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1章 追放
16 故郷からの救援要請
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朝日が眩しくて目を細めながら、俺とフレアはギルドの扉を押し開けた。
中に入った瞬間、空気の重さに気づく。
いつもなら笑い声が響いているはずなのに、今日は妙に静かだ。
職員たちが慌ただしく走り回り、冒険者たちも落ち着かない様子でざわついている。
ニーナが俺たちに気づき、険しい顔で駆け寄ってきた。
「昨夜、黒い霧の調査に向かったCランク冒険者10名が……帰ってきていません。
救出隊を出したんですが……今朝、遺体が見つかって……」
フレアが口元を押さえる。
「え……嘘でしょ……」
ニーナは俯き、肩を震わせていた。
依頼を受け付けた自分を責めているのだろう。
だが、Cランクを10人も失うなんて、このギルドには痛すぎる。
---
そこへ、ギルドマスターのガルドが姿を現した。
「これより森を特別危険区域とする。今日からCランク以下の冒険者は森への立ち入りを禁止する」
周囲が一気にざわつく。
「じゃあ俺たちはどうやって稼げってんだよ」
「……この街を出るしかないのか」
「飢え死にしろってことかよ……」
その時、ギルドの扉が勢いよく開き、男が息を切らして飛び込んできた。
「はぁ……はぁ……ガ、ガルドさん!
ひ、東の村が……魔物の群れに襲われています!」
ガルドの表情が険しくなる。
「あの村は森に囲まれている……しかも、あそこにはDランク以下の冒険者しかいないはずだ」
ニーナが不安げに声を上げた。
「……うちには、もうC級冒険者なんて一人もいないですよ!」
「分かっている。すぐに王都へ救援要請を送れ」
「でも、それじゃ間に合わないんじゃ……」
ガルドはしばらく考え込み、やがて俺たちの方を向いた。
「頼めるのはお前たちしかいない。
特例だが、ギルドマスター権限でお前たちをCランクに昇格させる。
村の救援に向かってほしい」
---
だが俺は、俯いたまま首を横に振った。
「……無理だ。あの村には帰れない。
俺は追放されたんだ。戻れば……殺される」
自分でも分かるほど、声が震えていた。
フレアがそっと近づき、俺の手を握る。
「アレックス。怖いのは分かるわ。でも……助けを求めてる人がいるのよ。
あなたは、誰かを見捨てるような人じゃない」
俺は視線をそらし、唇を噛む。
次の瞬間、フレアが俺を抱きしめた。
その体温が、張りつめていた心を少しずつ溶かしていく。
「大丈夫。あなたは一人じゃない。
何かあったら、私が守る」
握りしめていた拳の力が抜けていくのが分かった。
俺は深く息を吸い、ゆっくりと顔を上げた。
「……行こう。村を救う。
それで……魔物の数は?」
突然話を振られた男が、慌てて答える。
「100体以上はいるかと……しかも、まるで指揮されているみたいに動いているそうです!」
ガルドが眉をひそめる。
「魔物が統率されている……? まるで軍隊だな。
アレックス、フレア。王都の救援が来るまで時間を稼いでくれ。頼む」
「ああ……了解した」
フレアが小さく微笑む。
俺たちは急いで準備を整え、ギルドを飛び出した。
東の空には、不吉な黒い霧が薄く漂っていた。
---
中に入った瞬間、空気の重さに気づく。
いつもなら笑い声が響いているはずなのに、今日は妙に静かだ。
職員たちが慌ただしく走り回り、冒険者たちも落ち着かない様子でざわついている。
ニーナが俺たちに気づき、険しい顔で駆け寄ってきた。
「昨夜、黒い霧の調査に向かったCランク冒険者10名が……帰ってきていません。
救出隊を出したんですが……今朝、遺体が見つかって……」
フレアが口元を押さえる。
「え……嘘でしょ……」
ニーナは俯き、肩を震わせていた。
依頼を受け付けた自分を責めているのだろう。
だが、Cランクを10人も失うなんて、このギルドには痛すぎる。
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そこへ、ギルドマスターのガルドが姿を現した。
「これより森を特別危険区域とする。今日からCランク以下の冒険者は森への立ち入りを禁止する」
周囲が一気にざわつく。
「じゃあ俺たちはどうやって稼げってんだよ」
「……この街を出るしかないのか」
「飢え死にしろってことかよ……」
その時、ギルドの扉が勢いよく開き、男が息を切らして飛び込んできた。
「はぁ……はぁ……ガ、ガルドさん!
ひ、東の村が……魔物の群れに襲われています!」
ガルドの表情が険しくなる。
「あの村は森に囲まれている……しかも、あそこにはDランク以下の冒険者しかいないはずだ」
ニーナが不安げに声を上げた。
「……うちには、もうC級冒険者なんて一人もいないですよ!」
「分かっている。すぐに王都へ救援要請を送れ」
「でも、それじゃ間に合わないんじゃ……」
ガルドはしばらく考え込み、やがて俺たちの方を向いた。
「頼めるのはお前たちしかいない。
特例だが、ギルドマスター権限でお前たちをCランクに昇格させる。
村の救援に向かってほしい」
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だが俺は、俯いたまま首を横に振った。
「……無理だ。あの村には帰れない。
俺は追放されたんだ。戻れば……殺される」
自分でも分かるほど、声が震えていた。
フレアがそっと近づき、俺の手を握る。
「アレックス。怖いのは分かるわ。でも……助けを求めてる人がいるのよ。
あなたは、誰かを見捨てるような人じゃない」
俺は視線をそらし、唇を噛む。
次の瞬間、フレアが俺を抱きしめた。
その体温が、張りつめていた心を少しずつ溶かしていく。
「大丈夫。あなたは一人じゃない。
何かあったら、私が守る」
握りしめていた拳の力が抜けていくのが分かった。
俺は深く息を吸い、ゆっくりと顔を上げた。
「……行こう。村を救う。
それで……魔物の数は?」
突然話を振られた男が、慌てて答える。
「100体以上はいるかと……しかも、まるで指揮されているみたいに動いているそうです!」
ガルドが眉をひそめる。
「魔物が統率されている……? まるで軍隊だな。
アレックス、フレア。王都の救援が来るまで時間を稼いでくれ。頼む」
「ああ……了解した」
フレアが小さく微笑む。
俺たちは急いで準備を整え、ギルドを飛び出した。
東の空には、不吉な黒い霧が薄く漂っていた。
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