平凡地味子ですが『魔性の女』と呼ばれています。

ねがえり太郎

文字の大きさ
53 / 363
本編 平凡地味子ですが『魔性の女』と呼ばれています。

40.美男からのプロポーズ

しおりを挟む

「―――は?」
「ちゃんと付き合っている婚約者だって、同僚に紹介してよ。正面切って紹介すれば相手も誤解だってすぐに納得してくれる」
「あ、ああ……」

 七海はドキドキとせわしなく打ち始めた心臓を宥めた。



(あっぶな!また勘違いする所だった……!)



 全く自分の周りの男性陣は親切過ぎると七海は呆れた。

(そして、下手に思わせぶり過ぎる……!)

 思わず、ガオーッと叫びたくなったが堪えた。
 おそらくモテない歴が長すぎて、願望が膨らむあまりそう言うシチュエーションに憧れてしまっているのだろう。 ちょっと意味深な台詞を聞かされるとすぐ勘違いしてしまう自分が恥ずかしくて、七海は体がむず痒くなった。

(ないない、そんな都合良く『平凡地味子』な私がイケメンに告白されるなんて)

 悔しいが使い勝手の良さに、岬が作った造語を意外と気に入ってしまった七海だった。

 そう言えば、と七海は思う。

 モテない割に自分は積極性が足りなかったかもしれない。
 岬ほどガッツくのは周囲の迷惑かもしれないが、七海よりずっと可愛い岬があれほど頑張っているのに、『平凡地味子』な七海はこれまで彼氏を捕まえようと努力したことは一度も無かった。
 いや、あった。高校生の頃一度だけ。
 だけどそれ以降色々スッキリしてしまって、誰かにアプローチしたり合コンに出掛けたり、男の人を紹介して貰ったりと―――何らかのアクションを自分から起こす事が無いまま、これまでノホホンと生きてきてしまった。

 四捨五入すれば既に七海もアラサーだ。

 そろそろキチンと自分の身の振り方を考えた方が良いかもしれない、そう思った。
 彼氏を作るよう努力するか―――もしくは仕事で身を立てられるよう資格を取るとか。

 大学の友達は皆、彼氏ができてから忙しいと言いながらも楽しそうだ。
 唯とは定期的に会っているけれども、結婚して子供でもできれば七海と遊んでる暇は無くなるだろう。いや、会いには行くと思うが……好きな時に長い時間一緒にいるのは難しくなるだろう。
 今七海を構ってくれる信や新、黛もいずれ彼女が出来て結婚するかもしれない。そうすれば七海だけお一人様で……。

 そんな未来を想像して、七海は何だか少し寂しくなってきた。
 皆何もしなくても異性が寄って来るのだ。恋人を作れなくて作らないんじゃない。その気になれば幾らでも相手はいるのだ。
 その気になったとしても相手がいないのは―――七海だけだ。



(やっぱり、立川さんのお誘いを断ったのは間違いだったのかな?私を女として誘ってくれるような異性なんて、この先現れない気がしてきた……)



 黛に『いい奴』と言われて嬉しかった。
 確かに七海を『いい人』と表現する人はこれまで何人かいた。
 でもよく言うではないか。

『あの人、いい人なのにねぇ……』
『でもあまり異性として見れないよね』

 凄く良い人だけど恋愛対象に入らない男性に対して、女子達がそのように同情する場面は良くある。それがまさか自分に当て嵌る台詞だとは、考えてもみなかった。



(私―――もしかしてヤバいかも……?!)



 初めて危機感、と言うものを意識した七海だった。

しおりを挟む
感想 104

あなたにおすすめの小説

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

舌を切られて追放された令嬢が本物の聖女でした。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。

BBやっこ
恋愛
侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。 父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した! メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!

【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください

ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。 義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。 外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。 彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。 「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」 ――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。 ⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

大切にしていた母の形見のネックレスを妹に奪われましたが、それ以降私と妹の運は逆転しました!

四季
恋愛
大切にしていた母の形見のネックレスを妹に奪われましたが、それ以降私と妹の運は逆転しました!

処理中です...