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番外編3-1 私の愛おしい家族
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私達家族は働き過ぎだ。
今日の家族会議でルーシーが言った事に対して、私達は一様に首を傾げた。
「みんなキョトンとして・・・・・・。全然自覚がないんですね」
ルーシーはわざとらしくも「私は怒っています」と言わんばかりに腕を組んだ。
そんなルーシーのむすっとした表情が何とも可愛らしい。
「働き過ぎと言われても・・・・・・。王族たる者は、国家のために誰よりも国の事を考えて」
「お父様、まだ私の提言は終わっていません!」
ルーシーの強い口調にエドはむっとした表情をした。王族の責務を誰よりも果たそうとする彼にとって、それを言葉にして伝えようとしたのに遮られた事が許せなかったのだろう。
「お父様の言いたい事は、きっとルーシーにも分かっていますよ」
私は二人が口論しないようにととりなして、ルーシーに話の続きを促した。
「お父様は数日まで近隣諸国に行ってましたよね?」
ルーシーの言う通り、エドは1年前から近隣諸国を外遊していた。文化や技術を学び、各国との交流をしつつ、エドは諸外国に写真機を売り込みに行っていた。写真機は長い年月をかけて改良された事もあって、諸外国での評判は良かったそうだ。おかげでエイメル公国は記録媒体として価値があると判断し、警察などの公的な機関で採用する事になったそうだ。
だから、しばらくの間、写真機が我が国に莫大な富をもたらすだろうとエドは喜んでいた。
「ああ。それが何だい?」
「それなのに、休みも取らずに政務、政務と」
「仕方がないだろう。やる事が山積みなんだから」
「それでも、限度というものがあって」
「まあまあ、落ち着いて」
ヘンリーが割って入ると、ルーシーはキッと彼を睨みつけた。
「お父様よりも、お兄様の方がもっとひどいですわ!」
「え? 俺が?」
きょとんとするヘンリーにルーシーは早口で捲し立てる。
「研究、研究と、毎日早朝から夜中までずっと魔法の事ばかり! そんな時間があるならヴィオお姉様に時間を割いて下さい」
「研究の合間にヴィオと会っているし、ルーシーだって徹夜で植物の勉強をしているだろう?」
「私の徹夜は1ヶ月に一度あるかないかの事です。お兄様とは違いますわ」
ヘンリーは首を傾げた。
「でも、もうすぐ魔法に革新をもたらす事ができそうなんだ。そうすれば、この国の人々の・・・・・・」
「もう! 私の提言が終わっていないって言っているでしょう!!」
ルーシーはおっかないくらい大声で言った。そんなルーシーを見てヘンリーは困惑し、エドは苛立ち始めた。
「私も働き過ぎなの?」
ルーシーに尋ねると彼女は「そうですよ」と言った。
「毎日のようにサロン、お茶会、パーティーと。そうしていない時は芸術のお勉強ばっかり!」
確かに社交活動は気を張って疲れる事も多かった。
しかし、それが働き過ぎかと問われると、決してそんな事はない。休める時は休んでいるし、私は至って健康だ。それに、社交活動やそれに伴う勉強は楽しい事の方が多い。
それをルーシーに伝えると、彼女はぷりぷりと怒り始めた。
「みんな分かってない!! これだから、家族の時間が減っている事に気付いてないんですよ!」
彼女の言葉に私は目をぱちぱちとさせた。
言われてみれば確かにそうだ。数年前までは当たり前だった家族でのお茶やピクニックは、今年はまだ1度も行っていない。もう、秋も深まり落ち葉が絨毯になっているというのに。
「そうね。ルーシーの言うとおりかも。・・・・・・久しぶりに、自然公園に行きたいわ」
私が言うとルーシーは目を輝かせて頷き、ヘンリーは「何で急に?」と言いたげな表情で私を見た。
「今年はまだ一度も家族でピクニックをしていないじゃない」
「ああ・・・・・・。言われてみれば」
ヘンリーはつぶやいた。
「折角だから、今年はヴィオ嬢も誘ってちょうだい」
「ヴィオを?」
「もうすぐ家族になる人ですもの」
にこりと笑って言えば、ヘンリーは頷いた。
「お父様も勿論、参加しますよね?」
ルーシーは力強い目でエドを見ると、彼は苦笑した。
「そんな目で見なくとも、ちゃんと参加するよ」
