2 / 35
第一章
幸せな時間
しおりを挟む
月日が経ち、ミカエラは3歳になった。
ミカエラは肩まであるサラッとした母親譲りのプラチナブロンドの髪を風になびかせ、花が咲き乱れる庭園のガーデンベンチで母親のエマとのんびり過ごす。
「お母様、今日は、お花がとても綺麗ですね!でも、私はこのお花の名前を知りません…。お母様はご存知ですか?もうすぐお姉ちゃんになるのに私…」
少しふっくらのしたお腹を摩りながら、エマは少ししょぼんとするミカエラを見つめ、ゆっくりと微笑むと、近くにいた執事の男性に声をかける。
「ミアももうすぐ4歳になるものね。そろそろ家庭教師を探さないといけないかしら。
リチャード、カイルを呼んでくれる?」
「かしこまりました。」
執事のリチャードが軽くお辞儀をすると、スッとその場から離れる。
「奥様、そろそろ…」
「そうね。ミア、そろそろ部屋へ戻りましょうか。」
控えていたメイドが声をかけると、エマたちに部屋に戻るよう促す。エマも、スッとその場から立ち上がり、部屋に向かおうとすると、後ろから声をかけられる。
「エマ、1人で歩くと危ないよ。戻るならみんなで一緒に行こう。」
ミカエラが振り返ると、そこには漆黒の髪に綺麗なルビー色の瞳の男性が愛おしそうにエマとミカエラに微笑む。
「ルージュ父様!」
ミカエラが駆け出し、ぎゅっと抱きつくと、ルージュもミカエラを抱きしめ、頭を撫でる。
「ミア? お母様はお腹に赤ちゃんがいるから、私がエスコートをしてもいいかな?」
「うんっ! …あのね…私も…手を繋いでくれる?」
少し遠慮しがちにルージュの服の裾を持ち、尋ねると、ルージュとエマは、顔を見合わせ、微笑みながら
「「もちろん」」
と、答えてくれる。
ミカエラが、ぱぁっと顔を上げ、ルージュのエマをエスコートしている反対側の手を繋ぎ、歩き出す。
部屋に着くと、リチャードに呼ばれたであろう1人の男性が何やら書類を見て立っていた。
「カイル父様!」
呼ばれた男性は、グレーの瞳をこちらに向けて、微笑む。
「やぁ、ミア。お散歩は楽しかったか?ルージュ、エマ、おかえり。」
2人は微笑むとルージュは、エマをソファまでエスコートし、エマはゆっくりと腰を落とす。その隣にちょこんとミカエラも座る。
リチャードが、カチャカチャと、お茶の用意をし、人数分入れてくれる。エマはコクッと一口含み、話を切り出す。
「カイル、貴方を呼んだのはミアの家庭教師の件なの。ミアもそろそろ家族以外の者とも触れ合っていかなければならないわ。
それに最近のミアは、お姉ちゃんになるからって学ぶことに意欲的だものね。」
ふふっと口元に手を当て、エマはミカエラを見る。
「うんっ!私、たくさん勉強して、赤ちゃんに色々教えてあげるの。」
「しかし…」
静かに話を聞いていたルージュが顎に手を当て、考え込む。
「ミアは、まだ外部の者を知らない。些か不安だな…」
「そうね…カイル、いい考えはない?」
少し考えてカイルは、口を開く。
「ではまず、エマも安定期に入ったことだし、ミアのお披露目も兼ねてお茶会でも開いたらどうかな?数人の御子息や御令嬢も呼んで。」
「あら、素敵ね。」
エマは、スカイブルーの瞳を細め、ミカエラを見つめる。
私は初めて会う外部の子にワクワクしながら、母と父達を見て、想像を膨らませる。
こうして、私の初めてのお茶会が開かれることになった。
ミカエラは肩まであるサラッとした母親譲りのプラチナブロンドの髪を風になびかせ、花が咲き乱れる庭園のガーデンベンチで母親のエマとのんびり過ごす。
「お母様、今日は、お花がとても綺麗ですね!でも、私はこのお花の名前を知りません…。お母様はご存知ですか?もうすぐお姉ちゃんになるのに私…」
少しふっくらのしたお腹を摩りながら、エマは少ししょぼんとするミカエラを見つめ、ゆっくりと微笑むと、近くにいた執事の男性に声をかける。
「ミアももうすぐ4歳になるものね。そろそろ家庭教師を探さないといけないかしら。
リチャード、カイルを呼んでくれる?」
「かしこまりました。」
執事のリチャードが軽くお辞儀をすると、スッとその場から離れる。
