23 / 202
元侯爵令嬢は屋台と知恵を使って起業する
元侯爵令嬢は調味料に涙する
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翌日もカントの街で買い物を続けた。『料理レシピを売る』という当面の目標が出来た。その為に必要な調理道具とどんな調味料や食材が売っているのかの確認と購入を中心に買い続けた。
分かった事は食材などは前世の世界と殆ど同じや似た物が存在するという事だった。
そして醤油や味噌といった物もあまり知られてはいないが存在していた事に驚きと喜びで号泣した。クリスが呆れるほどに、、、。
それは調味料専門店に入った時の事だった。
「んんつ、凄い!ローリエにナツメグ、クミンにターメリック、コリアンダー!他にも色んな香辛料があるっ!」
思わず叫んででしまったのは仕方がない事だと思う。
しかし、何で基本の調味料以外にこんなにも調味料も香辛料もあるのにカレーがないのだろうか?
マジで意味分からない。
確かに店内でも隅の方に置かれてる。でも販売してるいるという事は何かの料理に使っているんじゃないの?
「ほほぅ、お客さんはそれらが何に使うのか、ご存じなのですか?」
60代になるかならないかに見えるブラウンの髪をキッチリと横分けにした人の良さそうなすらりとした背格好のおじさんが声をかけてきた。
「あぁ、うるさかったですね。申し訳ありません。失礼ですが店長さんですか?」
もう平民ですけどね、興奮のあまり、はしたくなく大声を出した自覚はある。調味料をゲットする前に追い出されても困るので丁寧に謝罪をする。
「いえいえ、大丈夫ですよ。それらの調味料などはいつも購入している商人から売りつけられたものでしてね。
どうも商人も仕入れの際に押しつけられて買わされた物らしいのですよ。
何に使うのかは知らないが、とりあえず一緒に買ってくれ、と強引に買わされた物も多くてねぇ。」
店長さんらしき人が苦笑いを浮かべて言った。
「あ~、何となく分かります。売買取引ってそういう事ありますよね。
抱き合わせで買わされたり、いつも購入しているのだから安くしろとか。
でも、そういうお付き合いも大事ですよね。」
何となく想像出来てつい同じように苦笑いしてしまう。
「えぇまぁ、そんな訳で一応、店内の隅にでも置いたのですがね。料理人の人に見て貰っても使った事の無い物ばかりだそうで、どう調理に使えば良いのか分からないそうなんです。それに独特な匂いのある物もありますしねぇ。」
店長さんが困ったように言った。そりゃ用途も分からず買わされて料理人に聞いても分からないではお客さんに勧める事も出来なくて困るよね~。ローリエなんて乾燥した葉っぱだもんね。
「私も詳しくは無いので上手く説明出来ませんが、これらは香辛料とかスパイスと呼ばれる物の一種です。
お肉や魚料理の時に匂い消しや香り付けに使ったり辛い料理を作る時に使われる物もありますね。
このローリエは香り付けや匂い消しでよく使われてたと思います。」
私も詳しくはない。自分が作ったりした事のある物しか知らない浅い知識だ。一番奥にある強烈な匂いを発している八角なんかは中華料理では有名だけれど、麻婆豆腐で使うってぐらいしか知らない。しかも八角入れなくても麻婆豆腐作れるしねぇ。
「ほぅ、そうなんですね。きっと仕入れた場所でなら調理法などがもっとよく分かるのでしょうけど、今度、商人が来た時にどこで仕入れたのかもう一度詳しく聞いてみますよ。コレなんかも全く分からなくて。」
そう言って店長さんは足元近くの引き出しから蓋がみっちりされている甕を見せてくれた。
えっ!?もしかして、もしかすると、、、、。
「商人が言うには遠い島国の、え~っと何て名前だったっけかな?あっ、確かジパーン『ぐっ!。』はぁっ!?」
店長さんの言葉に思わず食い気味に叫んでしまった。今、ジパングって言いそうじゃなかった!?
「え~とジパーンという島の調味料でー 」
えぇ!それもうジパングで良くない?何か馴染みのあるっぽい島国の、この甕の中身に期待してしまう。
「店長さん、中を見ていい?」
私、今、興奮して目が血走っているのかな?何かクリスが引き気味にそろりそろりと私から離れて行くんですけど?
