を取らずじまい。就職してから初めての休日も、ジーノのために使ってしまうから、しばらくアデリーナ様とは会えそうにない。
「お待たせ」
待ち合わせ場所に、彼は10分も前にやって来た。彼の逸る気持ちを感じられて嬉しい。・・・・・・もっとも、私は30分も前に来ているのだけれど。彼にそれを知られるのが恥ずかしくて、私は今来た風を装った。
「全然。待ってないよ」
「そう?」
彼は言いながら、まじまじと私を見た。
「今日は一段とかわいいね」
その一言でおしゃれをした甲斐があったと思った。
私は初任給で念願の新しいドレスを買った。パステルピンクが基調の、所々にレースが付いたこの服は、予算をオーバーしていた。しかし、それでも、ジーノにかわいいと思われたくて奮発して買った。そのせいで、アクセサリーを新調できなかったけれど・・・・・・。それは、また来月に買えばいいのだ。
「それじゃあ、行こうか」
「うん」
ジーノが腕を差し出したから、私は彼にぴたりとくっついて、腕を組んだ。
行きたい場所は予め伝えておいた。
裁縫屋さんに行くと、私は目当ての白と黒の毛糸を手に取った。
「ご両親はこの色が好き?」
「いいえ。お父様は赤色が好きで、お母様はライトブルーを好んでいるわ」
「どうしてその色にしないの?」
「服と合いやすい物を作ろうと思って」
「そうなんだ。ちなみに何を作るの?」
「お父様には手袋を。お母様にはひざ掛けを作るわ」
言っている最中、彼は毛糸を一つ手にした。
「俺にも何か作って?」
そう言いながら彼は黄色の毛糸を差し出した。
「いいけど、・・・・・・こんな派手な色でいいの?」
「うん。ブルーナの髪の色みたいだから、これがいい」
恥ずかしげもなく言う彼に、私は苦笑した。
「もう! 私の髪色はこんなに黄色くないわよ!」
そうやって抗議したけれど、本当は嬉しくてたまらなかった。
毛糸を買って店を出ると、私達はまた腕を組んで歩いた。今度はジーノが行きたいという場所へ行く。
「どこに行くの?」と聞いても、彼は「着いてからのお楽しみだ」と言って教えてくれなかった。
ウインドウショッピングをしつつ、歩いていると、ジーノはアクセサリーショップの中に入っていった。
「ジーノ、ここはちょっと・・・・・・」
高そうな宝石の数々に私がたじろいでいるにも関わらず、彼は店の奥へと入っていく。
店員さんに声をかけられた時、私は内心、「どうしよう・・・・・・」と思った。高価なアクセサリーを買うわけにもいかないし、かといって、何も買わないで帰るのも恥ずかしい。
しかし、ジーノは堂々としていた。彼は名前を告げた。すると、店員さんは「少々お待ち下さいませ」と言ってバックヤードに下がっていった。
「何か買うの?」
「うん」
彼は短く返事をした。
「それならそうと教えてくれたら良かったじゃない」
「あはは・・・・・・」
「それはそうと、誰にあげるの? もしかして、自分へのご褒美?」
そう言っていると、さっきの店員さんがケースを持って帰ってきた。
「こちらの商品で間違いありませんか」
ケースを開けて、中身をジーノに見せる。そこには、ルビーのネックレスが収められていた。可愛らしい装飾のそれを見て、贈られる人が羨ましいと思った。
「間違いないよ」
彼はそう言うとポケットから小切手を取り出して渡した。店員さんはそれを確認すると「確かに受け取りました」と言った。
「はい」
ジーノはその一言で、ケースごと、ネックレスを押し付けてきた。
「え?」
戸惑う私にジーノは言う。
「まだ分からない? ルビーは君の誕生石でしょ?」
確かに私は7月生まれだけれど。
でも、こんな高価な物は受け取れない。
断ろうとした時、店員さんが笑顔で声をかけてきた。
「今日のお召し物に、とても似合うと思いますよ」
屈託のない笑顔で言われて、鏡を差し出されると、断るに断れない。私は渋々、ネックレスをつける事にした。
「やっぱり。よくお似合いで・・・・・・」
感嘆の声を漏らす店員さんに、私は愛想笑いを浮かべた。確かに、今日の服との相性は良かったけれど・・・・・・。
私達は一先ず店を出ることにした。
アデリーナ様とお茶をして数ヶ月の月日が経った。あれから、私達は連絡を取り合っていない。決して私達の仲が悪くなったわけではない。
私は伯爵夫人の侍女として働く事になったし、アデリーナ様も用事があってしばらく忙しくなると言っていた。つまり、予定が合わなかったのだ。
直接会うのが難しいなら、手紙を書いてみようかとも思った。