「奥様、そろそろ…」
「そうね。ミア、そろそろ部屋へ戻りましょうか。」
控えていたメイドが声をかけると、エマたちに部屋に戻るよう促す。エマも、スッとその場から立ち上がり、部屋に向かおうとすると、後ろから声をかけられる。
「エマ、1人で歩くと危ないよ。戻るならみんなで一緒に行こう。」
ミカエラが振り返ると、そこには漆黒の髪に綺麗なルビー色の瞳の男性が愛おしそうにエマとミカエラに微笑む。
「ルージュ父様!」
ミカエラが駆け出し、ぎゅっと抱きつくと、ルージュもミカエラを抱きしめ、頭を撫でる。
「ミア? お母様はお腹に赤ちゃんがいるから、私がエスコートをしてもいいかな?」
「うんっ! …あのね…私も…手を繋いでくれる?」
少し遠慮しがちにルージュの服の裾を持ち、尋ねると、ルージュとエマは、顔を見合わせ、微笑みながら
「「もちろん」」
と、答えてくれる。
ミカエラが、ぱぁっと顔を上げ、ルージュのエマをエスコートしている反対側の手を繋ぎ、歩き出す。
部屋に着くと、リチャードに呼ばれたであろう1人の男性が何やら書類を見て立っていた。
「カイル父様!」
呼ばれた男性は、グレーの瞳をこちらに向けて、微笑む。
「やぁ、ミア。お散歩は楽しかったか?ルージュ、エマ、おかえり。」
2人は微笑むとルージュは、エマをソファまでエスコートし、エマはゆっくりと腰を落とす。その隣にちょこんとミカエラも座る。
リチャードが、カチャカチャと、お茶の用意をし、人数分入れてくれる。エマはコクッと一口含み、話を切り出す。
「カイル、貴方を呼んだのはミアの家庭教師の件なの。ミアもそろそろ家族以外の者とも触れ合っていかなければならないわ。
それに最近のミアは、お姉ちゃんになるからって学ぶことに意欲的だものね。」
ふふっと口元に手を当て、エマはミカエラを見る。
「うんっ!私、たくさん勉強して、赤ちゃんに色々教えてあげるの。」
「しかし…」
静かに話を聞いていたルージュが顎に手を当て、考え込む。
「ミアは、まだ外部の者を知らない。些か不安だな…」
「そうね…カイル、いい考えはない?」
少し考えてカイルは、口を開く。
「ではまず、エマも安定期に入ったことだし、ミアのお披露目も兼ねてお茶会でも開いたらどうかな?数人の御子息や御令嬢も呼んで。」
「あら、素敵ね。」
エマは、スカイブルーの瞳を細め、ミカエラを見つめる。
私は初めて会う外部の子にワクワクしながら、母と父達を見て、想像を膨らませる。
こうして、私の初めてのお茶会が開かれることになった。
10
あなたにおすすめの小説
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
旦那様の愛が重い
おきょう
恋愛
マリーナの旦那様は愛情表現がはげしい。
毎朝毎晩「愛してる」と耳元でささやき、隣にいれば腰を抱き寄せてくる。
他人は大切にされていて羨ましいと言うけれど、マリーナには怖いばかり。
甘いばかりの言葉も、優しい視線も、どうにも嘘くさいと思ってしまう。
本心の分からない人の心を、一体どうやって信じればいいのだろう。
身代りの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される
絵麻
恋愛
桐島花は父が病没後、継母義妹に虐げられて、使用人同然の生活を送っていた。
父の財産も尽きかけた頃、義妹に縁談が舞い込むが継母は花を嫁がせた。
理由は多額の結納金を手に入れるため。
相手は二十五歳も歳上の、海軍の大佐だという。
放り出すように、嫁がされた花を待っていたものは。
地味で冴えないと卑下された日々、花の真の力が時東邸で活かされる。
ヤンデレ旦那さまに溺愛されてるけど思い出せない
斧名田マニマニ
恋愛
待って待って、どういうこと。
襲い掛かってきた超絶美形が、これから僕たち新婚初夜だよとかいうけれど、全く覚えてない……!
この人本当に旦那さま?
って疑ってたら、なんか病みはじめちゃった……!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる