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第三章 解き放ち神具
episode 48 邪神と聖神
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谷を抜けきり金字塔の傍まで行って見ると、おあつらえ向きに入り口らしき空洞が二本の柱の間にあった。
「あれよね、きっと」
「だろうね。
行ってみるとするかい」
砂漠馬を降りたあたし達は人一人通れる入り口にレディを先頭にして足を踏み入れた。
「ふぅぅぅぅ。
日がないだけでかなりひんやりとしてるわね」
「ここは特別な感じがします。
精霊達のバランスが良いという感じですかね、不思議な感覚です」
「にしても、この暗さじゃ前には進めないわよ?」
「だね。
もしかすると何か仕掛けがあるーーのかも、知れないが……」
レディは言いながら付近の壁を手探りで触っていると、急に目の前から奥へと順番に天井から近いところで灯りが点いていった。
「すっご……」
「こいつは見事だね。
どうやって点いたのか分からないが」
「ここからはオレが先に行く」
三歩ほど前から通路が広く二、三人は並んで歩けるようになっていた為か、あたしとレディを押し退けカマルが先頭に出た。
「ちょっ、ちょっと。
はぁ、ホントあんたってば」
「では、私も前に行きますから。
アテナさん達は後ろをお願いします」
「タグまで、もう」
「いや、これで良いさ。
何があってもミーニャが安全に歩ける隊列だからね。
これで行こう」
「分かったわ、レディに従うことにする。
って!!
あんた達、待ちなさいよ」
あたし達を無視するかのように足取りを緩めないカマルに着いていくタグ。
見通しもよく何もなさそうなので別に良かったのだが、少しくらい待つという配慮はしてくれても良い気がした。
「………………。
ねぇ、これ下ってない?」
「緩やかだがそんな気がするね。
カマル、前の方には何かあるかい?
罠とかも注意しなきゃならないからね」
「……ただの道だ。
罠ならばこいつが口を挟む」
「罠があると風の流れというか音というか、違いが出るので気づけると思いますよ。
なのでカマルと私が前に行ったんです。
私達にも未知の場所ですが、これも砂漠の民が造ったものならばアテナさん達よりも地の利があるというもので」
「ちゃ、ちゃんと考えてたのね……。
ねぇレディ、下ってるけどこのまま行くの?
最悪は戻って、どうにか外から登るって手もあるのよ?」
「どうだろうね。
墓と言っている以上は下って行っても間違いはないんだが、それだと今までの話とは食い違ってくるとは思っているんだが……」
「おい、お前ら。
別れ道だがどちらに行く」
カマルの肩越しに灯りが二手に別れているのが見える。
真っ直ぐの道と右に曲がる道。
そして、近くまで来てみると若干の高低差があることに気づいた。
「これはどう見ても右よね」
「確かにね。
歩いた感じからここが中心の位置だと考えると、これ以上下るのは違う気がするよ」
レディが言い終えたと思ったらカマルは既に歩き出していた。
「もう!
何か意見でも言ってから動き出したらどうなのよ」
「そろそろ慣れなよ、アテナ。
どこに行ってもカマルのような人はいるもんさ」
「そんなこと言ってもさ、あたしにはあたしなりの感じもあるんだから。
それを曲げたらあたしじゃなくなっちゃうじゃない」
「ホント頑固というか信念が強いというか。
それも嫌いじゃないがね。
旅をするなら柔軟にならなきゃならない時もあるのさ」
「そんなもんなの?
今回はカマルが勝手に着いて来ただけで、そんな人とは一緒に行動しなきゃ良いだけじゃない」
「それだけなら楽だろうさ。
そうもいかないのが人生ってもんなの。
アテナもこれから色々と経験したら分かるさ。
受け入れなきゃならない時、拒否しても良い時とね。
もしかしたら、それを超えた先にファルが言っていたとライズが言った人間を愛してるってことに繋がるのかも知れないね」
「ん?
嫌いとか合わないとかそんなのも全て受け入れるってこと?
そんなことって、ねぇ。
神々だって戦争するくらいなのよ?
邪神と反りが合わないからってことでしょうに。
それなのにあたし達が受け入れるってさ」
「そいつも考えものでね、邪神は邪神だと思っているのかってことになるのさ。
邪神から見たら聖神の方が邪神なのかも知れないし」
「え?
どういうこと?」
「あたいらが邪神って呼んでいるだけってこと。
あたいらが魔者を異質な存在だから魔者と言っているけど、魔者から見たらあたいらが異質な存在なわけさ。
概念で言ったらね、聖神側は秩序を重んじ邪神側は欲望に忠実なわけ。
あたいらはその半々な訳だが、理性がある分だけ欲望を抑えている。
亜人達は秩序を守る為に外部の助けを拒み隠れ住んでいただろ?
一方的な目で見ていて決めつけているだけなのさ」
「だったら魔者と共存出来てもおかしくないってことよね。
亜人達にも道は開けたんだから」
「はっはっはっ!
どうだかね。
あの娘らもこれからが大変だろうからね、道は開いたと言っーー!」
「何!?
