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改造中!
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ラブドールにされた私の身体は配達の為に箱に入れられている間も、最終調整されていた。その最終調整は配達車の中で行われていた。まず着ぐるみマスクの髪のセット、そして体内の生体維持装置の調整だ。私の肺は液体呼吸状態なので、万が一、破損でも起きたら命に係わる事故につながるからだ。実際にお客様がハードすぎるプレイをしたため、酸素循環機能が低下して心肺停止寸前の状態になったこともあったためだ。
「チェックリスト! まず吸気装置! 作動よし! 酸素交換システム、正常!・・・」
そんなふうに確認するのだ。もちろんラブドールには中の人はいないけど、本物の女の子が入っているかもしれない。そんな触れ込みなので、救助が必要な事態にならないようにチェックされていた。だけど、確認作業される時は私は人形、という扱いだ。ある時、警察の職務質問を受けて警官が確認した時には、等身大のバイオロイド・セクサノイドと説明されたことがあった。
実は、私のように人間の女の子が着ぐるみを着用してラブドールになるのとは別に、リアルなガイノイド(女性型アンドロイド)が存在するのだ。もっとも、そっちのほうは身体こそ人間に近づいていても心の再現までは出来ていなかった。だがら本当にエッチな事しか楽しめないものだった。だから、人間の女の子のように振る舞う着ぐるみタイプのラブドールも需要があるわけだ。
「よーし、ラブローションの充填完了! これでチェックリスト終了!」
そういうと配達車のチェックをする人の声がした。この時、いつも私の眼窩にはめられているVRモニターの電源は落とされているので外の様子は見えなかった。だから真っ暗な中で配達車の中を過ごしているのがいつものことだった。
「いつもだけど、ご苦労さんだねお嬢ちゃんは!」
その声はいつも聞く中年男性らしい声だが、どんな顔なのかは知らなかった。向こうも人形の内臓にされている私の顔は知らなかった。そんな事になるのは、ラブドール製造の現場を配達員は絶対に見てはならないとされているし、ラブドールもジャンヌさん以下、製造ラインの従業員以外は見てはならないとされているからだ。だから町で私の人形姿を見ている配達員と遭遇しても互いに気が付く事はありえなかった。
「・・・」
私は何かを言いたかったけど、58の人工音声機能はオフになっていたので言い出せなかった。あなたは私の今の姿をみてどう思いますかと? するともう一人との雑談が聞こえてきた。
「にしても、この人形の中身ってどこかの女が入っているんだよね? 羨ましいなあと思うんだ」
その声は運転手のようだった。その声は多分大学生といっても構わないぐらいの声だった。そういうことなら、私と同世代なのかもしれない。
「羨ましい? どおしてなんだ? 仕事とはいえ、こんな人形に改造されるんだよ、いつも!」
中年男性がそういうと、こんなことを言った。
「実は、僕はそんな姿になりたいなあという願望があるんです! 人形の中に閉じ込められてしまうの事に!」
「はあ?」
中年男性の呆れた声に私も同感だった。どおしてそう思うの? たしかに人形にされている私は全身気持ち良いけど、それはあくまで着用の苦しみを緩和する薬物のおかげ。だから、本当はこんなモノにされるのは嫌で仕方なかった。
「だって、そうでしょ。こんな可愛らしい姿なのに中では頑張っているんだよね? その頑張っている彼女を想うとなんか高揚するんですよ感情が!」
彼が言いたいことは何となく分かるけど、それって着ぐるみラブドールが好きな殿方と一緒だと思ってしまった。人形になっている女がいうのもなんだけど、何思っているんだよ、この男は!
「チェックリスト! まず吸気装置! 作動よし! 酸素交換システム、正常!・・・」
そんなふうに確認するのだ。もちろんラブドールには中の人はいないけど、本物の女の子が入っているかもしれない。そんな触れ込みなので、救助が必要な事態にならないようにチェックされていた。だけど、確認作業される時は私は人形、という扱いだ。ある時、警察の職務質問を受けて警官が確認した時には、等身大のバイオロイド・セクサノイドと説明されたことがあった。
実は、私のように人間の女の子が着ぐるみを着用してラブドールになるのとは別に、リアルなガイノイド(女性型アンドロイド)が存在するのだ。もっとも、そっちのほうは身体こそ人間に近づいていても心の再現までは出来ていなかった。だがら本当にエッチな事しか楽しめないものだった。だから、人間の女の子のように振る舞う着ぐるみタイプのラブドールも需要があるわけだ。
「よーし、ラブローションの充填完了! これでチェックリスト終了!」
そういうと配達車のチェックをする人の声がした。この時、いつも私の眼窩にはめられているVRモニターの電源は落とされているので外の様子は見えなかった。だから真っ暗な中で配達車の中を過ごしているのがいつものことだった。
「いつもだけど、ご苦労さんだねお嬢ちゃんは!」
その声はいつも聞く中年男性らしい声だが、どんな顔なのかは知らなかった。向こうも人形の内臓にされている私の顔は知らなかった。そんな事になるのは、ラブドール製造の現場を配達員は絶対に見てはならないとされているし、ラブドールもジャンヌさん以下、製造ラインの従業員以外は見てはならないとされているからだ。だから町で私の人形姿を見ている配達員と遭遇しても互いに気が付く事はありえなかった。
「・・・」
私は何かを言いたかったけど、58の人工音声機能はオフになっていたので言い出せなかった。あなたは私の今の姿をみてどう思いますかと? するともう一人との雑談が聞こえてきた。
「にしても、この人形の中身ってどこかの女が入っているんだよね? 羨ましいなあと思うんだ」
その声は運転手のようだった。その声は多分大学生といっても構わないぐらいの声だった。そういうことなら、私と同世代なのかもしれない。
「羨ましい? どおしてなんだ? 仕事とはいえ、こんな人形に改造されるんだよ、いつも!」
中年男性がそういうと、こんなことを言った。
「実は、僕はそんな姿になりたいなあという願望があるんです! 人形の中に閉じ込められてしまうの事に!」
「はあ?」
中年男性の呆れた声に私も同感だった。どおしてそう思うの? たしかに人形にされている私は全身気持ち良いけど、それはあくまで着用の苦しみを緩和する薬物のおかげ。だから、本当はこんなモノにされるのは嫌で仕方なかった。
「だって、そうでしょ。こんな可愛らしい姿なのに中では頑張っているんだよね? その頑張っている彼女を想うとなんか高揚するんですよ感情が!」
彼が言いたいことは何となく分かるけど、それって着ぐるみラブドールが好きな殿方と一緒だと思ってしまった。人形になっている女がいうのもなんだけど、何思っているんだよ、この男は!
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