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第四章 新たなる魔人王
episode 57 ドラキュリア
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予想通りだったのか、それ以上だったのか分からないが城内に入る人数としては予定よりも少なかった。
「レディ、人数が少ないけどどうするの?」
「このまま行くよ。
ただ最短で向かうしかなさそうだけど。
みんな!!
これより城内に向かう。
今よりも激しくなるかも知れないが急ぎ魔人王を討伐する!」
三陣を先頭に駆け出し城へと続く緩やかな坂を登る。
少しだけ振り返ると魔者と海賊が入り乱れてはいたが、どうやら海賊が圧倒しているようだった。
「アテナ、早速お出ましだよ」
「分かったわ。
あたしは後ろに気をつけて着いていくわ」
城の中ということもあり魔者も少数ずつで、これにはあたし達の本陣は手をかける必要がなかった。
「誰か秘密の通路知ってる人はいないの!?」
「カルディアの通った道だね?
あれはあの側近達しか知らされてなかったようだよ」
「だったらあたしが通った道しかないようね。
それを右に!
そのあと階段があるから上に行って左よ!」
「了解しやしたっ!!」
逃げるのに必死だったあの時の記憶の断片を繋ぎ合わせ謁見の間への道順を標すが、魔者との遭遇は回避出来ずどんどんと海賊を置き去りにせざるを得なかった。
そして、扉の前に残ったのは全部で八名。
「この先よ。
嫌な気配しかしないから分かると思うけど」
「あぁ、そうさね。
血の匂いも混ざった嫌な感じだよ。
みんな、いいかい?
あたいとテティーアン、アテナで魔人王の相手をする。
皆は手下となった海賊を抑えてくれ。
それが済んだらあたい達に力を貸してくれたらいい」
「もし、あいつらが本当に魔者となっているならば躊躇はするなよ。
正気であるならば……出来ることなら生かしてやりたい。
だが、お前達の命を優先することを忘れるなよ!」
「分かりやした!」
「やってやりましょう!!」
「では……行くぞ!」
テティーアンの言葉で士気を高め、レディが大きな両扉をゆっくりと押し開いた。
玉座で足を組み頬杖を付く色白の男性、それの両脇に仲間だったはずの海賊が並んでいる。
「彼がそうなのか?」
「ええ、間違いなく……いえ、あたしが見たときよりも若くなってる……」
「もう--話は済んだのか?
人間」
声の感じもあの時のよりもすっきりとし若さを醸し出しているが、威圧的で重厚感に溢れ冷たさはあの時のままだった。
「ええ、終わったわよ!
あんたを叩っ斬る話し合いがね」
「ふんっ。
小娘が、我に従うなら今のうちぞ」
「舐めてもらっちゃ困るんだがね。
あたいらだって何も用意してないわけじゃないんだからさ」
「貴様は中々見込みがありそうだが?
我が手を出す必要もあるまいて。
あまり美味そうではないが、我らが活きる糧となるが良い」
魔人王の言葉に並んでいた海賊達は口を開き、ありもしない牙を剥き出しにし出した。
「あいつら……どうやら眷属に成り下がったようだね!
お前ら遠慮はするな!
仲間と思うな!
彼らは魔者と化した、人の意思は無いものと思え!!」
「おぉーー!」
テティーアンの号令で王の間の中央で海賊と元海賊がぶつかり合う。
それが徐々に両端で争うことになると魔人王への一本道があたし達の前に出来上がった。
「いよいよね……。
やれる、あたしならやれる」
あたしは鞘の解除をすると煌神刃を引き抜き眼前に構えた。
「ほぉ、それは我が因縁たる武器。
だが--お主のような者が持ってしても我が肉体を傷つけることは出来ぬだろうよ」
「それはどうだか?
あたしを見くびらないでよねっ!
それにっ--あたしはアテナって名前があるの!!」
走り出したあたしの両脇を二人が素早く追い抜きそれぞれに剣を振るった。
と同時に魔人王は立ち上がり真っ黒な外套を翻すと姿形がその場から消えた。
「えっ!?」
「なっ!?」
「我を玉座から動かすとはなぁ。
人間風情が」
背中の方から声がし振り返ると魔人王はさっきまであたし達が立っていた所へ移動していた。
「あら?