しかし、デリケートな話題を文字にして形に残してもいいものかと悩んだ。私がアデリーナ様の立場だったら、不躾に感じるから、結局、手紙を出すのはやめた。
だから、彼女とは連絡を取らずじまい。就職してから初めての休日も、ジーノのために使ってしまうから、しばらくアデリーナ様とは会えそうにない。
「お待たせ」
待ち合わせ場所に、彼は10分も前にやって来た。彼の逸る気持ちを感じられて嬉しい。・・・・・・もっとも、私は30分も前に来ているのだけれど。彼にそれを知られるのが恥ずかしくて、私は今来た風を装った。
「全然。待ってないよ」
「そう?」
彼は言いながら、まじまじと私を見た。
「今日は一段とかわいいね」
その一言でおしゃれをした甲斐があったと思った。
私は初任給で念願の新しいドレスを買った。パステルピンクが基調の、所々にレースが付いたこの服は、予算をオーバーしていた。しかし、それでも、ジーノにかわいいと思われたくて奮発して買った。そのせいで、アクセサリーを新調できなかったけれど・・・・・・。それは、また来月に買えばいいのだ。
「それじゃあ、行こうか」
「うん」
ジーノが腕を差し出したから、私は彼にぴたりとくっついて、腕を組んだ。
行きたい場所は予め伝えておいた。
裁縫屋さんに行くと、私は目当ての白と黒の毛糸を手に取った。
「ご両親はこの色が好き?」
「いいえ。お父様は赤色が好きで、お母様はライトブルーを好んでいるわ」
「どうしてその色にしないの?」
「服と合いやすい物を作ろうと思って」
「そうなんだ。ちなみに何を作るの?」
「お父様には手袋を。お母様にはひざ掛けを作るわ」
言っている最中、彼は毛糸を一つ手にした。
「俺にも何か作って?」
そう言いながら彼は黄色の毛糸を差し出した。
「いいけど、・・・・・・こんな派手な色でいいの?」
「うん。ブルーナの髪の色みたいだから、これがいい」
恥ずかしげもなく言う彼に、私は苦笑した。
「もう! 私の髪色はこんなに黄色くないわよ!」
そうやって抗議したけれど、本当は嬉しくてたまらなかった。
毛糸を買って店を出ると、私達はまた腕を組んで歩いた。今度はジーノが行きたいという場所へ行く。
「どこに行くの?」と聞いても、彼は「着いてからのお楽しみだ」と言って教えてくれなかった。
ウインドウショッピングをしつつ、歩いていると、ジーノはアクセサリーショップの中に入っていった。
「ジーノ、ここはちょっと・・・・・・」
高そうな宝石の数々に私がたじろいでいるにも関わらず、彼は店の奥へと入っていく。
店員さんに声をかけられた時、私は内心、「どうしよう・・・・・・」と思った。高価なアクセサリーを買うわけにもいかないし、かといって、何も買わないで帰るのも恥ずかしい。
しかし、ジーノは堂々としていた。彼は名前を告げた。すると、店員さんは「少々お待ち下さいませ」と言ってバックヤードに下がっていった。
「何か買うの?」
「うん」
彼は短く返事をした。
「それならそうと教えてくれたら良かったじゃない」
「あはは・・・・・・」
「それはそうと、誰にあげるの? もしかして、自分へのご褒美?」
そう言っていると、さっきの店員さんがケースを持って帰ってきた。
「こちらの商品で間違いありませんか」
ケースを開けて、中身をジーノに見せる。そこには、ルビーのネックレスが収められていた。可愛らしい装飾のそれを見て、贈られる人が羨ましいと思った。
「間違いないよ」
彼はそう言うとポケットから小切手を取り出して渡した。店員さんはそれを確認すると「確かに受け取りました」と言った。
「はい」
ジーノはその一言で、ケースごと、ネックレスを押し付けてきた。
「え?」
戸惑う私にジーノは言う。
「まだ分からない? ルビーは君の誕生石でしょ?」
確かに私は7月生まれだけれど。
でも、こんな高価な物は受け取れない。
断ろうとした時、店員さんが笑顔で声をかけてきた。
「今日のお召し物に、とても似合うと思いますよ」
屈託のない笑顔で言われて、鏡を差し出されると、断るに断れない。私は渋々、ネックレスをつける事にした。
「やっぱり。よくお似合いで・・・・・・」
感嘆の声を漏らす店員さんに、私は愛想笑いを浮かべた。確かに、今日の服との相性は良かったけれど・・・・・・。
私達は一先ず店を出ることにした。
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