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38.断罪劇の幕開け
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エドワードは今宵のパートナーであるイザベラとともに一番最後に会場に入ってきて、彼女を俺のもとにエスコートした後、来賓たちへの挨拶を始めた。
先に入場して王族席に座っていた国王陛下と王妃様も、その様子を穏やかな表情で眺めている。
そつなく挨拶を終えたエドワードは、煌びやかなマントを颯爽と翻し、両陛下に倣って王族席に腰掛けた。
国王陛下が挨拶を述べてから、軽くグラスを持ち上げて「乾杯!」と声を上げる。パーティー開始の合図だ。エドワードは席を立ち、俺たちの方に向かってくる。
「エドワード様にどうしても申し上げたいことがありますっ!」
彼がもう少しで俺とイザベラのもとにたどり着きそうになった瞬間、セシリアの甲高い声がホールに響いた。
彼女は祈るように胸元で両手を組み、大きな瞳をうるうるさせながらエドワードを見上げる。
「……何かな?」
「私、セシリア・マーガレットは、イザベラ・エバンス公爵令嬢を告発致しますっ!令嬢は、私が王立学園に編入したときから私のことを執拗に虐めてきました。そのような方が、エドワード様の婚約者にふさわしいとは思えませんわっ」
セシリアによる突然の告発に、周囲の貴族たちもざわめき始める。エドワードは腕を組みながら、わずかに片眉を上げた。
「ひとまず話は聞いておこうか。イザベラ嬢が君に対して具体的にどのような言動を取ったか説明したまえ」
「はいっ……!」
それからセシリアは、いかに自分がイザベラに虐められてきたかについて事細やかに語り始めた。
階段から突き落とされそうになったとか、廊下で足をひっかけて転ばされたとか、教科書を破られたり池に捨てられたりとか、物を隠されたとか。
どれもこれもセシリアがでっちあげた真っ赤な嘘だとわかっているから、呆れてものも言えない。よくもまあ、されてもないことがそんなに口から出てくるもんだな。
涙ながらにイザベラにされたという悪行を語り続けるセシリアを目にして、エバンス公爵家と折り合いの良くない貴族たちが「もしかしたら告発は事実かもしれませんね」などと囁き合う。
「以上が、イザベラ・エバンス公爵令嬢についての告発ですわっ!エドワード様、セシリアはあの方に酷く傷付つけられてきたのですっ……きっとセシリアがエドワード様のご寵愛を独り占めしているから、嫉妬なさったのですわっ……!」
セシリアの「寵愛」という言葉に反応し、周囲がにわかに騒がしくなる。
エドワードは、俺の恋人だ。セシリアを寵愛しているなんて事実は存在しない。
俺はキレそうになるのを理性で抑え、ほとんど気合いでポーカーフェイスを保っていた。
「セシリア嬢。まず先に訂正させてもらうが、私は君を寵愛した覚えはないし、これからも愛することはない。それから、イザベラ嬢は隣国の第四王子であらせられるセバスチャン殿下との婚約が予定されている。君の言い分は筋が通らない」
エドワードが冷たく言い放つと、セシリアは悲劇のヒロインじみた表情を浮かべたまま、ぴしりと固まった。
「う、うそっ! セバスチャン殿下とイザベラ様が婚約だなんて、そんなわけっ……!」
「嘘ではないよ。エドワード殿下、発言の許可をいただけますか?」
「もちろんです、セバスチャン殿下」
人混みをかき分けて現れたのは、異国情緒を感じせる華やかな衣装を身につけたセバスチャン殿下だった。
「先ほどエドワード殿下からもおっしゃっていたように、私とイザベラ・エバンス公爵令嬢は婚約することが決まっている。これは両国の国王陛下並びに王妃陛下にもご報告し、すでに許可をいただいているため、決定事項だ。ね、イザベラ」
「はい。私がお慕い申し上げている殿方はセバスチャン殿下だけですので、殿下との婚約を認めていただけたことを嬉しく思っております」
「私たちは王立学園で出会い、互いを知っていくうちに惹かれ合い、こうして結ばれるに至ったのだ。私は彼女を愛しているし、彼女も私を愛してくれている。イザベラがエドワード殿下の寵愛を得られず嫉妬して、というのはセシリア嬢の思い込みだろうね」
セバスチャン殿下とイザベラは手を取り合って微笑みを交わし、仲睦まじい様子だ。
「何がどうなってるの!?こんな展開、原作にはなかったはずなのに……!」
セシリアは予想外の展開に目を白黒させながら狼狽えているが、本番はここからだ。
「そして、先ほどの告発内容についてだが、私がウィリアム・エバンス公爵令息との協力によって入手した証拠や証言等と齟齬があるように見受けられた。ゆえに、私たちはこれより君の告発に異議を唱えようと思う。ウィリアム、準備はできているか?」
「はい、エドワード殿下」
胸に手を当てて返事をしてから、調査結果をまとめた書類のファイルを自分の侍従から受け取り、エドワードの隣に立つ。
「あらかじめ断っておくが、調査結果、証拠、証拠等の信憑性については、王家の威信をかけて保証することを誓う」
最初にこうして釘を刺されてしまえば、これを機にイザベラやエバンス公爵家を蹴落としたいと考えている貴族たちも、下手に口を突っ込むような真似はできないだろう。
「まずは、イザベラ・エバンス公爵令嬢の潔白を証明しよう」