その人間風情の剣も受けれず逃げたなんて王を名乗る資格はあるのかしら?」
「ふん、小娘がぁ口だけは立派なようだな」
「口だけじゃなかったらどうする?」
「我を侮辱するのも大概にするが良い。
貴様らに勝ち目なぞない」
「勝ち目がなくてこんなところに来るわけないでしょ!」
先程とまるで同じように二人が仕掛けあたしが突っ込むが、これまた同じように姿を消した。
「我の動きを止められずして何を出来ようぞ」
今度は玉座の前に戻っている。
「逃げてばかりなのね」
「ほう。
避けなければどうにかなるとでも?
では、来るがいい。
戯れも終いだ」
「良くやったよ、アテナ。
ここからが本番!
行くよっ!!」
テティーアンは大回りして左手に回り、レディとあたしが正面から剣を伸ばす。
しかし、テティーアンの剣が届く直前、彼女の体は弾き飛ばされ魔人王はレディの剣を掴むと伸ばした煌神刃を下から突き上げ玉座の後方へと弾き飛ばし真っ赤な垂れ幕を斬り裂いた。
「ぐっ!!」
「きゃぁっ!」
レディは腹部を蹴られ、あたしは魔人王の外套に吹き飛ばされた。
「言ったであろう、人間が何をしても無駄だと」
「け、剣が--」
「無茶だ、アテナ!
今は行くな!!」
あれだけは取り返さなければとの思いで立ち上がり倒れたレディの静止を聞かず玉座に向かい歩き出す。
「ほう。
何も持たずして我が前に来るとはなぁ。
やはり無謀という言葉が人間には似合うということか。
ならば貴様だけは生きたまま我が糧になるがよ--ぐぅっ!!」
魔人王が手を伸ばしあたしに触れる直前、苦悶の表情を浮かべ胸から煌神刃の先端が突き出ていた。
それに驚いたあたしは左を見るがテティーアンは倒れたままで、状況を理解することが出来なかった。
「レディ、人数が少ないけどどうするの?」
「このまま行くよ。
ただ最短で向かうしかなさそうだけど。
みんな!!
これより城内に向かう。
今よりも激しくなるかも知れないが急ぎ魔人王を討伐する!」
三陣を先頭に駆け出し城へと続く緩やかな坂を登る。
少しだけ振り返ると魔者と海賊が入り乱れてはいたが、どうやら海賊が圧倒しているようだった。
「アテナ、早速お出ましだよ」
「分かったわ。
あたしは後ろに気をつけて着いていくわ」
城の中ということもあり魔者も少数ずつで、これにはあたし達の本陣は手をかける必要がなかった。
「誰か秘密の通路知ってる人はいないの!?」
「カルディアの通った道だね?
あれはあの側近達しか知らされてなかったようだよ」
「だったらあたしが通った道しかないようね。
それを右に!
そのあと階段があるから上に行って左よ!」
「了解しやしたっ!!」
逃げるのに必死だったあの時の記憶の断片を繋ぎ合わせ謁見の間への道順を標すが、魔者との遭遇は回避出来ずどんどんと海賊を置き去りにせざるを得なかった。
そして、扉の前に残ったのは全部で八名。
「この先よ。
嫌な気配しかしないから分かると思うけど」
「あぁ、そうさね。
血の匂いも混ざった嫌な感じだよ。
みんな、いいかい?
あたいとテティーアン、アテナで魔人王の相手をする。
皆は手下となった海賊を抑えてくれ。
それが済んだらあたい達に力を貸してくれたらいい」
「もし、あいつらが本当に魔者となっているならば躊躇はするなよ。
正気であるならば……出来ることなら生かしてやりたい。
だが、お前達の命を優先することを忘れるなよ!」
「分かりやした!」
「やってやりましょう!!」
「では……行くぞ!」
テティーアンの言葉で士気を高め、レディが大きな両扉をゆっくりと押し開いた。
玉座で足を組み頬杖を付く色白の男性、それの両脇に仲間だったはずの海賊が並んでいる。
「彼がそうなのか?」
「ええ、間違いなく……いえ、あたしが見たときよりも若くなってる……」
「もう--話は済んだのか?