店長さんもなんか顔を引き攣らせて後ずさってる気がするなぁ。
「えぇどうぞ。ですが匂いが、そのスパイスとは違った独特な匂いで味も塩以上に ー 」
もうそこまで聞いたら蓋を開けずにはいられないよね。
しゃがみ込んで速攻で封を外して蓋を開けた。
やったー!味噌だ~。こっちには醤油だぁ。お、味醂もあるよ!ひゃっほいっ!!
思わず味噌の甕を抱きしめてしまった。感激して涙が溢れてきたよ。醤油はソースの一種としてあるかも、とは薄~く期待していたけれど味噌は無理かなって思っていたんだよ。
「・・・ティアナ、感動しているところ悪いけど蓋を閉めてくれ。他の客が、、、。」
クリスの声にハっとして慌てて蓋をする。味噌の匂いっていい匂いだと思うんだけどなぁ。慣れ親しんだ匂いだから?確かに初めての人には強烈な匂い、なのかな。クリスも微妙な顔してる。
「店長さん、コレ、あるだけ買ってもいいかな?あとジパング・・・ジパーンの物とか用途の分からない調味料が他にもあるなら全部見せて下さい。」
甕を抱えながら思わず正座している私の姿にギョっとした店長さんが慌てて私に手を差し出してきた。
例え店内でも地べたに変な格好で座り込まれたらビックリするか、味噌の匂いで他のお客さんからも注目されているし。
「と、とりあえずジパーンの物は全てお出ししますので、そちらの部屋で商品を確認して下さい。」
私を立たせて店内の奥の部屋に案内してくれた店長さんは、帳簿を確認しながらジパーン産商品を全て持ってきてくれた。
「醤油、味噌、味醂。日本酒にオイスターソース、それに海苔!おぉ~やっぱりジパーンは海産系が主流?いや、大豆もあるって事はそれだけじゃないか。
う~ん、これらがあるって事は麹があるという事だよね?どうやって作ってるんだろ?ジパーンってこの国からどれぐらい遠い所にあるのかな。是非、行ってみたいなぁ~。
もう大興奮でクフクフと笑いながら独り言を言っている私を気がつけば奇異の目で見てくるクリスと店長さん。
でも許して欲しい。これで食生活が格段に豊かになるのよ、私の食生活が!
「えと、さっき言った通りこれ全部欲しいです。あと先程見ていた香辛料も幾つか欲しいです。あぁ、でも私が買い占めしちゃったら、、、。
そうだ!その商人さんを私に紹介して頂けませんか?」
「商人を紹介、ですか?」
「はい、これからもコレらを特にジパーンの調味料を買いたいんです。あと他にもどんな食材などが有るか聞いてみたいしジパーンの事も知りたいです。」
これを消費したら終わりなんて絶対に嫌だ。無かった頃にはもう戻れないと思うの。
「その商人は隣国のアルデバラン商会の商団の人でして、国々を渡り歩いて商売をしている方たちです。ですが国々を周りながら売買している商団なので、この国に来るのは半年に1度ぐらいなんですよ。
今度、次に来るのは4か月ほど先になります。いつ来るのかはハッキリとは分からないので商人が来たらあなたの事をお話しておきますよ。」
「ありがとうございます!私も昨日、商会登録してこれから商人として国内を周る予定なんです。
連絡は商業ギルド経由で行えばいいですか?今日の夕刻に開業許可証を貰ってくる予定なので、そうしたらまた来ます。あ、今はこの身分証しかありませんがどうぞ、どうぞ。」
名刺交換じゃないけれど、とりあえず冒険者カードを見せて怪しい者ではないと知ってもらおう。
と言うか、既に調味料を前に涙する怪しい行動を見られてしまっているけどね。。
「え、商会?商人と言う事はこれは買い付けの為に?」
一般のお客だと思っていた私が商人と聞いて店長さんが少し警戒しだした。
あ、もしかして転売ヤーと思われた?
「あぁっ、違います、違うんです!これは全部、自分の為に欲しいんです。これからもこの調味料を使った料理が食べたいんです。
だからこれら調味料の売買は店長さんがどんどん行って頂いて構わないんです。
ただ、もっと多くのお店で買えるように、国中のお店で食べられるようになるといいな、というのが私の本心です。」
転売ヤーの疑いを晴らす為に一気に言うと、ちょっとポカーンとした顔をした店長さん。
「これを使った料理かい?でもどうやって使うのか、その商人も知らなかったしどこでも買えるようにするのは需要がなければ難しくないかい?」
「えぇ、ですから今回買った調味料で料理のレシピを商業ギルドに登録します。それで国内を周りながら屋台かお店で料理を販売していこうと考えています。」
「・・・・今まで見た事も聞いた事もない調味料ですぐに登録出来る料理が作れると思うのかい?
