覆って気持ち良くて楽しんで！

３

　弥和という女の事は顔以外俺は何も知らなかった。ああ、弟の嫁さんのコブみたいなものぐらいにしか思っていなかった。それに、弟一家に対し興味を意図的に持たなかった。生活に余裕もないし忙しいからだ。でも、今は違った。彼女が全身ピンクに染まっているからだ。

　「弥和さん、それってパジャマなの？　君の？」

　俺は思い付きでいった。すると近寄って来た。

　「似たようなものだけどね、これは体形補正スーツなのよ。眠っているうちに生まれ変わったようになって気持ち良いのよ！」

　そういって彼女は俺の顔に手を添えた。その手の感触が気持ち良かった。

　「そんなに着込んでいたら・・・モノ見えてんの？」

　彼女の顔は全て生地に覆われ、鼻筋や眼窩といった凹凸は浮かんでいたが、見えているように感じられなかった。

　「見えているわよ、おじさん。これって気持ち良いのよ。そうだ！　女の部屋に入った罰としておじさんもやってもらうわ」

　この時、俺は間違って義理の妹の部屋に入ってしまった事を思い知らされた。たしかに面倒な事になりそうだったが。でも罰ってなんだ？

　「俺になにをしろというのだ？」

　「そうねえ、私のパートナーになってもらいたいのよ！　いい？　明日お仕事お休みなんでしょ？」

　「そうだけど・・・」

　「とりあえず、いま着ているのを脱いで！」

　ピンクの女に言われ俺は頭がおかしくなったんじゃねえかと思ってしまった。