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第一章 港町グラード
episode 04 過去への償いの為に
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海賊の手伝いとのことが尾を引き、一先ず返事を保留にしてレディとの合流へ宿兼酒場となっている《ならず者亭》の扉を開けた。
「居た居た。
レディ、一人で呑んでたの?」
「あん?
あー、アテナとミーニャか……っと」
小さなテーブルに向かって一人お酒を嗜むレディは座りながらもよろめき、それに対してすかさずミーニャは支え体勢を立て直してあげると、直ぐ様カウンターに水を要求した。
「さすがはミーニャ。
手際が良いわ。
っと、飲み過ぎじゃないの?」
「んあぁ?
飲まなきゃ平静は保てないさ。
これは……水かい?」
「そうよ、水。
これ飲んで少しでも酔いを覚まして欲しいの。
まともに話も出来ないんだから」
「話……。
そう、話。
あたいとカルディアは同じ国の同じ部隊にいたのさ。
でもね、あたいのせいで部隊は壊滅に陥ったのさ……。
てっきりカルディアも生きてはいないと思ってたんだが……」
水の入った瓶を見つめ淡々と語るレディだったが、あたしにとっては過去なんてどうでも良かった。
「そう、色々あるわよね。
けどレディらしくないーーこんなのはっ!」
あたしは瓶を奪い取るとレディの頭から水をかけた。
「なっ!?」
「お嬢様!!」
「目が覚めた!?
そんなウジウジしてるなんてレディらしくないじゃない!
過去は受け入れるものであって、後悔したり否定するものじゃないのよ。
生きてたなら喜びなさいよ!」
空になった瓶をテーブルに叩きつけると、濡れた髪を掻き上げたレディが無言で立ち上がる。
「……アテナ」
「何よ」
「……やっぱりあんたを選んで正解だったようだよ。
アテナの言う通り、あたしは過去を恥じて過去から逃げていた。
今となってはどうにもならない過去にね」
「どうにもならなくないわよ!
過去を受け入れて未来に繋ぐ。
それで過去の行いは報われるはずよ。
その為に"何をしたか"ってことだと思うわ」
「何をしたかーーこれから何をすべきか……か」
あたし達の周りだけが静寂に包まれ、レディから滴り落ちる雫の音がやけに響いて聞こえる。
「お嬢様もレディさんもお座りになりましょ」
一部始終を黙って聞いていたミーニャがそわそわしながら両手で椅子を勧めている。
それに対してあたしは半笑いしながら顔を見た。
「……ミーニャ。
あたしに指図するとはどういうことかしら?
ははぁん?
さては自分が弄ってもらえなくて寂しいって。
なら遠慮なく弄ってあげるわよ」
「え?
いえ、そんなつもりじゃ……」
「なら、どういうつもりなのよ。
いいわ。
それならとりあえず脱いで」
あたしの一言に目が大きく見開き言葉を出せないでいるようだった。
それをまじまじと見てあたしは思った、世にいうこれが絶句かと。
「レディの機嫌を取るのよ!
裸になればイヤでも機嫌は治るでしょ」
「そ、そ、そ!
それはお嬢様だけですぅ!!」
「え?
そうなの?」
「ミーニャが正しい。
それにあたいは裸を見たって嬉しくもないさ」
あたしの驚きにレディも二つ頷き肯定しだすが、それであたしは思うところがありミーニャの肩に手を置いた。
「ミーニャ……。
女性としての魅力が足りないって言われたわよ。
でもね、あたしには魅力的に映ってるから安心して。
人それぞれ好みの体型ってあるだろうから……」
「えっ?」
「アテナ、そういうことじゃない。
あたいは女性の体を見たって嬉しくないって言ってるだけさ」
ミーニャは驚きレディは半笑い。
あたしの何が間違っていたのか分からないが、それでも場の雰囲気と機嫌は先程より良くなっていた。
「そう?
