【短編集】纏う人たちの物語 ゼンタイに関わりたくなかったのに

ジャン・幸田

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アベックゼンタイの凌辱

7・覆われる!

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 浩司と麻巳は全身が燃える感覚と共に全身が縛られる刺激に襲われていた。そして互いの姿を見て驚愕した。生まれたままの全裸が何かの膜のようなモノに覆われていた。それは先ほどのドロドロのモノが固まり始めたようだった。

 「なんなんだよ、これって?」


 二人はほぼ同時にいった。互いの姿がまるで人間で無くなっているように思えたのだ。するとゼンタイ達からこんな声が聞こえてきた。

 「その池には液体繊維の素が満たされているんだ。そこに入った人間の体温に反応して身体を包み込むんだ。そして空気に触れると、ゼンタイとして第二の皮膚を形成するんだ。まあ、どんなゼンタイ人間になるのか楽しみだな!」

 言われるように二人はまるで窮屈な服を着せられているような感覚があった。でも、それは普段の胴や脚、腕だけでなく頭、しかも顔面も着せられていた。

 「お前らのような格好になるというんかよ! そんなの嫌に決まっているだろ! 身体が自由になったら片っ端から殴ってやる!」

 浩司はそういったが、麻巳をみると彼女はピンク色に染まっていた。膜が色づきだしていた。彼女の自慢の髪の毛は膜の下に消え去り、そして顔は輪郭だけになっており、目も口も鼻も分からなくなっていた。

 「いやー! 人間のままでいたい! なんでもするからやめてちょうだい!」

 麻巳は身体をブルブルさせたが、その間も容赦なく膜はゼンタイへと変わっていた。そして全身に心地の良い感覚を与えていた。心は拒絶しているというのに、身体は受け入れていた。浩司の方を見ると、彼も変化していた。彼は紺色に覆われていた。それはまるで古い特撮作品の戦闘員のようだと思えた。

 「嫌がっても無駄さ! もうすぐ我々の仲間になるのだから。そうすれば感謝するようになるのさ」

 その声を聴いたとき、二人は完全にゼンタイ姿になっていた。ゼンタイ達の仲間になっていた。
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