商売はそんな簡単じゃないんだよ。アルデバラン商会だって押しつけられた商品を仕入れ続けるとは思えないよ。」
店長さんはちょっと暴走してしまった若い子を諭す口調になってしまった。
う~ん、確かにそう思うのも分かる。でも料理レシピに関しては大丈夫だと思う。だってこの国に和食は無かったハズ。
ジパーンの料理は分からないけれど、登録する時に即に登録されているかどうかは分かる。もし、即に登録されているならレシピの使用料を払って屋台で販売だけすればいい。
だってこの国ではまだ食べた事ない料理なら、興味を持つ人もたくさん居るんじゃないかな?
何より美味しい料理が多くあると思うのだけど。
「・・・そうですね。こればかりは食べてみないと予想はつかないかも知れませんね。
そうだ!この調味料を使って幾つか料理を作ってきます。是非、一度食べてみて下さい。食べてみて判断して頂けませんか?
商団の方は私の方でもアルデバラン商会の方に何とか連絡出来ないか頑張ってみます。」
そう言って店長さんに力説すれば、店長さんは半信半疑そうだったけれどそれでも一応納得してくれたみたい。
とりあえずジパーンの商品は買い占めたかったけれど、3割ぐらい店に残して購入した。レシピ登録して屋台で販売すれば調味料を欲しがる人が出てくるかも知れないから。売れ残ったらまた私が買えばいい。
スパイスの方は全種類を1袋(500g?)づつ、カレーの材料になる物は全て買い取って店を出た。全部で銀貨30枚ほど。安かったのか高かったのかはよく分からない。
まぁ、私が欲しくて買ったものだからねぇ。勿論、屋台で使う分と自分用は分けてあるよ。
買った商品をショルダーバッグに次々入れていると店長さんもクリスも驚いていた。
マズイ、魔法鞄を作った事をクリスに報告するのを忘れてたな。
店を出る時のクリスの目が怖かった。夜はお説教タイムでしょうか?
分かった事は食材などは前世の世界と殆ど同じや似た物が存在するという事だった。
そして醤油や味噌といった物もあまり知られてはいないが存在していた事に驚きと喜びで号泣した。クリスが呆れるほどに、、、。
それは調味料専門店に入った時の事だった。
「んんつ、凄い!ローリエにナツメグ、クミンにターメリック、コリアンダー!他にも色んな香辛料があるっ!」
思わず叫んででしまったのは仕方がない事だと思う。
しかし、何で基本の調味料以外にこんなにも調味料も香辛料もあるのにカレーがないのだろうか?
マジで意味分からない。
確かに店内でも隅の方に置かれてる。でも販売してるいるという事は何かの料理に使っているんじゃないの?
