19 / 70
プロローグ 2
4 現在と過去
しおりを挟む
あたしとアスナの口論はルキの一言で終わりを迎えた。
「今の現状は理解したが、当時とは変わっているんだろ?
その時の地理も教えてくれないか?」
「え?
あ、そうね。
情勢は今とは違うから若干分かりづらいわよね。
いいわ、教えてあげる」
当時のことを思い出し、頭の中で整理しながら口を開いた。
「当時にも魔者は居たけど、それは魔法大戦の折の生き残りが繁殖した、あるいは何らかの形で魔界との扉が開き人界に入ってきたかで、統率された魔軍ってのは存在しなかった。
だから争いは多々あっても、人対人の領土支配の戦争が専らだったのね。
国々は復興を諦めた腐街を抱えていたり、進軍をする為の準備をしていたり草花で街を彩ったりと、小さな争いはあるにしても大軍を動かすほどのことはしていなかったのよ。
その中でルマリア公国は大戦の折りに四つに分断された地方を纏めようと復興に力を注いでいたの。
それがあの辺りの情勢ね。
ちなみに、亜人の存在もほとんど知られることなく隠れ住んでいたりしたのよ」
「それだと、当時は旅をするには苦労しなかったってことか」
「まあ、今よりはって感じよね。
見た目が怪しくない限りはあまり国境で止められることもないし、ある程度の国々はすんなり往来することが出来る状況ではあったわ」
「そういうことか。
これで話にもついていけそうだな。
それで、洞窟を出た後はどうしたんだ?」
言われてどこまで話したのか一瞬戸惑ったが、思い出すと人差し指を突き立て二度ほど頷くと相槌を打った。
「そうそう。
洞窟を無事に出た後に布に書かれていた内容を話してそのまま船に戻ることにしたんだけど、その前に世界には色んな場所や物が有ることは分かるわよね?」
「ああ、それとなく分かっている。
オレの国にも予言者の塔なるものが造られたしな」
「別名『ラプラスの塔』ね。
他にも嘆きの谷や天空の橋、失意の湿原みたいな場所もあるの。
その中の一つ、絶海の孤塔と呼ばれる簡単には近づけない場所があるのよ」
「名前からしても近づけなさそうだもんな。
海の孤島みたいな所なんだな?」
「そうよ。
けど、その場所自体は教えることは出来ないからこれからの話をよく聞くことね。
貴方達に有益な情報になるかもだから」
そう片目を瞑りながら話すとアスナは深い溜め息をついた。
「はぁ。
なんで素直に話してくんないのかしら?
教えられないけど話を聞けだの、剣もあるんだか無いんだかさ、何一つとしてハッキリしないんだもの」
「いいのよ、別に聞かなくっても。
聞きたい人には話すし、聞かないなら話さない。
今のあたしに出来ることはそれだけだからね」
「待った待った!
しっかり聞くから話してくれないか、アテナ。
アスナも頼むから聞いてくれ」
「ふんっ!
別に私はただ本音を言ったまでよ」
「だったらルキには話すから黙ってて頂戴ね。
ええっと、船に戻ることにして先ず海を目指して歩いたの。
道中、剣の行方に関して色々と模索したけど何も答えは出ずに無事に船へと辿り着いたわ。
船に残っていた海賊達に簡単に事情を説明した上で、あたし達は街へと戻ることになったのよ」
「まあ、そこまでは何事もなくってことか」
「そうね。
けど、それからが大変だったのよ。
何せ海賊達の長がいないんだから、街に残っていた海賊にどう説明するかってね」
あたしは天井を見上げ記憶の片隅まで詳しく思い出すと、一息ついて続きを話し始めた。
「今の現状は理解したが、当時とは変わっているんだろ?
その時の地理も教えてくれないか?」
「え?
あ、そうね。
情勢は今とは違うから若干分かりづらいわよね。
いいわ、教えてあげる」
当時のことを思い出し、頭の中で整理しながら口を開いた。
「当時にも魔者は居たけど、それは魔法大戦の折の生き残りが繁殖した、あるいは何らかの形で魔界との扉が開き人界に入ってきたかで、統率された魔軍ってのは存在しなかった。
だから争いは多々あっても、人対人の領土支配の戦争が専らだったのね。
国々は復興を諦めた腐街を抱えていたり、進軍をする為の準備をしていたり草花で街を彩ったりと、小さな争いはあるにしても大軍を動かすほどのことはしていなかったのよ。
その中でルマリア公国は大戦の折りに四つに分断された地方を纏めようと復興に力を注いでいたの。
それがあの辺りの情勢ね。
ちなみに、亜人の存在もほとんど知られることなく隠れ住んでいたりしたのよ」
「それだと、当時は旅をするには苦労しなかったってことか」
「まあ、今よりはって感じよね。
見た目が怪しくない限りはあまり国境で止められることもないし、ある程度の国々はすんなり往来することが出来る状況ではあったわ」
「そういうことか。
これで話にもついていけそうだな。
それで、洞窟を出た後はどうしたんだ?」
言われてどこまで話したのか一瞬戸惑ったが、思い出すと人差し指を突き立て二度ほど頷くと相槌を打った。
「そうそう。
洞窟を無事に出た後に布に書かれていた内容を話してそのまま船に戻ることにしたんだけど、その前に世界には色んな場所や物が有ることは分かるわよね?」
「ああ、それとなく分かっている。
オレの国にも予言者の塔なるものが造られたしな」
「別名『ラプラスの塔』ね。
他にも嘆きの谷や天空の橋、失意の湿原みたいな場所もあるの。
その中の一つ、絶海の孤塔と呼ばれる簡単には近づけない場所があるのよ」
「名前からしても近づけなさそうだもんな。
海の孤島みたいな所なんだな?」
「そうよ。
けど、その場所自体は教えることは出来ないからこれからの話をよく聞くことね。
貴方達に有益な情報になるかもだから」
そう片目を瞑りながら話すとアスナは深い溜め息をついた。
「はぁ。
なんで素直に話してくんないのかしら?
教えられないけど話を聞けだの、剣もあるんだか無いんだかさ、何一つとしてハッキリしないんだもの」
「いいのよ、別に聞かなくっても。
聞きたい人には話すし、聞かないなら話さない。
今のあたしに出来ることはそれだけだからね」
「待った待った!
しっかり聞くから話してくれないか、アテナ。
アスナも頼むから聞いてくれ」
「ふんっ!
別に私はただ本音を言ったまでよ」
「だったらルキには話すから黙ってて頂戴ね。
ええっと、船に戻ることにして先ず海を目指して歩いたの。
道中、剣の行方に関して色々と模索したけど何も答えは出ずに無事に船へと辿り着いたわ。
船に残っていた海賊達に簡単に事情を説明した上で、あたし達は街へと戻ることになったのよ」
「まあ、そこまでは何事もなくってことか」
「そうね。
けど、それからが大変だったのよ。
何せ海賊達の長がいないんだから、街に残っていた海賊にどう説明するかってね」
あたしは天井を見上げ記憶の片隅まで詳しく思い出すと、一息ついて続きを話し始めた。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
さようなら、お別れしましょう
椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。
妻に新しいも古いもありますか?
愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?
私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。
――つまり、別居。
夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。
――あなたにお礼を言いますわ。
【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる!
※他サイトにも掲載しております。
※表紙はお借りしたものです。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる