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第一章 港町グラード
episode 14 結界の洞窟
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森の中に突如として現れた洞窟。
気味が悪いといったらありはしないが、無視をするか入ってみるかあたしには判断しかねていた。
「どうする、レディ」
「魔者の住み処ってことも考えられなくもないが」
「あっ!
だったらさ、また冠を光らせて、あたしだけ行ってみるってのはどう?」
「なるほどね、そいつは良いかも。
やってみるか」
あたしは頷きミーニャを見ると、返事の後に数刻前に聴いたばかりの言葉を並べ立てた。
「どお?」
「光りませんね。
間違っていないと思うのですが……」
あたしが聞いた限り間違っているようには聞こえず、もう一度同じ言葉を繰り返すミーニャも不思議がる表情は変わらなかった。
「駄目みたいですね」
「なにこの役立たずな冠は!
どうしよっか」
「外にも魔物、中にもいるかも知れない。
ここは入らず行くのも手かな」
「それもそうよね、わざわざ危険を増やしてもだし。
でも、気になるわよね。
洞窟なんて冒険心をくすぐる塊みたいなもんだから」
と、奥までは見えないのは分かっているが、首を突っ込まずにはいられず、ミーニャと覗いて見ようとした。
「真っ暗ね、何の気配も無さそうだし」
「ですね。
下り坂みたいになってーーきゃっ!!」
「どうしたの!?
ミーニャ!」
「えっ?
えっ!?
今、手がビリっとして」
「何で?
何もならないわよ?
ほら」
洞窟の入り口に手をかけたミーニャは驚き手を咄嗟に離したが、あたしが触っても何もならなかった。
「どうした?
ここに何かあるのか?」
同じ場所をレディが触ると何も起きず、それに沿って洞窟内部も触っているが何もないようだった。
「ちょっとあたしも触ってみるわ」
「で、では私もーーきゃっ!!」
今度はあたしについて中に入ろうとした瞬間、弾かれるように尻餅をついている。
「ど、どういうこと?
ミーニャ、中に入れないの?」
「……お嬢様。
私、入れないみたいです」
全く持って意味が分からない。
あたしやレディ、それに今の光景を目の当たりにした海賊達も一通り触ったり足を踏み入れたりするも何も起きることはなかった。
「ミーニャだけ?
何でそうなるの?」
「一体どういうことだろう。
これは一種の結界みたいだが、ミーニャにだけ作用するってのが分からないね。
それに、こんなところに結界を敷くとなれば魔者に対するものと思うんだが」
「魔者に対するものがミーニャに作用してる。
それに結界があるということは……」
「あぁ、この奥には何かあるってことだね。
それも、魔者にとって良くない何かが」
「かといってミーニャを置いて行くわけにもいかない。
どうしよっか」
皆の視線がミーニャに集まると、これまでにないほど挙動不審になっていた。
「大丈夫よ、落ち着きなさいって。
ミーニャが悪いわけじゃないし、何かしらの理由があるんだからさ」
「そうだね。
その理由が分かるまで立ち寄らないってことも出来るからね。
今の状況じゃどのみち探索は難しいと思うよ」
「……いえ!
今行くわ!
あたし一人で行く」
「どうした?」
「ここにいるのはあたし達と海賊。
今調べてこないと船を持つ海賊達が先に探しに来ちゃうわ。
何かあったとしても、それを海賊が有意義に使うとは思えないもの」
そばにいる海賊は呆れ顔をして見せているが、本当のところ探しにくるであろうと感じている。
「しかしなぁ、アテナ」
「魔者がいるとこにミーニャを置いて行けないし、かといって海賊には任せられないとなればあたし一人で行くのが一番よ。
身軽にして行けば逃げることも出来ると思うし」
「言いたいことは分かったよ。
何かあればすぐ戻ることを前提にしてならそれで良いと思う。
ここもいつ魔者が来るとも限らないから急いで欲しいが、大丈夫かい?」
「それで良いわ。
魔人に対する何かがあれば儲けものだし。
なら、早速行ってくるわね。
あ、レディの実力は知ってると思うけど甘く見ないことよっ」
海賊に釘を刺すと松明に火を灯し、緩やかな斜面を足早に降りて行った。
気味が悪いといったらありはしないが、無視をするか入ってみるかあたしには判断しかねていた。
「どうする、レディ」
「魔者の住み処ってことも考えられなくもないが」
「あっ!
