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第二章 全てを見渡す島
episode 20 歌声の主
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あたし達は言われた航路を取り、島から孤島を目指すべく西へと舵を切っていた。
この頃には既に日は暮れ、蒼かった海も闇色へと姿を変えると船に灯された焔だけがあたし達の存在を照らしていた。
「夜の森もそうだけど、夜の海ってのも気味が悪いわね」
「本来は月明かりがあるからもっとマシな筈だよ。
生憎、月も星も隠れちまってるからね」
「それにしてもさ、歌ってなんのことなんだろうね。
誰かいるのか、海の音が歌声に聴こえたとか」
「どちらも否定は出来ないね。
けど、その孤島から誰かが歌っていたとしても聴こえるとも思えないんだよ。
歌に聴こえる何かってことなのかも知れない……が、何かひっかかる。
どこかで歌について聞いたことがあるような」
「思い出してよ、レディ。
いずれ遭遇するかも知れないんだから」
そんなことを甲板で話している時だった。
「明かりだ!!」
船の見張り台から発せられた声に全員が見上げると、次には指の差した方へ一斉に顔を向けた。
「あれね!
とうとう見つけたわね」
「やっとってところだね。
交戦の意思はないように白旗を立てな!!
万が一に備えて武器も忘れるんじゃないよ!」
一瞬にして慌ただしくなった船の上で、あたしはやっと見つけたことへの安堵の溜め息を洩らしていた。
徐々に鮮明になってくる灯り。
真っ暗な海の上で唯一目印となるものが、明るく鮮明になることで船が進んでいることを実感出来ている。
「ん?」
「どうしたい、アテナ」
「微かに声が……。
ミーニャは何も言ってないわよね?」
「はい。
私は何も」
海賊達の雑音と波のせせらぎに混じり、異様な声が聞こえた気がした。
それは灯りに近づくにつれ、より一層確かなものへと変わっていく。
「声だわ!」
「……あぁ、確かに聞こえるね。
女性の歌声のよう」
「まさか、この船に密航者なんていないだろうし。
でも、この感じ……不思議よ」
「船の方から聞こえるって感じじゃないね。
誰か!!
密航者がいないか捜すんだよ!」
はっきりと歌声と聞き取れるまでにはなっていないが、話を信じれば歌だと思って間違いないと思う。
海の上だというのに部屋の中で聞いている感じは、耳から伝わってくるとは言い難かった。
「どういうことなの、これ」
「妙だね。
脳に直接響いてくる感じ……この……。
待て!!
船を停めろ!
これ以上灯りに近づくなっ!!」
レディは慌てるように右手を広げ大声を上げると、一人の海賊に近づいていった。
「おい!
しっかりしろ!!」
胸ぐらを掴まれた海賊の目は虚ろで、焦点が合っていないかのように見える。
「やっぱりそうか。
おいっ!」
「殴った!?」
「……アテナ。
これは魔人|仕業だよ。
魔人、歌惑人魚のね」
「それって?」
「海に住む魔人さ。
人を惑わす歌を唄い、近づいて来たら人を喰らう。
ただ、その歌は男にしか響かないって話さ」
「だからあたし達だけ……」
「そういうこと。
だが、このままだと奴らの縄張りまで一直線だがね」
「……いいじゃない!
行きましょ!!
歌を止めればいいだけでしょ?
それに海が住み処なら船の上ならあたし達が有利ってことよ」
「そうだが相手は魔人だぞ?
簡単にはいかないと思うが……。
やるか、やるしかなさそうだしな」
大きく頷きお互い覚悟は決まった。
このまま成すがままに船を進め、歌を止めるしか最善の策はないように思う。
それに、バルバレルも全滅しているとも限らないのが全く途切れない歌声にあった。
この頃には既に日は暮れ、蒼かった海も闇色へと姿を変えると船に灯された焔だけがあたし達の存在を照らしていた。
「夜の森もそうだけど、夜の海ってのも気味が悪いわね」
「本来は月明かりがあるからもっとマシな筈だよ。
生憎、月も星も隠れちまってるからね」
「それにしてもさ、歌ってなんのことなんだろうね。
誰かいるのか、海の音が歌声に聴こえたとか」
「どちらも否定は出来ないね。
けど、その孤島から誰かが歌っていたとしても聴こえるとも思えないんだよ。
歌に聴こえる何かってことなのかも知れない……が、何かひっかかる。
どこかで歌について聞いたことがあるような」
「思い出してよ、レディ。
いずれ遭遇するかも知れないんだから」
そんなことを甲板で話している時だった。
「明かりだ!!」
船の見張り台から発せられた声に全員が見上げると、次には指の差した方へ一斉に顔を向けた。
「あれね!
とうとう見つけたわね」
「やっとってところだね。
交戦の意思はないように白旗を立てな!!
万が一に備えて武器も忘れるんじゃないよ!」
一瞬にして慌ただしくなった船の上で、あたしはやっと見つけたことへの安堵の溜め息を洩らしていた。
徐々に鮮明になってくる灯り。
真っ暗な海の上で唯一目印となるものが、明るく鮮明になることで船が進んでいることを実感出来ている。
「ん?」
「どうしたい、アテナ」
「微かに声が……。
ミーニャは何も言ってないわよね?」
「はい。
私は何も」
海賊達の雑音と波のせせらぎに混じり、異様な声が聞こえた気がした。
それは灯りに近づくにつれ、より一層確かなものへと変わっていく。
「声だわ!」
「……あぁ、確かに聞こえるね。
女性の歌声のよう」
「まさか、この船に密航者なんていないだろうし。
でも、この感じ……不思議よ」
「船の方から聞こえるって感じじゃないね。
誰か!!
密航者がいないか捜すんだよ!」
はっきりと歌声と聞き取れるまでにはなっていないが、話を信じれば歌だと思って間違いないと思う。
海の上だというのに部屋の中で聞いている感じは、耳から伝わってくるとは言い難かった。
「どういうことなの、これ」
「妙だね。
脳に直接響いてくる感じ……この……。
待て!!
船を停めろ!
これ以上灯りに近づくなっ!!」
レディは慌てるように右手を広げ大声を上げると、一人の海賊に近づいていった。
「おい!
しっかりしろ!!」
胸ぐらを掴まれた海賊の目は虚ろで、焦点が合っていないかのように見える。
「やっぱりそうか。
おいっ!」
「殴った!?」
「……アテナ。
これは魔人|仕業だよ。
魔人、歌惑人魚のね」
「それって?」
「海に住む魔人さ。
人を惑わす歌を唄い、近づいて来たら人を喰らう。
ただ、その歌は男にしか響かないって話さ」
「だからあたし達だけ……」
「そういうこと。
だが、このままだと奴らの縄張りまで一直線だがね」
「……いいじゃない!
行きましょ!!
歌を止めればいいだけでしょ?
それに海が住み処なら船の上ならあたし達が有利ってことよ」
「そうだが相手は魔人だぞ?
簡単にはいかないと思うが……。
やるか、やるしかなさそうだしな」
大きく頷きお互い覚悟は決まった。
このまま成すがままに船を進め、歌を止めるしか最善の策はないように思う。
それに、バルバレルも全滅しているとも限らないのが全く途切れない歌声にあった。
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