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第一章 港町グラード
episode 12 撤退
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廊下を走り急ぎ階段を降りたところで、曲がり角の向こうから複数の足音が聞こえたような気がして立ち止まる。
「ミーニャ、魔者かも」
「あの、お嬢様?」
「何よ、静かにして」
「えっと、あの、冠の光が消えてます」
「は?」
ミーニャに言われ慌てて外すと輝きは失せ、魔力が備わっていたと思えないくらいなんの変哲もない冠になっていた。
「これっていつから?」
「謁見の間に入る時には弱々しくなってまして、話している間に消えてましたよ」
「言いなさいよ!
--っ!!
てことは……」
剣を鞘から引き抜くと左腕を伸ばしミーニャを庇う仕草をした。
もし足音が魔者であれば最早己で道を切り開かねばならない。
段々と近づく足音がやがてはっきりと聞こえると、それは靴を履いているのが分かった。
「まさか、先回りされた!?」
剣を握る手に自然と力が籠る。
ゆっくりと後ろに下がり角から距離を取り姿勢を構えると、足音の主が姿を見せた。
「レディ!!」
「おっと!
アテナ、無事だったかい?」
「見ての通りだけど、それどころじゃないのよ!!
この城から逃げるのよ、今すぐ!
話は後!」
「良からぬことがあったんだね。
分かった、行こうかアテナ」
「おいおい、頭はどうするんだ?
オレ達だけでも探しに行くぞ?」
レディの後ろには十数人居た海賊が四名ほどに減り、その一人が荒々しく声を上げた。
「カルディアは魔人に殺られたわ。
だからこの場は一旦退くってのよ!」
「そうか、追手が来るか。
海賊ども!
カルディアの戦友であるあたいの頼みだ、とにかく城から出るぞ!!」
鬼気迫る声で海賊に振り返ると、状況を察してくれたのか勢いはなくなりくぐもった返事だけを返してくれた。
「入口まで駆け抜ける!
海賊どもはアテナ達の後ろについて来な。
あたいが先陣を切る!!」
「だったら道案内は任せて。
城内はある程度把握したつもりよ」
「任せたよ、アテナ。
行くぞ!!
野郎ども!」
走り出したレディに後ろから道順を教える。
二階部分に居ることは把握していたので入口まではさほど遠くはないのは分かっているが、やはり魔者との戦闘は避けられなかった。
しかし、駆け抜けると宣言した通りレディは道だけを切り開き、無駄に止まらないようにしてくれると直ぐ様城を抜けることが出来た。
「出られたけどどうする?
って、迷ってる暇ないじゃない!」
城への道を登ってくる魔者達の姿が簡単に見てとれると、他の道を探すべく辺りを見回す。
「城の裏から逃げられないかしら」
「どうだろうな。
……狭いが行けるかも知れない、行こうアテナ。
気をつけてついて来な」
レディは同意すると人が一人通れるだけの幅を壁に背を付け横歩きになると、あたし達もそれに伴ってついていく。
掴んだミーニャの手は落ちるかも知れない恐怖に震えているが、大丈夫と何度も声をかけながらゆっくりと進んで行った。
「ミーニャ、魔者かも」
「あの、お嬢様?」
「何よ、静かにして」
「えっと、あの、冠の光が消えてます」
「は?」
ミーニャに言われ慌てて外すと輝きは失せ、魔力が備わっていたと思えないくらいなんの変哲もない冠になっていた。
「これっていつから?」
「謁見の間に入る時には弱々しくなってまして、話している間に消えてましたよ」
「言いなさいよ!
--っ!!
てことは……」
剣を鞘から引き抜くと左腕を伸ばしミーニャを庇う仕草をした。
もし足音が魔者であれば最早己で道を切り開かねばならない。
段々と近づく足音がやがてはっきりと聞こえると、それは靴を履いているのが分かった。
「まさか、先回りされた!?」
剣を握る手に自然と力が籠る。
ゆっくりと後ろに下がり角から距離を取り姿勢を構えると、足音の主が姿を見せた。
「レディ!!」
「おっと!
アテナ、無事だったかい?」
「見ての通りだけど、それどころじゃないのよ!!
この城から逃げるのよ、今すぐ!
話は後!」
「良からぬことがあったんだね。
分かった、行こうかアテナ」
「おいおい、頭はどうするんだ?
オレ達だけでも探しに行くぞ?」
レディの後ろには十数人居た海賊が四名ほどに減り、その一人が荒々しく声を上げた。
「カルディアは魔人に殺られたわ。
だからこの場は一旦退くってのよ!」
「そうか、追手が来るか。
海賊ども!
カルディアの戦友であるあたいの頼みだ、とにかく城から出るぞ!!」
鬼気迫る声で海賊に振り返ると、状況を察してくれたのか勢いはなくなりくぐもった返事だけを返してくれた。
「入口まで駆け抜ける!
海賊どもはアテナ達の後ろについて来な。
あたいが先陣を切る!!」
「だったら道案内は任せて。
城内はある程度把握したつもりよ」
「任せたよ、アテナ。
行くぞ!!
野郎ども!」
走り出したレディに後ろから道順を教える。
二階部分に居ることは把握していたので入口まではさほど遠くはないのは分かっているが、やはり魔者との戦闘は避けられなかった。
しかし、駆け抜けると宣言した通りレディは道だけを切り開き、無駄に止まらないようにしてくれると直ぐ様城を抜けることが出来た。
「出られたけどどうする?
って、迷ってる暇ないじゃない!」
城への道を登ってくる魔者達の姿が簡単に見てとれると、他の道を探すべく辺りを見回す。
「城の裏から逃げられないかしら」
「どうだろうな。
……狭いが行けるかも知れない、行こうアテナ。
気をつけてついて来な」
レディは同意すると人が一人通れるだけの幅を壁に背を付け横歩きになると、あたし達もそれに伴ってついていく。
掴んだミーニャの手は落ちるかも知れない恐怖に震えているが、大丈夫と何度も声をかけながらゆっくりと進んで行った。
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