彼が言うと、ルーシーは喜びのあまり、小さな子供のように、エドをハグした。
今日の家族会議でルーシーが言った事に対して、私達は一様に首を傾げた。
「みんなキョトンとして・・・・・・。全然自覚がないんですね」
ルーシーはわざとらしくも「私は怒っています」と言わんばかりに腕を組んだ。
そんなルーシーのむすっとした表情が何とも可愛らしい。
「働き過ぎと言われても・・・・・・。王族たる者は、国家のために誰よりも国の事を考えて」
「お父様、まだ私の提言は終わっていません!」
ルーシーの強い口調にエドはむっとした表情をした。王族の責務を誰よりも果たそうとする彼にとって、それを言葉にして伝えようとしたのに遮られた事が許せなかったのだろう。
「お父様の言いたい事は、きっとルーシーにも分かっていますよ」
私は二人が口論しないようにととりなして、ルーシーに話の続きを促した。
「お父様は数日まで近隣諸国に行ってましたよね?」
ルーシーの言う通り、エドは1年前から近隣諸国を外遊していた。文化や技術を学び、各国との交流をしつつ、エドは諸外国に写真機を売り込みに行っていた。写真機は長い年月をかけて改良された事もあって、諸外国での評判は良かったそうだ。おかげでエイメル公国は記録媒体として価値があると判断し、警察などの公的な機関で採用する事になったそうだ。
だから、しばらくの間、写真機が我が国に莫大な富をもたらすだろうとエドは喜んでいた。
「ああ。それが何だい?」
「それなのに、休みも取らずに政務、政務と」
「仕方がないだろう。やる事が山積みなんだから」
「それでも、限度というものがあって」
「まあまあ、落ち着いて」
ヘンリーが割って入ると、ルーシーはキッと彼を睨みつけた。
「お父様よりも、お兄様の方がもっとひどいですわ!」
「え? 俺が?」
きょとんとするヘンリーにルーシーは早口で捲し立てる。
「研究、研究と、毎日早朝から夜中までずっと魔法の事ばかり! そんな時間があるならヴィオお姉様に時間を割いて下さい」
「研究の合間にヴィオと会っているし、ルーシーだって徹夜で植物の勉強をしているだろう?」
「私の徹夜は1ヶ月に一度あるかないかの事です。お兄様とは違いますわ」
ヘンリーは首を傾げた。
「でも、もうすぐ魔法に革新をもたらす事ができそうなんだ。そうすれば、この国の人々の・・・・・・」
「もう! 私の提言が終わっていないって言っているでしょう!!」
ルーシーはおっかないくらい大声で言った。そんなルーシーを見てヘンリーは困惑し、エドは苛立ち始めた。
「私も働き過ぎなの?」
ルーシーに尋ねると彼女は「そうですよ」と言った。
「毎日のようにサロン、お茶会、パーティーと。そうしていない時は芸術のお勉強ばっかり!」
確かに社交活動は気を張って疲れる事も多かった。
しかし、それが働き過ぎかと問われると、決してそんな事はない。休める時は休んでいるし、私は至って健康だ。それに、社交活動やそれに伴う勉強は楽しい事の方が多い。
それをルーシーに伝えると、彼女はぷりぷりと怒り始めた。
「みんな分かってない!! これだから、家族の時間が減っている事に気付いてないんですよ!」
彼女の言葉に私は目をぱちぱちとさせた。
言われてみれば確かにそうだ。数年前までは当たり前だった家族でのお茶やピクニックは、今年はまだ1度も行っていない。もう、秋も深まり落ち葉が絨毯になっているというのに。
「そうね。ルーシーの言うとおりかも。・・・・・・久しぶりに、自然公園に行きたいわ」
私が言うとルーシーは目を輝かせて頷き、ヘンリーは「何で急に?」と言いたげな表情で私を見た。
「今年はまだ一度も家族でピクニックをしていないじゃない」
「ああ・・・・・・。言われてみれば」
ヘンリーはつぶやいた。
「折角だから、今年はヴィオ嬢も誘ってちょうだい」
「ヴィオを?」
「もうすぐ家族になる人ですもの」
にこりと笑って言えば、ヘンリーは頷いた。
「お父様も勿論、参加しますよね?」
ルーシーは力強い目でエドを見ると、彼は苦笑した。
「そんな目で見なくとも、ちゃんと参加するよ」
彼が言うと、ルーシーは喜びのあまり、小さな子供のように、エドをハグした。
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