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母と息子の攻防
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「母上、お呼びですか?」
母は部屋に入った私に微笑みながら言った。
「ええ、こちらに来て座りなさい」
私は言われた通りにソファーに腰かけた。
すぐにお茶が運ばれて来た。
ん?
お茶の香りにしては随分変わった匂いだな…
「最近この国に入ってきたコーヒーという飲み物よ
この香りと苦味の強い味が特徴なの」
「へえー、苦い飲み物ですか」
確かに香りはふこぶるいいな
一口飲んで、苦さに顔をしかめる。
確かに苦い、たが後から甘味や酸味も感じる
それに口に広がる独特の風味がいい
「確かに苦いですけど、クセになる」
「ふふ、貴方も気に入った?」
「ええ、今度から私もお茶の時間はコーヒーを飲みます」
「よかった、アンジェに教えてもらった甲斐があるわ」
アンジェリーナの名前に自然と眉を潜めてしまった。
「そんなにあの子が嫌い?」
「いえ、そう言う訳では…」
「でも、もう気にすることはありません、あなたとアンジェの婚約は解消します」
「え?
どういう事ですか?」
「どうって、そのままの意味よ。嬉しいでしょ?
あなたの気に入らない娘と結婚しなくてすむのよ?」
「それは、母上の考えですか?それとも父上も知っている事ですか?」
「もちろん。陛下もご存知の事です。
私が勝手に言い出したと思ったの?」
「いえ…」
「私は陛下に頼まれただけよ。あなたに伝えておくようにね」
私の婚約が白紙になる…だが何の理由もなくそんなことがあるのか?
「不思議?それとも心配?
伴侶も持たせてもらえなくなったとでも思った?」
「母上、私をからかっておいでですか?」
「別に、からかってなどいませんよ。
だって嬉しそうな顔しないんですもの。
婚約者に対してひどい対応をしてきたのも、相手が気に入らず子供のようにふて腐れて駄々をこねていたのでしょ?」
「なっ!
いくらアンジェリーナ嬢が母上のお気に入りでも、その言い方はないのでは?」
「あら?ごめんなさい。
わたくし女性に優しく出来ない男って嫌いなの」
そう言ってニッコリと笑いかけられた。
自分の親からハッキリ嫌いと言われるとは思わなかった…
かなりショックだ。
「まあ、いいわ
今さら過去の相手の事を言ってもしょうがないし…
次の相手にはちゃんと誠意を持ってあげなさい。
好きな相手なら出来るでしょ?」
「好きな相手?」
「アンヌリーブ王女のことよ」
「え?」
アンヌリーブ王女。
彼女を見ると自分が守らないといけないと思ってしまう。
最初に彼女と会った時からずっと。
この気持ちは何だろうと最初は思っていた。
だが、今は自分でも自覚があった。
私は彼女が好きなのだろうと思う。
母は部屋に入った私に微笑みながら言った。
「ええ、こちらに来て座りなさい」
私は言われた通りにソファーに腰かけた。
すぐにお茶が運ばれて来た。
ん?
お茶の香りにしては随分変わった匂いだな…
「最近この国に入ってきたコーヒーという飲み物よ
この香りと苦味の強い味が特徴なの」
「へえー、苦い飲み物ですか」
確かに香りはふこぶるいいな
一口飲んで、苦さに顔をしかめる。
確かに苦い、たが後から甘味や酸味も感じる
それに口に広がる独特の風味がいい
「確かに苦いですけど、クセになる」
「ふふ、貴方も気に入った?」
「ええ、今度から私もお茶の時間はコーヒーを飲みます」
「よかった、アンジェに教えてもらった甲斐があるわ」
アンジェリーナの名前に自然と眉を潜めてしまった。
「そんなにあの子が嫌い?」
「いえ、そう言う訳では…」
「でも、もう気にすることはありません、あなたとアンジェの婚約は解消します」
「え?
どういう事ですか?」
「どうって、そのままの意味よ。嬉しいでしょ?
あなたの気に入らない娘と結婚しなくてすむのよ?」
「それは、母上の考えですか?それとも父上も知っている事ですか?」
「もちろん。陛下もご存知の事です。
私が勝手に言い出したと思ったの?」
「いえ…」
「私は陛下に頼まれただけよ。あなたに伝えておくようにね」
私の婚約が白紙になる…だが何の理由もなくそんなことがあるのか?
「不思議?それとも心配?
伴侶も持たせてもらえなくなったとでも思った?」
「母上、私をからかっておいでですか?」
「別に、からかってなどいませんよ。
だって嬉しそうな顔しないんですもの。
婚約者に対してひどい対応をしてきたのも、相手が気に入らず子供のようにふて腐れて駄々をこねていたのでしょ?」
「なっ!
いくらアンジェリーナ嬢が母上のお気に入りでも、その言い方はないのでは?」
「あら?ごめんなさい。
わたくし女性に優しく出来ない男って嫌いなの」
そう言ってニッコリと笑いかけられた。
自分の親からハッキリ嫌いと言われるとは思わなかった…
かなりショックだ。
「まあ、いいわ
今さら過去の相手の事を言ってもしょうがないし…
次の相手にはちゃんと誠意を持ってあげなさい。
好きな相手なら出来るでしょ?」
「好きな相手?」
「アンヌリーブ王女のことよ」
「え?」
アンヌリーブ王女。
彼女を見ると自分が守らないといけないと思ってしまう。
最初に彼女と会った時からずっと。
この気持ちは何だろうと最初は思っていた。
だが、今は自分でも自覚があった。
私は彼女が好きなのだろうと思う。
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