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後悔1
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セーデルルンド王国の第一王子、フレードリクは眉目秀麗でそこそこ優秀であったため、彼が次期王太子に推挙されるだろうと、王国民の誰もが思っていた。
フレードリク自身も、幼少の頃より周りから褒めそやされながら育ったため、自分以外に王太子に相応しい者はいないと、自意識過剰でプライドが高い性格に育ってしまう。
我儘に育ったフレードリクに国王や王妃が頭を悩ませていたある時、王宮に神殿から<聖女>が見つかったという報告が入る。
<聖女>とは、この国を魔物から守る結界を張り、<瘴気>を浄化する<神聖力>を持つ者のことで、王国に現れたのは初めてのことであった。
しかも今回発見された<聖女>は、フレードリクと同じ年頃の少女であるにも関わらず、持っている<神聖力>は大神殿の大神官を凌駕するという。
稀代の<聖女>が現れたことで国中が活気づき、好景気となったセーデルルンド王国は経済的にも発展し、国力を高めることとなる。
更に王都を守護する結界が再整備され、<聖女>の<神聖力>によって守られた王都の地代は高騰し、王都で暮らすことが国民の憧れとなった。
国中が<聖女>の降臨に湧く様子に、フレードリクも<聖女>がどのような少女なのか知りたいと思うようになる。
通常<聖女>は神殿奥深くで守られ、人前に姿を現さないと言われているが、新しい<聖女>は束縛を嫌い、隙を見ては神殿を脱走し、大神官を困らせているという。
今までのイメージを覆す、新しい<聖女>の噂話を聞いたフレードリクは、ますます<聖女>に会いたいと思うようになる。
<聖女>と対面する機会はそうそう無いと思っていたフレードリクであったが、その機会は意外と早く訪れた。聖霊降臨祭である。
年に一回、神殿で執り行われる重要な儀式である聖霊降臨祭には、王族の参加が認められている。
いつもは不参加だったフレードリクだが、その年の聖霊降臨祭には当然のことながら参加した。
──そしてフレードリクは、そこで初めての恋に落ちることになる。
お転婆だと思っていた<聖女>は、噂と違い儚げで清楚な雰囲気を纏う、凛とした立ち姿の美しい少女だったのだ。
もちろんその聖女然とした振る舞いは、大神官の苦労が滲んだ猫被りの姿であったが、それを知らないフレードリクは、一目で<聖女>に心を奪われてしまう。
本来であれば<聖女>に一目惚れした少年の、淡い初恋で終わるところであるが、フレードリクは<聖女>──クリスティナこそが自分に相応しいと思い込み、彼女を諦めなかった。
何度も何度も国王にクリスティナとの婚約を嘆願したのだ。
我儘で頑固なフレードリクが一国の王子だったことが幸い(災い)となり、また国王が子供に甘いこともあり、彼の願いは聞き届けられ、クリスティナの成人と同時に結婚することになった。
それは、ただフレードリクの我儘が通った訳ではなく、クリスティナをアコンニエミ国に奪われたくない大神官と、優秀な血を取り込みたい王室の利害が一致したためだったのだが、当然の如くフレードリクは気付いていない。
フレードリク自身も、幼少の頃より周りから褒めそやされながら育ったため、自分以外に王太子に相応しい者はいないと、自意識過剰でプライドが高い性格に育ってしまう。
我儘に育ったフレードリクに国王や王妃が頭を悩ませていたある時、王宮に神殿から<聖女>が見つかったという報告が入る。
<聖女>とは、この国を魔物から守る結界を張り、<瘴気>を浄化する<神聖力>を持つ者のことで、王国に現れたのは初めてのことであった。
しかも今回発見された<聖女>は、フレードリクと同じ年頃の少女であるにも関わらず、持っている<神聖力>は大神殿の大神官を凌駕するという。
稀代の<聖女>が現れたことで国中が活気づき、好景気となったセーデルルンド王国は経済的にも発展し、国力を高めることとなる。
更に王都を守護する結界が再整備され、<聖女>の<神聖力>によって守られた王都の地代は高騰し、王都で暮らすことが国民の憧れとなった。
国中が<聖女>の降臨に湧く様子に、フレードリクも<聖女>がどのような少女なのか知りたいと思うようになる。
通常<聖女>は神殿奥深くで守られ、人前に姿を現さないと言われているが、新しい<聖女>は束縛を嫌い、隙を見ては神殿を脱走し、大神官を困らせているという。
今までのイメージを覆す、新しい<聖女>の噂話を聞いたフレードリクは、ますます<聖女>に会いたいと思うようになる。
<聖女>と対面する機会はそうそう無いと思っていたフレードリクであったが、その機会は意外と早く訪れた。聖霊降臨祭である。
年に一回、神殿で執り行われる重要な儀式である聖霊降臨祭には、王族の参加が認められている。
いつもは不参加だったフレードリクだが、その年の聖霊降臨祭には当然のことながら参加した。
──そしてフレードリクは、そこで初めての恋に落ちることになる。
お転婆だと思っていた<聖女>は、噂と違い儚げで清楚な雰囲気を纏う、凛とした立ち姿の美しい少女だったのだ。
もちろんその聖女然とした振る舞いは、大神官の苦労が滲んだ猫被りの姿であったが、それを知らないフレードリクは、一目で<聖女>に心を奪われてしまう。
本来であれば<聖女>に一目惚れした少年の、淡い初恋で終わるところであるが、フレードリクは<聖女>──クリスティナこそが自分に相応しいと思い込み、彼女を諦めなかった。
何度も何度も国王にクリスティナとの婚約を嘆願したのだ。
我儘で頑固なフレードリクが一国の王子だったことが幸い(災い)となり、また国王が子供に甘いこともあり、彼の願いは聞き届けられ、クリスティナの成人と同時に結婚することになった。
それは、ただフレードリクの我儘が通った訳ではなく、クリスティナをアコンニエミ国に奪われたくない大神官と、優秀な血を取り込みたい王室の利害が一致したためだったのだが、当然の如くフレードリクは気付いていない。
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