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後日談 黛先生の婚約者
(4)初めてのお泊り(★)
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R15程度の表現がありますので、苦手な方は閲覧を回避願います。
※なろう版には掲載しておりません。
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客間に入ろうとした所で、走って来た黛に腕を掴まれた。
七海が吃驚して振り返ると、黛が恐ろしい形相で彼女を見下ろしていた。
「ひっ」
と息を呑み込むと、黛がニタァと笑った。
「お前、俺が『はい、そーですか』って言うと思ってんのか?」
「……」
究極に鈍い七海だが以前押し倒された事もあり、何となく黛の言いたい事は分かった。
そう言う覚悟も無かった訳では無いが―――お風呂に入って自分の体を見たら、恥ずかしいのと自信が無いのと―――色々な気持ちが入り混じって来て、怖気づいてしまったのだ。このまま黛が見逃してくれるなら、逃げてしまおうと―――何度か家には来て客間の位置は知っていたので足早にそこまで逃げて来たのだが―――やはり捕まってしまった。
(こ、怖い……!)
と思った瞬間、黛が真顔になる。
そして神妙な表情で、ポツリと呟いたのだった。
「一緒に寝るの……嫌なのか?」
「うっ……」
それは卑怯だ……!
黛がショボンと肩を落とすのを見て、七海は思った。
が、心で喚いてみても……もう遅い。
七海は絆されてしまった。もともと怖気づいて逃げ出したのは自分の方なのだ。
「……ううん」
首を振ると嬉しそうに黛が笑ったので、七海は「まあ、いっか」と肩の力を抜いて諦める事にした。
そしてお縄に掛かった罪人のように手を引かれるまま、黛の部屋へと連行されたのだった……。
「ちょっ、ななな……何するのよぉ!」
すっかりパジャマも下着も剥かれ真っ裸の状態で、あちこち触られたり揉まれたり舐められたリと―――恥ずかしさを我慢してされるがままになっていた七海は、ぎゃあっと喚いて黛の下から逃げ出した。
それまでも随分耐えていたのだ。目を開ければ色気ダダ漏れの、好みど真ん中の美形が裸で迫って来ており、しかしここで逃げては……と目を瞑り我慢しているとヌルリとした感触が胸に当って「な、舐められてる~」とパニックになった。けれどもまだ上半身は我慢できた。何故かフッと重さが消えて、足首を掴まれ最初は其処にチュッとと吸い付かれる感触がした。続いてふくらはぎ、そして太腿へと唇の感触が降って来て―――妙な感触にくすぐったく思いながらボンヤリ体を任せていると、普通は絶対息など掛からないであろう処に、風を感じたのだ。
思わずパチリと目を開けると、黛があらぬところに顔を近づけているではないか……!
頭が真っ白になって、七海は叫び声を上げ思わず後ろへ飛びずさったのである。
壁際に身を寄せ縮こまる七海を、黛が真顔でジッと見つめる。
そして逃げた事を責めるでもなく、むしろ真摯な口調で―――黛は説得を試み始めたのだった。
「お前……痛いのが好きなのか?」
不思議そうに尋ねられ、七海は戸惑った。
「はぁ?……痛いのは嫌だけど……」
「恥ずかしいのは分かるが、出来るだけ準備しとかないと―――すっごく痛いぞ~~」
黛は眉を顰めて、七海の不安を徹底的に煽って来る。
七海の心にはモヤモヤと恐れのような物が湧き上がって来た。
「え、ええ~……」
勿論、七海だって痛いのは嫌だ。
だけど恥ずかしいものは恥ずかしい。できればさっきのような手順は踏んで欲しく無かった。
すると黛は裸のまま腕を組み胡坐を掻いて、物知った様子で重々しくこう言ったのだった。
「俺はな、別にそのままでもたぶん気持ちは良いから問題ないけど……お前、泣くぞ。途中でやめるなんて無理だからな」
黛の脅しに、七海はヒクリと顔を引き攣らせる。
やはり今日は無理だと、訴える事に決めた。
「じゃ、今日は止め……」
「絶対ヤル。今日を逃したら、よくない事が起きるような気がする」
が、黛は有無を言わせぬ口調で、逃げようとする七海の退路を断つように断言した。
鬼気迫るようなものを感じて、七海はゴクリと唾を飲み込み―――
どうやら、逃げるのは無理らしいと悟った。
ふーっと息を吐いて、七海はズリズリと黛の近くまで這うように戻って行った。それからオズオズと彼の裸の肌にピタリと抱き着く。黛はヨシヨシと七海の頭を撫でて「もう頼むから逃げるなよ」と祈る様に呟いて、七海をベッドに押し倒したのだった……。
** ** **
しかし七海はやはり後悔する事となった。
「いったぁーー!」
「マジ痛い、止めて止めて、いったーい!」
「嘘つき!いたいいたい!黛君のばかあ……!」
七海が怒っても殴っても噛みついてもあまり気にならないらしく、彼女の抗議も虚しく黛は最後まで初志を貫徹したのであった。
** ** **
翌日。
ぐったりとしてベッドに沈み込む七海の顔を覗き込み、黛は幸福感に包まれていた。
昨晩のアレコレを思い出しニヤニヤしていると、パチリとその目が開き―――黛を見つけ愛しい彼女がニッコリと笑い掛けてくれたのだった。
やっとこの手にした好いた女に微笑まれ、黛は頬を染める。
すると笑顔に見惚れてボンヤリしている黛の両頬を、七海は掌で包み込むようにして顔を近づけ―――
ゴチンっ!
と昨日のお返しとばかりに、頭突きを食らわせたのだった。
「嘘つき!すっごい痛かった……!」
「~~~」
石頭の制裁を受け、声にならない呻き声を上げる黛だったが―――
(家に帰す前にもう一回くらい、やれないかな?)
―――と、頭を押さえながら懲りない事を考えていたとは、初心者の七海には気付く由も無かったのだった。
※なろう版には掲載しておりません。
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客間に入ろうとした所で、走って来た黛に腕を掴まれた。
七海が吃驚して振り返ると、黛が恐ろしい形相で彼女を見下ろしていた。
「ひっ」
と息を呑み込むと、黛がニタァと笑った。
「お前、俺が『はい、そーですか』って言うと思ってんのか?」
「……」
究極に鈍い七海だが以前押し倒された事もあり、何となく黛の言いたい事は分かった。
そう言う覚悟も無かった訳では無いが―――お風呂に入って自分の体を見たら、恥ずかしいのと自信が無いのと―――色々な気持ちが入り混じって来て、怖気づいてしまったのだ。このまま黛が見逃してくれるなら、逃げてしまおうと―――何度か家には来て客間の位置は知っていたので足早にそこまで逃げて来たのだが―――やはり捕まってしまった。
(こ、怖い……!)
と思った瞬間、黛が真顔になる。
そして神妙な表情で、ポツリと呟いたのだった。
「一緒に寝るの……嫌なのか?」
「うっ……」
それは卑怯だ……!
黛がショボンと肩を落とすのを見て、七海は思った。
が、心で喚いてみても……もう遅い。
七海は絆されてしまった。もともと怖気づいて逃げ出したのは自分の方なのだ。
「……ううん」
首を振ると嬉しそうに黛が笑ったので、七海は「まあ、いっか」と肩の力を抜いて諦める事にした。
そしてお縄に掛かった罪人のように手を引かれるまま、黛の部屋へと連行されたのだった……。
「ちょっ、ななな……何するのよぉ!」
すっかりパジャマも下着も剥かれ真っ裸の状態で、あちこち触られたり揉まれたり舐められたリと―――恥ずかしさを我慢してされるがままになっていた七海は、ぎゃあっと喚いて黛の下から逃げ出した。
それまでも随分耐えていたのだ。目を開ければ色気ダダ漏れの、好みど真ん中の美形が裸で迫って来ており、しかしここで逃げては……と目を瞑り我慢しているとヌルリとした感触が胸に当って「な、舐められてる~」とパニックになった。けれどもまだ上半身は我慢できた。何故かフッと重さが消えて、足首を掴まれ最初は其処にチュッとと吸い付かれる感触がした。続いてふくらはぎ、そして太腿へと唇の感触が降って来て―――妙な感触にくすぐったく思いながらボンヤリ体を任せていると、普通は絶対息など掛からないであろう処に、風を感じたのだ。
思わずパチリと目を開けると、黛があらぬところに顔を近づけているではないか……!
頭が真っ白になって、七海は叫び声を上げ思わず後ろへ飛びずさったのである。
壁際に身を寄せ縮こまる七海を、黛が真顔でジッと見つめる。
そして逃げた事を責めるでもなく、むしろ真摯な口調で―――黛は説得を試み始めたのだった。
「お前……痛いのが好きなのか?」
不思議そうに尋ねられ、七海は戸惑った。
「はぁ?……痛いのは嫌だけど……」
「恥ずかしいのは分かるが、出来るだけ準備しとかないと―――すっごく痛いぞ~~」
黛は眉を顰めて、七海の不安を徹底的に煽って来る。
七海の心にはモヤモヤと恐れのような物が湧き上がって来た。
「え、ええ~……」
勿論、七海だって痛いのは嫌だ。
だけど恥ずかしいものは恥ずかしい。できればさっきのような手順は踏んで欲しく無かった。
すると黛は裸のまま腕を組み胡坐を掻いて、物知った様子で重々しくこう言ったのだった。
「俺はな、別にそのままでもたぶん気持ちは良いから問題ないけど……お前、泣くぞ。途中でやめるなんて無理だからな」
黛の脅しに、七海はヒクリと顔を引き攣らせる。
やはり今日は無理だと、訴える事に決めた。
「じゃ、今日は止め……」
「絶対ヤル。今日を逃したら、よくない事が起きるような気がする」
が、黛は有無を言わせぬ口調で、逃げようとする七海の退路を断つように断言した。
鬼気迫るようなものを感じて、七海はゴクリと唾を飲み込み―――
どうやら、逃げるのは無理らしいと悟った。
ふーっと息を吐いて、七海はズリズリと黛の近くまで這うように戻って行った。それからオズオズと彼の裸の肌にピタリと抱き着く。黛はヨシヨシと七海の頭を撫でて「もう頼むから逃げるなよ」と祈る様に呟いて、七海をベッドに押し倒したのだった……。
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しかし七海はやはり後悔する事となった。
「いったぁーー!」
「マジ痛い、止めて止めて、いったーい!」
「嘘つき!いたいいたい!黛君のばかあ……!」
七海が怒っても殴っても噛みついてもあまり気にならないらしく、彼女の抗議も虚しく黛は最後まで初志を貫徹したのであった。
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翌日。
ぐったりとしてベッドに沈み込む七海の顔を覗き込み、黛は幸福感に包まれていた。
昨晩のアレコレを思い出しニヤニヤしていると、パチリとその目が開き―――黛を見つけ愛しい彼女がニッコリと笑い掛けてくれたのだった。
やっとこの手にした好いた女に微笑まれ、黛は頬を染める。
すると笑顔に見惚れてボンヤリしている黛の両頬を、七海は掌で包み込むようにして顔を近づけ―――
ゴチンっ!
と昨日のお返しとばかりに、頭突きを食らわせたのだった。
「嘘つき!すっごい痛かった……!」
「~~~」
石頭の制裁を受け、声にならない呻き声を上げる黛だったが―――
(家に帰す前にもう一回くらい、やれないかな?)
―――と、頭を押さえながら懲りない事を考えていたとは、初心者の七海には気付く由も無かったのだった。
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