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5.勇剣祭の始まり
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寒く厳しい冬が終わり、王国に春がやってきた。
俺はエドワードとともに無事に二年生に進級し、勉学や剣術に励んでいる。
「何を見ているの?ウィリアム」
学内掲示板に大きく張り出されたポスターを見ていると、エドワードが小さく首を傾げながら近付いてきた。
「これだよ。もう勇剣祭のエントリーが始まったみたいなんだ。あとで申し込みに行こうと思ってね」
王立学園高等部の春の一大イベントといえば、間違いなく『勇剣祭』だ。
名前からなんとなく察しがつくように、主に騎士や剣士になることを目指している生徒たちが参加する剣術大会である。
例年多くの生徒が参加するため、勝ち抜き戦にも関わらず三日間に分けて開催されていた。
男爵家や子爵家の子息が圧倒的に多くて、あとは腕に自信のある伯爵令息とかも出場している。伯爵より家格が上の貴族子息は、名門騎士家系じゃない限り基本的には出場しない。怪我のおそれがあるからね。
それなのにどうして公爵令息の俺が大会にエントリーするのかと言えば、単純に剣で戦うのが好きだからだ。あと、次男だから結構好きにやらせてもらえてるっていうのもある。
いつか王様になるエドワードを傍で守れるような男になりたくて、俺は小さな頃から毎日こつこつ真面目に鍛錬を重ねていた。その結果、いつの間にか周囲から持て囃されるくらいの腕前になっていたのだ。
あと、俺は前世で剣道してた時期があったから、剣が目の前に迫ってもそんなに怖いと思わないんだよね。
剣を怖がって反射的に体が逃げてしまう人が多い中で、怯まずに攻め込んでいけるのは強みだって今世で剣術の先生に言われたことがある。
俺はこのまま何事もなく学園を卒業できたら、将来はエドワードの側近として王宮務めをすることになると思う。実力が認められたうえで運が良ければ、宰相にだってなれるかもしれない。
王太子の側近には大きく分けて文官系と武官系の二種類があるけど、エバンス公爵家は騎士の家門でもないし、俺は文官系の側近になることを期待されていた。
そんな感じだから、去年俺が勇剣祭に出場したいと言い出したときは家族に驚かれた。父は最後まで出場許可を渋っていたが、母や兄に説得される形で折れてくれたという経緯がある。
今年も出場するつもりだと言ったら、去年の大会成績が良かったからか、父からもすんなり許可がおりた。
一族の子息が王立学園の勇剣祭で好成績を残すのは、貴族にとって非常に名誉なことなのだ。
「うん。去年は四回戦でカールに負けてしまったから、リベンジしたくて」
「そもそも一年生でそこまで勝ち残っていたのは君とカールのふたりだけだっただろう。すごいことだよ。それに私は、ウィリアムの華やかで鋭い剣さばきが好きなんだ。今年も君の勇姿を見るのが楽しみだよ」
「ふふ、ありがとう」
珍しくはしゃいでいるエドワードを見て、思わず微笑みが零れた。
王太子教育が始まってからは以前ほど剣の鍛錬にあてる時間は取れていないようだが、彼も幼い頃から剣を嗜んでいるため腕が立つ。
王族という貴い立場になければ、迷わず勇剣祭にもエントリーしていただろう。
ちなみにカールというのは名門伯爵家の令息で、父は騎士団の花形とも言われる第一騎士団長だ。エドワードの学友のひとりであり、もちろん俺の友人でもある。
ぶっちゃけ俺は昔からエドワードとふたりでいることが多いからそんなに話したことはないけど、ちょっと掴みどころがないだけで普通に良い奴だ。
飄々とした一匹狼という言葉がぴったりの男で、剣の腕前には目を見張るものがある。
俺は去年の勇剣祭で、四回戦でカールと当たって負けたのだ。彼は手合わせをしたことのある同学年の生徒の中で、俺が唯一負け越している相手である。
「ね、エドワード。今年も俺のことをいちばんに応援してくれる?」
小首を傾げ、ふわふわの声で甘えるように問いかける。