よく分からないけど、まぁいいわ。
座って話でもしましょ。
カルディアから聞いてきた大事な話があるんだから。
それを聞いてもらって、これからどうするか決めましょ」
そう話すとレディも座り、ようやくまともに話せる状態が整った。
「居た居た。
レディ、一人で呑んでたの?」
「あん?
あー、アテナとミーニャか……っと」
小さなテーブルに向かって一人お酒を嗜むレディは座りながらもよろめき、それに対してすかさずミーニャは支え体勢を立て直してあげると、直ぐ様カウンターに水を要求した。
「さすがはミーニャ。
手際が良いわ。
っと、飲み過ぎじゃないの?」
「んあぁ?
飲まなきゃ平静は保てないさ。
これは……水かい?」
「そうよ、水。
これ飲んで少しでも酔いを覚まして欲しいの。
まともに話も出来ないんだから」
「話……。
そう、話。
あたいとカルディアは同じ国の同じ部隊にいたのさ。
でもね、あたいのせいで部隊は壊滅に陥ったのさ……。
てっきりカルディアも生きてはいないと思ってたんだが……」
水の入った瓶を見つめ淡々と語るレディだったが、あたしにとっては過去なんてどうでも良かった。
「そう、色々あるわよね。
けどレディらしくないーーこんなのはっ!」
あたしは瓶を奪い取るとレディの頭から水をかけた。
「なっ!?」
「お嬢様!!」
「目が覚めた!?
そんなウジウジしてるなんてレディらしくないじゃない!
過去は受け入れるものであって、後悔したり否定するものじゃないのよ。
生きてたなら喜びなさいよ!」
空になった瓶をテーブルに叩きつけると、濡れた髪を掻き上げたレディが無言で立ち上がる。
「……アテナ」
「何よ」
「……やっぱりあんたを選んで正解だったようだよ。
アテナの言う通り、あたしは過去を恥じて過去から逃げていた。
今となってはどうにもならない過去にね」
「どうにもならなくないわよ!
過去を受け入れて未来に繋ぐ。
それで過去の行いは報われるはずよ。
その為に"何をしたか"ってことだと思うわ」
「何をしたかーーこれから何をすべきか……か」
あたし達の周りだけが静寂に包まれ、レディから滴り落ちる雫の音がやけに響いて聞こえる。
「お嬢様もレディさんもお座りになりましょ」
一部始終を黙って聞いていたミーニャがそわそわしながら両手で椅子を勧めている。
それに対してあたしは半笑いしながら顔を見た。
「……ミーニャ。
あたしに指図するとはどういうことかしら?
ははぁん?
さては自分が弄ってもらえなくて寂しいって。
なら遠慮なく弄ってあげるわよ」
「え?
いえ、そんなつもりじゃ……」
「なら、どういうつもりなのよ。
いいわ。
それならとりあえず脱いで」
あたしの一言に目が大きく見開き言葉を出せないでいるようだった。
それをまじまじと見てあたしは思った、世にいうこれが絶句かと。
「レディの機嫌を取るのよ!
裸になればイヤでも機嫌は治るでしょ」
「そ、そ、そ!
それはお嬢様だけですぅ!!」
「え?
そうなの?」
「ミーニャが正しい。
それにあたいは裸を見たって嬉しくもないさ」
あたしの驚きにレディも二つ頷き肯定しだすが、それであたしは思うところがありミーニャの肩に手を置いた。
「ミーニャ……。
女性としての魅力が足りないって言われたわよ。
でもね、あたしには魅力的に映ってるから安心して。
人それぞれ好みの体型ってあるだろうから……」
「えっ?」
「アテナ、そういうことじゃない。
あたいは女性の体を見たって嬉しくないって言ってるだけさ」
ミーニャは驚きレディは半笑い。
あたしの何が間違っていたのか分からないが、それでも場の雰囲気と機嫌は先程より良くなっていた。
「そう?
よく分からないけど、まぁいいわ。
座って話でもしましょ。
カルディアから聞いてきた大事な話があるんだから。
それを聞いてもらって、これからどうするか決めましょ」
そう話すとレディも座り、ようやくまともに話せる状態が整った。
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