17 / 70
第一章 港町グラード
episode 15 闇の奥
しおりを挟む
松明の灯りだけを頼りに壁づたいにゆっくりと斜面を降りて行く。
平行感覚さえ失いそうになるほど暗くただ水の滴る音だけが響き、そんな中を真っ直ぐに進むしかなかった。
「ミスったわ。
完っ全にミスったわ。
こんな暗がりで音も気味悪いし、独りで来るなんて言わなきゃ良かった」
独り言でも呟いてなければ孤独に押し潰されそうな程の空間にあたしの声だけが響き渡る。
少し湿り気のある土壁は所々で岩があり、少しだけひんやりとしていた。
「なんか、ここには魔者は居なさそうね。
異臭もしないし、変なものも落ちてないし。
にしても、今回の旅は謎だらけ。
カルディアの行動にミーニャだけ入れない洞窟、それに役立たずの冠。
ま、冠は良いとしても、この洞窟が何なのかよね。
結界が張られて魔者がいない、ともなれば魔に対する何かあるってなるのに、ミーニャだけは入れない。
それがあるから分からないのよね。
それでもって復活した魔人。
そもそも前に来てて存在を知らなかったってことは誰かを依代にして儀式を行ったってことになるけど、あんな人は一緒に居なかったし。
であれば、魔人の肉体があるのを知っていて、更に復活させた……。
だったら何の為に?
復活させたらあんなことになるのは目に見えてる筈なのに。
ホント考えても分からないことだらけ」
だいぶ呟いた独り言のおかげで気持ちが暗くなることはなかった。
しかし、今回の旅は口に出したところで糸口となるものが見えてこない。
「ん?」
灯りの先の天井が少し低くなっていることに気づき、腕を伸ばし出来る限り先を照すと床が無くなっているように見え、気をつけながらゆっくりと近づいて見る。
「階段になってる。
こんなに降りたのに更に降りて行くのね」
しっかりとした階段には思えず、壁に手を付きゆっくり過ぎるほど一段ずつ降りて行くと、降りきった先は行き止まりであった。
「何もない?
結界まであって?」
土が少し盛り上がってる以外は何もなかった。
「嘘でしょ?
こんなとこまで独りで来たのに、何もないなんてあり得ないわよ」
と、何かしらないものかと壁から天井、床に至るまでくまなく松明を照らすと盛り上がった土の後ろに布が落ちていた。
「何かしら……。
文字が書いてる……。
この地に厄災訪れし刻、必要となる剣を借り受ける。
魔を断ち切る力を…………。
ここまでしか読めない、か。
でも、ここにはあの魔人に対抗出来る武器があったってことね」
収穫はこれしかなかったが、その剣があれば魔人を再び封じることが出来ると分かっただけでも良しとすべきと、来た道を足早に戻ることにした。
「ここにそんな武器があって結界があるなら、やっぱり魔に対する施しをしてあるってことよね。
それとも魔力かしら。
もし魔力の強い者を弾く結界だとしたら……ミーニャだけってのも不思議じゃないかも」
仮説には過ぎないが、霊と共鳴出来たミーニャであれば魔力が強くても不思議ではない。
現に、教えてもらった魔言語を口にすると魔法を使えないこともないから。
「仮にそうだとしたら、それだけ厳重に置かれていたその剣さえあれば魔人を封じることも魔者に対抗することも出来るってこと、か。
そうなれば、一体誰が何の為に持ち出したってことね。
しかもあれは結構古い感じがしたもの、今もその人が持っているかも分からないってことか」
少しだけ謎が解けた気がしたが、それに伴って新たな謎も垣間見えた。
そんな呟きを繰り返していると、外の明かりが射し込む出口が見え始めていた。
平行感覚さえ失いそうになるほど暗くただ水の滴る音だけが響き、そんな中を真っ直ぐに進むしかなかった。
「ミスったわ。
完っ全にミスったわ。
こんな暗がりで音も気味悪いし、独りで来るなんて言わなきゃ良かった」
独り言でも呟いてなければ孤独に押し潰されそうな程の空間にあたしの声だけが響き渡る。
少し湿り気のある土壁は所々で岩があり、少しだけひんやりとしていた。
「なんか、ここには魔者は居なさそうね。
異臭もしないし、変なものも落ちてないし。
にしても、今回の旅は謎だらけ。
カルディアの行動にミーニャだけ入れない洞窟、それに役立たずの冠。
ま、冠は良いとしても、この洞窟が何なのかよね。
結界が張られて魔者がいない、ともなれば魔に対する何かあるってなるのに、ミーニャだけは入れない。
それがあるから分からないのよね。
それでもって復活した魔人。
そもそも前に来てて存在を知らなかったってことは誰かを依代にして儀式を行ったってことになるけど、あんな人は一緒に居なかったし。
であれば、魔人の肉体があるのを知っていて、更に復活させた……。
だったら何の為に?
復活させたらあんなことになるのは目に見えてる筈なのに。
ホント考えても分からないことだらけ」
だいぶ呟いた独り言のおかげで気持ちが暗くなることはなかった。
しかし、今回の旅は口に出したところで糸口となるものが見えてこない。
「ん?」
灯りの先の天井が少し低くなっていることに気づき、腕を伸ばし出来る限り先を照すと床が無くなっているように見え、気をつけながらゆっくりと近づいて見る。
「階段になってる。
こんなに降りたのに更に降りて行くのね」
しっかりとした階段には思えず、壁に手を付きゆっくり過ぎるほど一段ずつ降りて行くと、降りきった先は行き止まりであった。
「何もない?
結界まであって?」
土が少し盛り上がってる以外は何もなかった。
「嘘でしょ?
こんなとこまで独りで来たのに、何もないなんてあり得ないわよ」
と、何かしらないものかと壁から天井、床に至るまでくまなく松明を照らすと盛り上がった土の後ろに布が落ちていた。
「何かしら……。
文字が書いてる……。
この地に厄災訪れし刻、必要となる剣を借り受ける。
魔を断ち切る力を…………。
ここまでしか読めない、か。
でも、ここにはあの魔人に対抗出来る武器があったってことね」
収穫はこれしかなかったが、その剣があれば魔人を再び封じることが出来ると分かっただけでも良しとすべきと、来た道を足早に戻ることにした。
「ここにそんな武器があって結界があるなら、やっぱり魔に対する施しをしてあるってことよね。
それとも魔力かしら。
もし魔力の強い者を弾く結界だとしたら……ミーニャだけってのも不思議じゃないかも」
仮説には過ぎないが、霊と共鳴出来たミーニャであれば魔力が強くても不思議ではない。
現に、教えてもらった魔言語を口にすると魔法を使えないこともないから。
「仮にそうだとしたら、それだけ厳重に置かれていたその剣さえあれば魔人を封じることも魔者に対抗することも出来るってこと、か。
そうなれば、一体誰が何の為に持ち出したってことね。
しかもあれは結構古い感じがしたもの、今もその人が持っているかも分からないってことか」
少しだけ謎が解けた気がしたが、それに伴って新たな謎も垣間見えた。
そんな呟きを繰り返していると、外の明かりが射し込む出口が見え始めていた。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
さようなら、お別れしましょう
椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。
妻に新しいも古いもありますか?
愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?
私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。
――つまり、別居。
夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。
――あなたにお礼を言いますわ。
【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる!
※他サイトにも掲載しております。
※表紙はお借りしたものです。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる