【完結】月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

五城楼スケ(デコスケ)

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後悔2

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 それから月日は流れ、フレードリクは年頃の貴族子女たちが学ぶブレンドレル魔法学院に通うことになる。

 学院にはクリスティナも入学することが決まっており、聖霊降臨祭でしか彼女と会うことができないフレードリクは、薔薇色の学院生活を想像し、胸を弾ませながら登校する。

 嬉々として登校したものの、クリスティナの姿はどこにもなく、どういうことかと確認してみれば、彼女は瘴気浄化のための巡業に出ており、遅れて入学するという。

 それから我慢強く待つこと一ヶ月、とうとうクリスティナが登校してきた。

「初めまして。クリスティナ・ダールグレンと申します。お会いできて光栄です」

 ようやくクリスティナと対面できたフレードリクは、間近で見るクリスティナの美しさに、再び心を奪われた。
 しかし、王子である自分を見てもクリスティナの目は平然としていて、周りの令嬢のような熱い眼差しを向けてこないではないか。

 容姿端麗な王子と評判の自分を見ても、顔色一つ変えないクリスティナを不思議に思ったものの、フレードリクはその内彼女も自分に夢中になるだろう、と深く考えるのをやめた。これからいくらでも時間はあると思ったからだ。

 しかし、クリスティナと共にいる時間が増えるだろうと思っていたフレードリクの予想は外れることになる。それはクリスティナの王妃教育が始まり、彼女が更に多忙となったからだ。

 王妃教育と瘴気浄化の巡業に神殿でのお役目と、常に忙しいクリスティナであったが、学院での成績は優秀で、毎回の試験で上位の成績を取っていた。
 フレードリクも上位の方であるが、クリスティナより下位の成績だった彼は、プライドを酷く傷つけられることになる。

 自意識過剰で傲慢な性格のフレードリクは、一向に進展しないクリスティナとの関係を歯痒く思い、どうすれば彼女を手に入れられるのか考えるようになる。

 しかし、唯一の長所である容姿に惹かれるでもなく、成績も敵わない自分にクリスティナが靡くのだろうか、とフレードリクが自信を無くしかけた頃、彼の前にアンネマリー・ベイエル男爵令嬢が現れた。

「殿下はとても素敵な方ですわ……!」

 ふとしたきっかけで、よく言葉を交わすようになったアンネマリーとの時間は、失いかけていた自信をフレードリクに取り戻してくれた。

 熱い眼差しで自分を見つめ、優先してくれるアンネマリーと、お役目を優先して自分を放置するクリスティナを比較したフレードリクの心は、次第にアンネマリーへと傾いていく。

 そうして、クリスティナとの関係が進展しないまま、アンネマリーと過ごす時間が増え、徐々に親密になっていったある日。
 フレードリクはアンネマリーから驚くべき話を聞かされることとなる。

 それは、クリスティナが王都の外れにある市場辺りで、柄の悪い連中と親しげに話した後、怪しげな建物の中に入って行ったという話であった。

「殿下、信じてください……! 本当の話なのです!! 私、殿下に嘘はつきません!!」

 アンネマリーの必死な様子に、フレードリクもこの話が事実なのだと理解した。

 それにもしこれが嘘なら、その罪はアンネマリーだけでなく男爵家にまで及ぶことになるのだ。そのことをアンネマリーがわからない筈はないのだ。
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