人間」
声の感じもあの時のよりもすっきりとし若さを醸し出しているが、威圧的で重厚感に溢れ冷たさはあの時のままだった。
「ええ、終わったわよ!
あんたを叩っ斬る話し合いがね」
「ふんっ。
小娘が、我に従うなら今のうちぞ」
「舐めてもらっちゃ困るんだがね。
あたいらだって何も用意してないわけじゃないんだからさ」
「貴様は中々見込みがありそうだが?
我が手を出す必要もあるまいて。
あまり美味そうではないが、我らが活きる糧となるが良い」
魔人王の言葉に並んでいた海賊達は口を開き、ありもしない牙を剥き出しにし出した。
「あいつら……どうやら眷属に成り下がったようだね!
お前ら遠慮はするな!
仲間と思うな!
彼らは魔者と化した、人の意思は無いものと思え!!」
「おぉーー!」
テティーアンの号令で王の間の中央で海賊と元海賊がぶつかり合う。
それが徐々に両端で争うことになると魔人王への一本道があたし達の前に出来上がった。
「いよいよね……。
やれる、あたしならやれる」
あたしは鞘の解除をすると煌神刃を引き抜き眼前に構えた。
「ほぉ、それは我が因縁たる武器。
だが--お主のような者が持ってしても我が肉体を傷つけることは出来ぬだろうよ」
「それはどうだか?
あたしを見くびらないでよねっ!
それにっ--あたしはアテナって名前があるの!!」
走り出したあたしの両脇を二人が素早く追い抜きそれぞれに剣を振るった。
と同時に魔人王は立ち上がり真っ黒な外套を翻すと姿形がその場から消えた。
「えっ!?」
「なっ!?」
「我を玉座から動かすとはなぁ。
人間風情が」
背中の方から声がし振り返ると魔人王はさっきまであたし達が立っていた所へ移動していた。
「あら?
その人間風情の剣も受けれず逃げたなんて王を名乗る資格はあるのかしら?」
「ふん、小娘がぁ口だけは立派なようだな」
「口だけじゃなかったらどうする?」
「我を侮辱するのも大概にするが良い。
貴様らに勝ち目なぞない」
「勝ち目がなくてこんなところに来るわけないでしょ!」
先程とまるで同じように二人が仕掛けあたしが突っ込むが、これまた同じように姿を消した。
「我の動きを止められずして何を出来ようぞ」
今度は玉座の前に戻っている。
「逃げてばかりなのね」
「ほう。
避けなければどうにかなるとでも?
では、来るがいい。
戯れも終いだ」
「良くやったよ、アテナ。
ここからが本番!
行くよっ!!」
テティーアンは大回りして左手に回り、レディとあたしが正面から剣を伸ばす。
しかし、テティーアンの剣が届く直前、彼女の体は弾き飛ばされ魔人王はレディの剣を掴むと伸ばした煌神刃を下から突き上げ玉座の後方へと弾き飛ばし真っ赤な垂れ幕を斬り裂いた。
「ぐっ!!」
「きゃぁっ!」
レディは腹部を蹴られ、あたしは魔人王の外套に吹き飛ばされた。
「言ったであろう、人間が何をしても無駄だと」
「け、剣が--」
「無茶だ、アテナ!
今は行くな!!」
あれだけは取り返さなければとの思いで立ち上がり倒れたレディの静止を聞かず玉座に向かい歩き出す。
「ほう。
何も持たずして我が前に来るとはなぁ。
やはり無謀という言葉が人間には似合うということか。
ならば貴様だけは生きたまま我が糧になるがよ--ぐぅっ!!」
魔人王が手を伸ばしあたしに触れる直前、苦悶の表情を浮かべ胸から煌神刃の先端が突き出ていた。
それに驚いたあたしは左を見るがテティーアンは倒れたままで、状況を理解することが出来なかった。
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