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第三章 解き放ち神具
episode 49 アブル・ホールの問い
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ただならぬ声が聞こえたのは間違いなくこの先。
各々武器を抜き出し、警戒しつつ進むにつれ段々と声も大きく聞こえてくる。
「あれね!
きっとあの中だわ」
あたしが言ったのは岩壁には似つかわしくない金色に輝く扉だった。
「こいつは大層なもんだね。
察するにジェセル王の眠る部屋と思っても間違いなさそうだ」
「ってことは、復活したってこと!?」
「どうだか。
あんな獣染みた声を発するのか疑問は残るね」
「どのみち開けるしかないならーーこれで分かるってもんよねっ!!」
あたしは扉を思い切り前蹴りし咄嗟に後ろへ飛び退くと、開かれた部屋もまた金色に輝き、一瞬顔を背けざるを得なかった。
「眩しいぃ!
声の正体は何!?」
「奥にいるみたいだね、気をつけるんだよ」
「ふんっ!」
目の前に広がるのは壁と分かるとカマルは前回りをして部屋に転がり込み、左手に向かい湾曲刀を構えた。
「何かいるの!?
カマル!」
「大丈夫だ、入ってこい」
慎重に扉をくぐり部屋を見回すと、右手の階段から射し込む光によって金色の部屋を輝かせていた。
そして左手は随分と奥まで続いているが、中央には棺のような物が祀られているかのように高い位置にあり、四方に棒のような物が備わっていた。
「あれがそうかしら?」
「ジェセル王の棺だろうね。
復活の儀を行いそうなのが分かるよ。
そして、声の主はその奥にいる」
「え?
あ、あれね!」
遠目で分かりづらいが筋骨隆々なそれが壁際に立っていることは分かったが、こちらに向かって来そうな気配はなかった。
カマルを先頭に警戒しながらゆっくりと近づくと、向かって来ない理由も判断出来た。
「光で封じられてる?」
「光の鎖みたいなもんだね。
誰がやったのかは分からないが」
両手両足首が光の輪によって壁に固定され身動きの取れない人ーーと言って良いものか、顔は人のようにも見えるが鬣があり瞳も縦長で丸で二本足で立つ獣のようだった。
「これが幻獣か」
「カマルは知ってるのね?」
「こいつは幻獣、獅子人体躯だろう。
話に聞いたことがある」
「人のようで人ではないもの。
ましてや魔者でもないのね」
するとうつむき加減だった顔を急に上げると鋭い目つきであたし達を見回した。
「汝らの行いは何用ぞ」
「喋った!!」
「我は獅子人体躯。
神々の争いを経て古の時を生きる者。
人の言葉なぞ造作もない」
「わぉ。
あたし達は戦いに来た訳でも荒らしに来たわけでもないの。
ただ、頂上を見せにもらいに来ただけなのよ」
「我が契約せし王を防守することが我が使命。
貴様らを見過ごすことは出来ぬ」
「あたしの話聞いてた!?
何もしないわよ、あんたの王には」
「我が問いに答えよ。
朝は破壊し、昼は従う、しかし夜は訪れない。
答え次第では見過ごそう」
「一方的だわね、謎かけなんておまけ付きで」
あたしの話を無視するわ、謎かけまで出してきて一体なんの真似なのか不思議過ぎる存在だった。
「そんなこと知る由もない」
カマルは静かに話すと湾曲刀を肩から降りおろし、何度も獅子人体躯の体を切り裂いた。
「カマル!
抵抗出来ない相手なのよ!」
「知るか」
低く唸っていた声もやがて無くなり、全身の力が抜けたように腕だけ残し体は前のめりになっている。
それを見たカマルは最後に一降りし、湾曲刀の血を床へと投げ飛ばした。
「脅威のない無抵抗な存在を斬るなんて」
「ここの守護者なら動けない今しかないだろうに」
「だからと言って!
……まぁ、いいわ。
言っても仕方ないものね。
さ、外に出ましょ」
あたしは魔者相手だろうと脅威でないのならば手を出さないだろうが、脅威になり得るならば先に手を出す人間もいるだろう。
それがたまたま身近のカマルだっただけのことと思い留め、とりあえずは光の射し込む階段から外へと一度出た。
各々武器を抜き出し、警戒しつつ進むにつれ段々と声も大きく聞こえてくる。
「あれね!
きっとあの中だわ」
あたしが言ったのは岩壁には似つかわしくない金色に輝く扉だった。
「こいつは大層なもんだね。
察するにジェセル王の眠る部屋と思っても間違いなさそうだ」
「ってことは、復活したってこと!?」
「どうだか。
あんな獣染みた声を発するのか疑問は残るね」
「どのみち開けるしかないならーーこれで分かるってもんよねっ!!」
あたしは扉を思い切り前蹴りし咄嗟に後ろへ飛び退くと、開かれた部屋もまた金色に輝き、一瞬顔を背けざるを得なかった。
「眩しいぃ!
声の正体は何!?」
「奥にいるみたいだね、気をつけるんだよ」
「ふんっ!」
目の前に広がるのは壁と分かるとカマルは前回りをして部屋に転がり込み、左手に向かい湾曲刀を構えた。
「何かいるの!?
カマル!」
「大丈夫だ、入ってこい」
慎重に扉をくぐり部屋を見回すと、右手の階段から射し込む光によって金色の部屋を輝かせていた。
そして左手は随分と奥まで続いているが、中央には棺のような物が祀られているかのように高い位置にあり、四方に棒のような物が備わっていた。
「あれがそうかしら?」
「ジェセル王の棺だろうね。
復活の儀を行いそうなのが分かるよ。
そして、声の主はその奥にいる」
「え?
あ、あれね!」
遠目で分かりづらいが筋骨隆々なそれが壁際に立っていることは分かったが、こちらに向かって来そうな気配はなかった。
カマルを先頭に警戒しながらゆっくりと近づくと、向かって来ない理由も判断出来た。
「光で封じられてる?」
「光の鎖みたいなもんだね。
誰がやったのかは分からないが」
両手両足首が光の輪によって壁に固定され身動きの取れない人ーーと言って良いものか、顔は人のようにも見えるが鬣があり瞳も縦長で丸で二本足で立つ獣のようだった。
「これが幻獣か」
「カマルは知ってるのね?」
「こいつは幻獣、獅子人体躯だろう。
話に聞いたことがある」
「人のようで人ではないもの。
ましてや魔者でもないのね」
するとうつむき加減だった顔を急に上げると鋭い目つきであたし達を見回した。
「汝らの行いは何用ぞ」
「喋った!!」
「我は獅子人体躯。
神々の争いを経て古の時を生きる者。
人の言葉なぞ造作もない」
「わぉ。
あたし達は戦いに来た訳でも荒らしに来たわけでもないの。
ただ、頂上を見せにもらいに来ただけなのよ」
「我が契約せし王を防守することが我が使命。
貴様らを見過ごすことは出来ぬ」
「あたしの話聞いてた!?
何もしないわよ、あんたの王には」
「我が問いに答えよ。
朝は破壊し、昼は従う、しかし夜は訪れない。
答え次第では見過ごそう」
「一方的だわね、謎かけなんておまけ付きで」
あたしの話を無視するわ、謎かけまで出してきて一体なんの真似なのか不思議過ぎる存在だった。
「そんなこと知る由もない」
カマルは静かに話すと湾曲刀を肩から降りおろし、何度も獅子人体躯の体を切り裂いた。
「カマル!
抵抗出来ない相手なのよ!」
「知るか」
低く唸っていた声もやがて無くなり、全身の力が抜けたように腕だけ残し体は前のめりになっている。
それを見たカマルは最後に一降りし、湾曲刀の血を床へと投げ飛ばした。
「脅威のない無抵抗な存在を斬るなんて」
「ここの守護者なら動けない今しかないだろうに」
「だからと言って!
……まぁ、いいわ。
言っても仕方ないものね。
さ、外に出ましょ」
あたしは魔者相手だろうと脅威でないのならば手を出さないだろうが、脅威になり得るならば先に手を出す人間もいるだろう。
それがたまたま身近のカマルだっただけのことと思い留め、とりあえずは光の射し込む階段から外へと一度出た。
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