今の!?」
話をしながら幾度か曲がり階段を幾つか登ったところで呻き声のような叫び声のようなものがけたたましく響いた。
「あれよね、きっと」
「だろうね。
行ってみるとするかい」
砂漠馬を降りたあたし達は人一人通れる入り口にレディを先頭にして足を踏み入れた。
「ふぅぅぅぅ。
日がないだけでかなりひんやりとしてるわね」
「ここは特別な感じがします。
精霊達のバランスが良いという感じですかね、不思議な感覚です」
「にしても、この暗さじゃ前には進めないわよ?」
「だね。
もしかすると何か仕掛けがあるーーのかも、知れないが……」
レディは言いながら付近の壁を手探りで触っていると、急に目の前から奥へと順番に天井から近いところで灯りが点いていった。
「すっご……」
「こいつは見事だね。
どうやって点いたのか分からないが」
「ここからはオレが先に行く」
三歩ほど前から通路が広く二、三人は並んで歩けるようになっていた為か、あたしとレディを押し退けカマルが先頭に出た。
「ちょっ、ちょっと。
はぁ、ホントあんたってば」
「では、私も前に行きますから。
アテナさん達は後ろをお願いします」
「タグまで、もう」
「いや、これで良いさ。
何があってもミーニャが安全に歩ける隊列だからね。
これで行こう」
「分かったわ、レディに従うことにする。
って!!
あんた達、待ちなさいよ」
あたし達を無視するかのように足取りを緩めないカマルに着いていくタグ。
見通しもよく何もなさそうなので別に良かったのだが、少しくらい待つという配慮はしてくれても良い気がした。
「………………。
ねぇ、これ下ってない?」
「緩やかだがそんな気がするね。
カマル、前の方には何かあるかい?
罠とかも注意しなきゃならないからね」
「……ただの道だ。
罠ならばこいつが口を挟む」
「罠があると風の流れというか音というか、違いが出るので気づけると思いますよ。
なのでカマルと私が前に行ったんです。
私達にも未知の場所ですが、これも砂漠の民が造ったものならばアテナさん達よりも地の利があるというもので」
「ちゃ、ちゃんと考えてたのね……。
ねぇレディ、下ってるけどこのまま行くの?
最悪は戻って、どうにか外から登るって手もあるのよ?」
「どうだろうね。
墓と言っている以上は下って行っても間違いはないんだが、それだと今までの話とは食い違ってくるとは思っているんだが……」
「おい、お前ら。
別れ道だがどちらに行く」
カマルの肩越しに灯りが二手に別れているのが見える。
真っ直ぐの道と右に曲がる道。
そして、近くまで来てみると若干の高低差があることに気づいた。
「これはどう見ても右よね」
「確かにね。
歩いた感じからここが中心の位置だと考えると、これ以上下るのは違う気がするよ」
レディが言い終えたと思ったらカマルは既に歩き出していた。
「もう!
何か意見でも言ってから動き出したらどうなのよ」
「そろそろ慣れなよ、アテナ。
どこに行ってもカマルのような人はいるもんさ」
「そんなこと言ってもさ、あたしにはあたしなりの感じもあるんだから。
それを曲げたらあたしじゃなくなっちゃうじゃない」
「ホント頑固というか信念が強いというか。
それも嫌いじゃないがね。
旅をするなら柔軟にならなきゃならない時もあるのさ」
「そんなもんなの?
今回はカマルが勝手に着いて来ただけで、そんな人とは一緒に行動しなきゃ良いだけじゃない」
「それだけなら楽だろうさ。
そうもいかないのが人生ってもんなの。
アテナもこれから色々と経験したら分かるさ。
受け入れなきゃならない時、拒否しても良い時とね。
もしかしたら、それを超えた先にファルが言っていたとライズが言った人間を愛してるってことに繋がるのかも知れないね」
「ん?
嫌いとか合わないとかそんなのも全て受け入れるってこと?
そんなことって、ねぇ。
神々だって戦争するくらいなのよ?
邪神と反りが合わないからってことでしょうに。
それなのにあたし達が受け入れるってさ」
「そいつも考えものでね、邪神は邪神だと思っているのかってことになるのさ。
邪神から見たら聖神の方が邪神なのかも知れないし」
「え?
どういうこと?」
「あたいらが邪神って呼んでいるだけってこと。
あたいらが魔者を異質な存在だから魔者と言っているけど、魔者から見たらあたいらが異質な存在なわけさ。
概念で言ったらね、聖神側は秩序を重んじ邪神側は欲望に忠実なわけ。
あたいらはその半々な訳だが、理性がある分だけ欲望を抑えている。
亜人達は秩序を守る為に外部の助けを拒み隠れ住んでいただろ?
一方的な目で見ていて決めつけているだけなのさ」
「だったら魔者と共存出来てもおかしくないってことよね。
亜人達にも道は開けたんだから」
「はっはっはっ!
どうだかね。
あの娘らもこれからが大変だろうからね、道は開いたと言っーー!」
「何!?
今の!?」
話をしながら幾度か曲がり階段を幾つか登ったところで呻き声のような叫び声のようなものがけたたましく響いた。
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