だったらさ、また冠を光らせて、あたしだけ行ってみるってのはどう?」
「なるほどね、そいつは良いかも。
やってみるか」
あたしは頷きミーニャを見ると、返事の後に数刻前に聴いたばかりの言葉を並べ立てた。
「どお?」
「光りませんね。
間違っていないと思うのですが……」
あたしが聞いた限り間違っているようには聞こえず、もう一度同じ言葉を繰り返すミーニャも不思議がる表情は変わらなかった。
「駄目みたいですね」
「なにこの役立たずな冠は!
どうしよっか」
「外にも魔物、中にもいるかも知れない。
ここは入らず行くのも手かな」
「それもそうよね、わざわざ危険を増やしてもだし。
でも、気になるわよね。
洞窟なんて冒険心をくすぐる塊みたいなもんだから」
と、奥までは見えないのは分かっているが、首を突っ込まずにはいられず、ミーニャと覗いて見ようとした。
「真っ暗ね、何の気配も無さそうだし」
「ですね。
下り坂みたいになってーーきゃっ!!」
「どうしたの!?
ミーニャ!」
「えっ?
えっ!?
今、手がビリっとして」
「何で?
何もならないわよ?
ほら」
洞窟の入り口に手をかけたミーニャは驚き手を咄嗟に離したが、あたしが触っても何もならなかった。
「どうした?
ここに何かあるのか?」
同じ場所をレディが触ると何も起きず、それに沿って洞窟内部も触っているが何もないようだった。
「ちょっとあたしも触ってみるわ」
「で、では私もーーきゃっ!!」
今度はあたしについて中に入ろうとした瞬間、弾かれるように尻餅をついている。
「ど、どういうこと?
ミーニャ、中に入れないの?」
「……お嬢様。
私、入れないみたいです」
全く持って意味が分からない。
あたしやレディ、それに今の光景を目の当たりにした海賊達も一通り触ったり足を踏み入れたりするも何も起きることはなかった。
「ミーニャだけ?
何でそうなるの?」
「一体どういうことだろう。
これは一種の結界みたいだが、ミーニャにだけ作用するってのが分からないね。
それに、こんなところに結界を敷くとなれば魔者に対するものと思うんだが」
「魔者に対するものがミーニャに作用してる。
それに結界があるということは……」
「あぁ、この奥には何かあるってことだね。
それも、魔者にとって良くない何かが」
「かといってミーニャを置いて行くわけにもいかない。
どうしよっか」
皆の視線がミーニャに集まると、これまでにないほど挙動不審になっていた。
「大丈夫よ、落ち着きなさいって。
ミーニャが悪いわけじゃないし、何かしらの理由があるんだからさ」
「そうだね。
その理由が分かるまで立ち寄らないってことも出来るからね。
今の状況じゃどのみち探索は難しいと思うよ」
「……いえ!
今行くわ!
あたし一人で行く」
「どうした?」
「ここにいるのはあたし達と海賊。
今調べてこないと船を持つ海賊達が先に探しに来ちゃうわ。
何かあったとしても、それを海賊が有意義に使うとは思えないもの」
そばにいる海賊は呆れ顔をして見せているが、本当のところ探しにくるであろうと感じている。
「しかしなぁ、アテナ」
「魔者がいるとこにミーニャを置いて行けないし、かといって海賊には任せられないとなればあたし一人で行くのが一番よ。
身軽にして行けば逃げることも出来ると思うし」
「言いたいことは分かったよ。
何かあればすぐ戻ることを前提にしてならそれで良いと思う。
ここもいつ魔者が来るとも限らないから急いで欲しいが、大丈夫かい?」
「それで良いわ。
魔人に対する何かがあれば儲けものだし。
なら、早速行ってくるわね。
あ、レディの実力は知ってると思うけど甘く見ないことよっ」
海賊に釘を刺すと松明に火を灯し、緩やかな斜面を足早に降りて行った。
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