「ほほぅ、お客さんはそれらが何に使うのか、ご存じなのですか?」
60代になるかならないかに見えるブラウンの髪をキッチリと横分けにした人の良さそうなすらりとした背格好のおじさんが声をかけてきた。
「あぁ、うるさかったですね。申し訳ありません。失礼ですが店長さんですか?」
もう平民ですけどね、興奮のあまり、はしたくなく大声を出した自覚はある。調味料をゲットする前に追い出されても困るので丁寧に謝罪をする。
「いえいえ、大丈夫ですよ。それらの調味料などはいつも購入している商人から売りつけられたものでしてね。
どうも商人も仕入れの際に押しつけられて買わされた物らしいのですよ。
何に使うのかは知らないが、とりあえず一緒に買ってくれ、と強引に買わされた物も多くてねぇ。」
店長さんらしき人が苦笑いを浮かべて言った。
「あ~、何となく分かります。売買取引ってそういう事ありますよね。
抱き合わせで買わされたり、いつも購入しているのだから安くしろとか。
でも、そういうお付き合いも大事ですよね。」
何となく想像出来てつい同じように苦笑いしてしまう。
「えぇまぁ、そんな訳で一応、店内の隅にでも置いたのですがね。料理人の人に見て貰っても使った事の無い物ばかりだそうで、どう調理に使えば良いのか分からないそうなんです。それに独特な匂いのある物もありますしねぇ。」
店長さんが困ったように言った。そりゃ用途も分からず買わされて料理人に聞いても分からないではお客さんに勧める事も出来なくて困るよね~。ローリエなんて乾燥した葉っぱだもんね。
「私も詳しくは無いので上手く説明出来ませんが、これらは香辛料とかスパイスと呼ばれる物の一種です。
お肉や魚料理の時に匂い消しや香り付けに使ったり辛い料理を作る時に使われる物もありますね。
このローリエは香り付けや匂い消しでよく使われてたと思います。」
私も詳しくはない。自分が作ったりした事のある物しか知らない浅い知識だ。一番奥にある強烈な匂いを発している八角なんかは中華料理では有名だけれど、麻婆豆腐で使うってぐらいしか知らない。しかも八角入れなくても麻婆豆腐作れるしねぇ。
「ほぅ、そうなんですね。きっと仕入れた場所でなら調理法などがもっとよく分かるのでしょうけど、今度、商人が来た時にどこで仕入れたのかもう一度詳しく聞いてみますよ。コレなんかも全く分からなくて。」
そう言って店長さんは足元近くの引き出しから蓋がみっちりされている甕を見せてくれた。
えっ!?もしかして、もしかすると、、、、。
「商人が言うには遠い島国の、え~っと何て名前だったっけかな?あっ、確かジパーン『ぐっ!。』はぁっ!?」
店長さんの言葉に思わず食い気味に叫んでしまった。今、ジパングって言いそうじゃなかった!?
「え~とジパーンという島の調味料でー 」
えぇ!それもうジパングで良くない?何か馴染みのあるっぽい島国の、この甕の中身に期待してしまう。
「店長さん、中を見ていい?」
私、今、興奮して目が血走っているのかな?何かクリスが引き気味にそろりそろりと私から離れて行くんですけど?
店長さんもなんか顔を引き攣らせて後ずさってる気がするなぁ。
「えぇどうぞ。ですが匂いが、そのスパイスとは違った独特な匂いで味も塩以上に ー 」
もうそこまで聞いたら蓋を開けずにはいられないよね。
しゃがみ込んで速攻で封を外して蓋を開けた。
やったー!味噌だ~。こっちには醤油だぁ。お、味醂もあるよ!ひゃっほいっ!!
思わず味噌の甕を抱きしめてしまった。感激して涙が溢れてきたよ。醤油はソースの一種としてあるかも、とは薄~く期待していたけれど味噌は無理かなって思っていたんだよ。
「・・・ティアナ、感動しているところ悪いけど蓋を閉めてくれ。他の客が、、、。」
クリスの声にハっとして慌てて蓋をする。味噌の匂いっていい匂いだと思うんだけどなぁ。慣れ親しんだ匂いだから?確かに初めての人には強烈な匂い、なのかな。クリスも微妙な顔してる。
「店長さん、コレ、あるだけ買ってもいいかな?あとジパング・・・ジパーンの物とか用途の分からない調味料が他にもあるなら全部見せて下さい。」
甕を抱えながら思わず正座している私の姿にギョっとした店長さんが慌てて私に手を差し出してきた。
例え店内でも地べたに変な格好で座り込まれたらビックリするか、味噌の匂いで他のお客さんからも注目されているし。
「と、とりあえずジパーンの物は全てお出ししますので、そちらの部屋で商品を確認して下さい。」
私を立たせて店内の奥の部屋に案内してくれた店長さんは、帳簿を確認しながらジパーン産商品を全て持ってきてくれた。
「醤油、味噌、味醂。日本酒にオイスターソース、それに海苔!おぉ~やっぱりジパーンは海産系が主流?いや、大豆もあるって事はそれだけじゃないか。
う~ん、これらがあるって事は麹があるという事だよね?どうやって作ってるんだろ?ジパーンってこの国からどれぐらい遠い所にあるのかな。是非、行ってみたいなぁ~。
もう大興奮でクフクフと笑いながら独り言を言っている私を気がつけば奇異の目で見てくるクリスと店長さん。
でも許して欲しい。これで食生活が格段に豊かになるのよ、私の食生活が!