俺とエドワードは交互に口を開いて、セシリアによる先ほどの告発内容に、ひとつひとつ異議を唱えていく。
その結果、彼女の嘘まみれの主張は、俺たちが集めた完璧な証拠や証言によってひとつ残らず否定されることになった。
先に入場して王族席に座っていた国王陛下と王妃様も、その様子を穏やかな表情で眺めている。
そつなく挨拶を終えたエドワードは、煌びやかなマントを颯爽と翻し、両陛下に倣って王族席に腰掛けた。
国王陛下が挨拶を述べてから、軽くグラスを持ち上げて「乾杯!」と声を上げる。パーティー開始の合図だ。エドワードは席を立ち、俺たちの方に向かってくる。
「エドワード様にどうしても申し上げたいことがありますっ!」
彼がもう少しで俺とイザベラのもとにたどり着きそうになった瞬間、セシリアの甲高い声がホールに響いた。
彼女は祈るように胸元で両手を組み、大きな瞳をうるうるさせながらエドワードを見上げる。
「……何かな?」
「私、セシリア・マーガレットは、イザベラ・エバンス公爵令嬢を告発致しますっ!令嬢は、私が王立学園に編入したときから私のことを執拗に虐めてきました。そのような方が、エドワード様の婚約者にふさわしいとは思えませんわっ」
セシリアによる突然の告発に、周囲の貴族たちもざわめき始める。エドワードは腕を組みながら、わずかに片眉を上げた。
「ひとまず話は聞いておこうか。イザベラ嬢が君に対して具体的にどのような言動を取ったか説明したまえ」
「はいっ……!」
それからセシリアは、いかに自分がイザベラに虐められてきたかについて事細やかに語り始めた。
階段から突き落とされそうになったとか、廊下で足をひっかけて転ばされたとか、教科書を破られたり池に捨てられたりとか、物を隠されたとか。
どれもこれもセシリアがでっちあげた真っ赤な嘘だとわかっているから、呆れてものも言えない。よくもまあ、されてもないことがそんなに口から出てくるもんだな。
涙ながらにイザベラにされたという悪行を語り続けるセシリアを目にして、エバンス公爵家と折り合いの良くない貴族たちが「もしかしたら告発は事実かもしれませんね」などと囁き合う。
「以上が、イザベラ・エバンス公爵令嬢についての告発ですわっ!エドワード様、セシリアはあの方に酷く傷付つけられてきたのですっ……きっとセシリアがエドワード様のご寵愛を独り占めしているから、嫉妬なさったのですわっ……!」
セシリアの「寵愛」という言葉に反応し、周囲がにわかに騒がしくなる。
エドワードは、俺の恋人だ。セシリアを寵愛しているなんて事実は存在しない。
俺はキレそうになるのを理性で抑え、ほとんど気合いでポーカーフェイスを保っていた。
「セシリア嬢。まず先に訂正させてもらうが、私は君を寵愛した覚えはないし、これからも愛することはない。それから、イザベラ嬢は隣国の第四王子であらせられるセバスチャン殿下との婚約が予定されている。君の言い分は筋が通らない」
エドワードが冷たく言い放つと、セシリアは悲劇のヒロインじみた表情を浮かべたまま、ぴしりと固まった。
「う、うそっ! セバスチャン殿下とイザベラ様が婚約だなんて、そんなわけっ……!」
「嘘ではないよ。エドワード殿下、発言の許可をいただけますか?」
「もちろんです、セバスチャン殿下」
人混みをかき分けて現れたのは、異国情緒を感じせる華やかな衣装を身につけたセバスチャン殿下だった。
「先ほどエドワード殿下からもおっしゃっていたように、私とイザベラ・エバンス公爵令嬢は婚約することが決まっている。これは両国の国王陛下並びに王妃陛下にもご報告し、すでに許可をいただいているため、決定事項だ。ね、イザベラ」
「はい。私がお慕い申し上げている殿方はセバスチャン殿下だけですので、殿下との婚約を認めていただけたことを嬉しく思っております」
「私たちは王立学園で出会い、互いを知っていくうちに惹かれ合い、こうして結ばれるに至ったのだ。私は彼女を愛しているし、彼女も私を愛してくれている。イザベラがエドワード殿下の寵愛を得られず嫉妬して、というのはセシリア嬢の思い込みだろうね」
セバスチャン殿下とイザベラは手を取り合って微笑みを交わし、仲睦まじい様子だ。
「何がどうなってるの!?こんな展開、原作にはなかったはずなのに……!」
セシリアは予想外の展開に目を白黒させながら狼狽えているが、本番はここからだ。
「そして、先ほどの告発内容についてだが、私がウィリアム・エバンス公爵令息との協力によって入手した証拠や証言等と齟齬があるように見受けられた。ゆえに、私たちはこれより君の告発に異議を唱えようと思う。ウィリアム、準備はできているか?」
「はい、エドワード殿下」
胸に手を当てて返事をしてから、調査結果をまとめた書類のファイルを自分の侍従から受け取り、エドワードの隣に立つ。
「あらかじめ断っておくが、調査結果、証拠、証拠等の信憑性については、王家の威信をかけて保証することを誓う」
最初にこうして釘を刺されてしまえば、これを機にイザベラやエバンス公爵家を蹴落としたいと考えている貴族たちも、下手に口を突っ込むような真似はできないだろう。
「まずは、イザベラ・エバンス公爵令嬢の潔白を証明しよう」
俺とエドワードは交互に口を開いて、セシリアによる先ほどの告発内容に、ひとつひとつ異議を唱えていく。
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