64 / 70
第四章 新たなる魔人王
episode 56 待ち構える喰妖魔
しおりを挟む
三隻の船を岸辺に着けると、そこから長い木の板を渡し上陸への道を作り大群が船から降りる。
周囲に魔者が居ないことを確認すると、レディが木の板の中央に立ち全てを見回した。
「いよいよだ!
カルディアの仇を討つ刻がきた!
我らが誇り高き船長カルディアはこの地に復活を遂げた魔人王ツェペシュ・ドラキュリアの手によって命を散らせた。
それは我ら海賊にとっても脅威だ。
仇を討つと共に、我らの居場所に安定をもたらす戦いになる。
この戦いは激戦になることは間違いないだろう。
しかし!
今、我々には神聖なる剣の加護がある!!
これを討ち滅ぼし我らが地を守り抜く。
皆の力を用いて己の居場所を守り抜け!
そして、生きて帰ることを忘れるなっ!!」
「おおー!!」
勇ましい雄叫びが島に響き渡る。
皆それぞれに覚悟を持ってこの地に来たのだ、レディの演説は更に奮起させたことだろう。
レディが板を降りるとあたしは近寄って拳を差し出した。
「良かったわよ。
これを見ると敗走なんて考えも出来ないわね」
「ありがとうね。
皆がカルディアに感謝してたってことだろうよ。
あたいはそれを呼び起こすだけの役割さ」
「良い演説だったよ、レディ。
柄にもなく私の心も奮い立ったさ」
あたしの後ろからテティーアンが不意に話しかけ驚くと同時に半身を翻し場所を開けた。
「テティーアン、頼んだよ。
戦闘になればあたいより海賊を纏められると思うからね」
「やれることをやるまでだよ。
アテナの剣が唯一の頼みだからね。
それにさ、私はあのとき置いてきぼりを食らった身なもんでね、魔人王に一太刀浴びせてやらないと気が済まないってもんなのさ」
「そういえばあの時いなかったわよね?」
「カルディアは町の警護で私に残れって言ってたのさ。
海賊業よりそっちのほうが向いてるってのもあったからね、クリスティアンと共に留守番だったのさ」
「まあ、誰も予想してなかったことだからね、魔人王がいるなんてさ。
あたしもあの場で凍りついたもの」
「だからさ、私が突破口を開いてやるのよ。
アテナもレディも魔人王には借りがあるようだからね」
「あぁ、あたいの友……大切な友だからね。
……さぁ、行こうか!!」
「了解したっ!
先人の奴らに伝えて来よう!」
テティーアンは人混みに紛れ、その中心にて大声を上げている。
すると間もなく居城へと隊が動き出し、あたし達も後を着いていくことになった。
「ミーニャには何か伝えてきたのかい?」
「伝えるも何も聞く耳持たないって感じだったわ。
一応は何かあったらクリスティアンと一緒に居なさいとは言ったけどね『何かあったらとか知りません、何もありませんから!』ってさ」
「信じたいんだね、アテナが戻ることを。
……大丈夫、あたいが全てをかけてでもミーニャの元へ帰すつもりだから。
だから、いつものアテナでいたらそれで良いからね」
「あたしはいつだってあたしなのよ!
あたしだけじゃない、レディも皆も一緒に帰るの。
このあたしが対抗出来る武器を手にしたのよ?
負けるはずなんてないの、分かった?」
「……ぷっ!
はっはっはっはっ!!
そりゃそうだ!
幻獣すら倒してきたんだものな、魔人王だって……っ!
来たか!!」
森を抜け居城が姿を見せると同時に前方で怒号が響き渡る。
甲高い武具のぶつかる音が至るところで鳴り、まるで四方を囲まれている感じさえさせる。
「レディ!
待ち伏せですぜ。
左右前方と囲まれてるって話でさ」
「分かった。
先発隊は進まず食い止めることを。
後からの合流に専念させるんだ。
あたいらはそのまま突破する!」
「分かりやした!!」
「さて、行くよアテナ」
「いつでもどうぞ!!」
レディは近くの海賊に二陣から中央突破をかけると伝えると隊の動きが止まり、真ん中の大軍が走り出した。
「レディ!
次発隊が中央をこじ開けた。
私達も続くよ!!」
「頼んだよ、テティーアン」
走り抜く両手では海賊が魔者と入り交じり武器を振るい、段々と真ん中の道は細くなっていく。
そして遂には道という道はなくなり交戦している間を抜けるということをするしかなくなった。
「でやぁ!!」
引き抜いた剣は偽鞘を付けたままだが、これで十分に喰妖魔を凪ぎ払い自分の道をこじ開ける。
「たらぁ!!」
海賊との間を通り抜ける際は蹴りを食らわせ、進むべき方だけに注意を向けるとレディはあたしと周りの海賊を守るように前後左右へと移動していた。
「くっ!
まだなの!?」
魔者の爪があたしの腕を掠めようとするが構わなかったことで事なきを得たが、未だ交戦域を出る気配がなかった。
倒れた喰妖魔の牙が足を捕らえようとするが、剣先を地に這わせ首を斬り上げたところで立ち止まり周囲を見回す。
「あれ!
あそこね!!」
前方の一ヵ所だけは海賊達が背中合わせで明らかに道を作っているのが見て取れた。
「頼んだわよ!
みんな生き抜いてよ!!」
背中に一声にかけながら間を通り抜けるとそこは海賊に囲まれ魔者の居ない空白地帯となり、数十人の三陣とあたし達本陣の面子が揃っていた。
周囲に魔者が居ないことを確認すると、レディが木の板の中央に立ち全てを見回した。
「いよいよだ!