「えと、さっき言った通りこれ全部欲しいです。あと先程見ていた香辛料も幾つか欲しいです。あぁ、でも私が買い占めしちゃったら、、、。
そうだ!その商人さんを私に紹介して頂けませんか?」
「商人を紹介、ですか?」
「はい、これからもコレらを特にジパーンの調味料を買いたいんです。あと他にもどんな食材などが有るか聞いてみたいしジパーンの事も知りたいです。」
これを消費したら終わりなんて絶対に嫌だ。無かった頃にはもう戻れないと思うの。
「その商人は隣国のアルデバラン商会の商団の人でして、国々を渡り歩いて商売をしている方たちです。ですが国々を周りながら売買している商団なので、この国に来るのは半年に1度ぐらいなんですよ。
今度、次に来るのは4か月ほど先になります。いつ来るのかはハッキリとは分からないので商人が来たらあなたの事をお話しておきますよ。」
「ありがとうございます!私も昨日、商会登録してこれから商人として国内を周る予定なんです。
連絡は商業ギルド経由で行えばいいですか?今日の夕刻に開業許可証を貰ってくる予定なので、そうしたらまた来ます。あ、今はこの身分証しかありませんがどうぞ、どうぞ。」
名刺交換じゃないけれど、とりあえず冒険者カードを見せて怪しい者ではないと知ってもらおう。
と言うか、既に調味料を前に涙する怪しい行動を見られてしまっているけどね。。
「え、商会?商人と言う事はこれは買い付けの為に?」
一般のお客だと思っていた私が商人と聞いて店長さんが少し警戒しだした。
あ、もしかして転売ヤーと思われた?
「あぁっ、違います、違うんです!これは全部、自分の為に欲しいんです。これからもこの調味料を使った料理が食べたいんです。
だからこれら調味料の売買は店長さんがどんどん行って頂いて構わないんです。
ただ、もっと多くのお店で買えるように、国中のお店で食べられるようになるといいな、というのが私の本心です。」
転売ヤーの疑いを晴らす為に一気に言うと、ちょっとポカーンとした顔をした店長さん。
「これを使った料理かい?でもどうやって使うのか、その商人も知らなかったしどこでも買えるようにするのは需要がなければ難しくないかい?」
「えぇ、ですから今回買った調味料で料理のレシピを商業ギルドに登録します。それで国内を周りながら屋台かお店で料理を販売していこうと考えています。」
「・・・・今まで見た事も聞いた事もない調味料ですぐに登録出来る料理が作れると思うのかい?
商売はそんな簡単じゃないんだよ。アルデバラン商会だって押しつけられた商品を仕入れ続けるとは思えないよ。」
店長さんはちょっと暴走してしまった若い子を諭す口調になってしまった。
う~ん、確かにそう思うのも分かる。でも料理レシピに関しては大丈夫だと思う。だってこの国に和食は無かったハズ。
ジパーンの料理は分からないけれど、登録する時に即に登録されているかどうかは分かる。もし、即に登録されているならレシピの使用料を払って屋台で販売だけすればいい。
だってこの国ではまだ食べた事ない料理なら、興味を持つ人もたくさん居るんじゃないかな?
何より美味しい料理が多くあると思うのだけど。
「・・・そうですね。こればかりは食べてみないと予想はつかないかも知れませんね。
そうだ!この調味料を使って幾つか料理を作ってきます。是非、一度食べてみて下さい。食べてみて判断して頂けませんか?
商団の方は私の方でもアルデバラン商会の方に何とか連絡出来ないか頑張ってみます。」
そう言って店長さんに力説すれば、店長さんは半信半疑そうだったけれどそれでも一応納得してくれたみたい。
とりあえずジパーンの商品は買い占めたかったけれど、3割ぐらい店に残して購入した。レシピ登録して屋台で販売すれば調味料を欲しがる人が出てくるかも知れないから。売れ残ったらまた私が買えばいい。
スパイスの方は全種類を1袋(500g?)づつ、カレーの材料になる物は全て買い取って店を出た。全部で銀貨30枚ほど。安かったのか高かったのかはよく分からない。
まぁ、私が欲しくて買ったものだからねぇ。勿論、屋台で使う分と自分用は分けてあるよ。
買った商品をショルダーバッグに次々入れていると店長さんもクリスも驚いていた。
マズイ、魔法鞄を作った事をクリスに報告するのを忘れてたな。
店を出る時のクリスの目が怖かった。夜はお説教タイムでしょうか?
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