「当然だろう。君の勝利を誰よりも祈ってるよ」
子犬になったような気持ちで反応を窺っていると、エドワードは俺を見上げて優しく微笑んだ。
俺はエドワードとともに無事に二年生に進級し、勉学や剣術に励んでいる。
「何を見ているの?ウィリアム」
学内掲示板に大きく張り出されたポスターを見ていると、エドワードが小さく首を傾げながら近付いてきた。
「これだよ。もう勇剣祭のエントリーが始まったみたいなんだ。あとで申し込みに行こうと思ってね」
王立学園高等部の春の一大イベントといえば、間違いなく『勇剣祭』だ。
名前からなんとなく察しがつくように、主に騎士や剣士になることを目指している生徒たちが参加する剣術大会である。
例年多くの生徒が参加するため、勝ち抜き戦にも関わらず三日間に分けて開催されていた。
男爵家や子爵家の子息が圧倒的に多くて、あとは腕に自信のある伯爵令息とかも出場している。伯爵より家格が上の貴族子息は、名門騎士家系じゃない限り基本的には出場しない。怪我のおそれがあるからね。
それなのにどうして公爵令息の俺が大会にエントリーするのかと言えば、単純に剣で戦うのが好きだからだ。あと、次男だから結構好きにやらせてもらえてるっていうのもある。
いつか王様になるエドワードを傍で守れるような男になりたくて、俺は小さな頃から毎日こつこつ真面目に鍛錬を重ねていた。その結果、いつの間にか周囲から持て囃されるくらいの腕前になっていたのだ。
あと、俺は前世で剣道してた時期があったから、剣が目の前に迫ってもそんなに怖いと思わないんだよね。
剣を怖がって反射的に体が逃げてしまう人が多い中で、怯まずに攻め込んでいけるのは強みだって今世で剣術の先生に言われたことがある。
俺はこのまま何事もなく学園を卒業できたら、将来はエドワードの側近として王宮務めをすることになると思う。実力が認められたうえで運が良ければ、宰相にだってなれるかもしれない。
王太子の側近には大きく分けて文官系と武官系の二種類があるけど、エバンス公爵家は騎士の家門でもないし、俺は文官系の側近になることを期待されていた。
そんな感じだから、去年俺が勇剣祭に出場したいと言い出したときは家族に驚かれた。父は最後まで出場許可を渋っていたが、母や兄に説得される形で折れてくれたという経緯がある。
今年も出場するつもりだと言ったら、去年の大会成績が良かったからか、父からもすんなり許可がおりた。
一族の子息が王立学園の勇剣祭で好成績を残すのは、貴族にとって非常に名誉なことなのだ。
「うん。去年は四回戦でカールに負けてしまったから、リベンジしたくて」
「そもそも一年生でそこまで勝ち残っていたのは君とカールのふたりだけだっただろう。すごいことだよ。それに私は、ウィリアムの華やかで鋭い剣さばきが好きなんだ。今年も君の勇姿を見るのが楽しみだよ」
「ふふ、ありがとう」
珍しくはしゃいでいるエドワードを見て、思わず微笑みが零れた。
王太子教育が始まってからは以前ほど剣の鍛錬にあてる時間は取れていないようだが、彼も幼い頃から剣を嗜んでいるため腕が立つ。
王族という貴い立場になければ、迷わず勇剣祭にもエントリーしていただろう。
ちなみにカールというのは名門伯爵家の令息で、父は騎士団の花形とも言われる第一騎士団長だ。エドワードの学友のひとりであり、もちろん俺の友人でもある。
ぶっちゃけ俺は昔からエドワードとふたりでいることが多いからそんなに話したことはないけど、ちょっと掴みどころがないだけで普通に良い奴だ。
飄々とした一匹狼という言葉がぴったりの男で、剣の腕前には目を見張るものがある。
俺は去年の勇剣祭で、四回戦でカールと当たって負けたのだ。彼は手合わせをしたことのある同学年の生徒の中で、俺が唯一負け越している相手である。
「ね、エドワード。今年も俺のことをいちばんに応援してくれる?」
小首を傾げ、ふわふわの声で甘えるように問いかける。
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