カルディアの仇を討つ刻がきた!
我らが誇り高き船長カルディアはこの地に復活を遂げた魔人王ツェペシュ・ドラキュリアの手によって命を散らせた。
それは我ら海賊にとっても脅威だ。
仇を討つと共に、我らの居場所に安定をもたらす戦いになる。
この戦いは激戦になることは間違いないだろう。
しかし!
今、我々には神聖なる剣の加護がある!!
これを討ち滅ぼし我らが地を守り抜く。
皆の力を用いて己の居場所を守り抜け!
そして、生きて帰ることを忘れるなっ!!」
「おおー!!」
勇ましい雄叫びが島に響き渡る。
皆それぞれに覚悟を持ってこの地に来たのだ、レディの演説は更に奮起させたことだろう。
レディが板を降りるとあたしは近寄って拳を差し出した。
「良かったわよ。
これを見ると敗走なんて考えも出来ないわね」
「ありがとうね。
皆がカルディアに感謝してたってことだろうよ。
あたいはそれを呼び起こすだけの役割さ」
「良い演説だったよ、レディ。
柄にもなく私の心も奮い立ったさ」
あたしの後ろからテティーアンが不意に話しかけ驚くと同時に半身を翻し場所を開けた。
「テティーアン、頼んだよ。
戦闘になればあたいより海賊を纏められると思うからね」
「やれることをやるまでだよ。
アテナの剣が唯一の頼みだからね。
それにさ、私はあのとき置いてきぼりを食らった身なもんでね、魔人王に一太刀浴びせてやらないと気が済まないってもんなのさ」
「そういえばあの時いなかったわよね?」
「カルディアは町の警護で私に残れって言ってたのさ。
海賊業よりそっちのほうが向いてるってのもあったからね、クリスティアンと共に留守番だったのさ」
「まあ、誰も予想してなかったことだからね、魔人王がいるなんてさ。
あたしもあの場で凍りついたもの」
「だからさ、私が突破口を開いてやるのよ。
アテナもレディも魔人王には借りがあるようだからね」
「あぁ、あたいの友……大切な友だからね。
……さぁ、行こうか!!」
「了解したっ!
先人の奴らに伝えて来よう!」
テティーアンは人混みに紛れ、その中心にて大声を上げている。
すると間もなく居城へと隊が動き出し、あたし達も後を着いていくことになった。
「ミーニャには何か伝えてきたのかい?」
「伝えるも何も聞く耳持たないって感じだったわ。
一応は何かあったらクリスティアンと一緒に居なさいとは言ったけどね『何かあったらとか知りません、何もありませんから!』ってさ」
「信じたいんだね、アテナが戻ることを。
……大丈夫、あたいが全てをかけてでもミーニャの元へ帰すつもりだから。
だから、いつものアテナでいたらそれで良いからね」
「あたしはいつだってあたしなのよ!
あたしだけじゃない、レディも皆も一緒に帰るの。
このあたしが対抗出来る武器を手にしたのよ?
負けるはずなんてないの、分かった?」
「……ぷっ!
はっはっはっはっ!!
そりゃそうだ!
幻獣すら倒してきたんだものな、魔人王だって……っ!
来たか!!」
森を抜け居城が姿を見せると同時に前方で怒号が響き渡る。
甲高い武具のぶつかる音が至るところで鳴り、まるで四方を囲まれている感じさえさせる。
「レディ!
待ち伏せですぜ。
左右前方と囲まれてるって話でさ」
「分かった。
先発隊は進まず食い止めることを。
後からの合流に専念させるんだ。
あたいらはそのまま突破する!」
「分かりやした!!」
「さて、行くよアテナ」
「いつでもどうぞ!!」
レディは近くの海賊に二陣から中央突破をかけると伝えると隊の動きが止まり、真ん中の大軍が走り出した。
「レディ!
次発隊が中央をこじ開けた。
私達も続くよ!!」
「頼んだよ、テティーアン」
走り抜く両手では海賊が魔者と入り交じり武器を振るい、段々と真ん中の道は細くなっていく。
そして遂には道という道はなくなり交戦している間を抜けるということをするしかなくなった。
「でやぁ!!」
引き抜いた剣は偽鞘を付けたままだが、これで十分に喰妖魔を凪ぎ払い自分の道をこじ開ける。
「たらぁ!!」
海賊との間を通り抜ける際は蹴りを食らわせ、進むべき方だけに注意を向けるとレディはあたしと周りの海賊を守るように前後左右へと移動していた。
「くっ!
まだなの!?」
魔者の爪があたしの腕を掠めようとするが構わなかったことで事なきを得たが、未だ交戦域を出る気配がなかった。
倒れた喰妖魔の牙が足を捕らえようとするが、剣先を地に這わせ首を斬り上げたところで立ち止まり周囲を見回す。
「あれ!
あそこね!!」
前方の一ヵ所だけは海賊達が背中合わせで明らかに道を作っているのが見て取れた。
「頼んだわよ!
みんな生き抜いてよ!!」
背中に一声にかけながら間を通り抜けるとそこは海賊に囲まれ魔者の居ない空白地帯となり、数十人の三陣とあたし達本陣の面子が揃っていた。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
さようなら、お別れしましょう
椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。
妻に新しいも古いもありますか?
愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?
私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。
――つまり、別居。
夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。
――あなたにお礼を言いますわ。
【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる!
※他サイトにも掲載しております。
※表紙はお借りしたものです。
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる