30 / 39
(参)四龍の勾玉
人外たちの追手!
しおりを挟む
どんな手段で鉄道公安官の制服を手に入れたのか分からないけど、駅から人外たちが勢いよく駆け出していた。それに対して桔梗さんはなにやらカバンから取り出した。
「ちょっと迷惑だけど仕方ないわね。取りあえずは! ちょっと田貫さん向こうむいていて!」
そういって、桔梗さんは棒のようなモノを縁石にこすり付けて追手の前に放り出した。すると、物凄い勢いで煙が上がった。それには広場にいた人たちが驚いていたけど、追手の人外たちはその煙を見るなり倒れこんでしまった。
「桔梗さん、早く逃げましょ! あんなものをここで使うだなんて、人外に捕まるより先に警察につかまりますてば! 商売道具を一緒に持ってくださいよ、まったくもう!」
田貫さんは両目を塞ぎながら走り出していた。その煙には人外たちの動きを一時的に封じてしまう効力があるようだった。取りあえず駅前通りを南の海側に向って走り出して、とあるレンガつくりの古いビルに入った。そのビルが田貫さんのアジトのようだった。
「ふー! どうなるかと思いましたよ全く! あんな禁じ手を使うだなんて! あとで警察に手を回しておかないといけないじゃないですか! あんな事をしたら・・・まあ愚痴はここまでにしておきますわ。
それよりも、そこのお嬢さんが例の勾玉の継承者なわけですか? 本当に占部家も十年も人外たちにバレない様に匿っていたもんですな。あっしもこの依頼を聞くまで知りませんでしたわ! 」
田貫さんも勾玉の事を知っているようだった。もしかすると私よりも。それにしても十年前に叔母に何が起きたというのだろうか? 思い出そうとするけど叔母の事は詳しく分からなかった。分かるのは母とは双子の姉だったということだった。
「そうよ! あたしがね香織、いえ香織さまをお守りしてきたのだからね、完璧なはずだったのよ! まあ、勾玉継承計画は大きく変更を余儀なくされたけどね。それよりも持っているんだろ、あれを!」
「へえ、ちょっと待ってくれまし」
田貫さんは本棚の中から本を取り出すと一枚の紙を取り出した。その紙は不気味な色をしていて読めない字が書かれていたが、一つだけ私が分かるものがあった。私の顔が書かれた。それが人外たちによる私の手配書ってことなの?
「ほお、やっぱりそうだったのか。それにしても、これがそちらに届いたのはいつの事なのか?」
「へい、一週間前ですわ。これを作ったのは闇の世界のやんごとなきお方という触れ込みですが、あてにはなりません。あっしが懇意にしている情報屋から仕入れたのですよ。でも、死んだと聞いていた鳳凰宮香織妃が継承者なんて思いませんでした。それで占部の旦那の耳に入れたら、昨日の夕方になって二人の事を手配しろというじゃないですか! 本当に大変でしたんですよ! 本当なら三日ほしかったですよ! おかげで徹夜でしたよ! 占部の旦那に伝えといてくださいよ! 割り増し手当くれと!」
「わかった! 言っていておくわよ! その文字を翻訳して読んでくれないか? 私も半分しか意味をとれんから」
そういうと、桔梗さんは大きめの銀貨一枚を田貫さんに渡した。それって翻訳のお駄賃のようだった。
「分かりましたよ! えーと。この顔の者は四龍の勾玉の継承者たる鳳凰宮香織である。この者は死んだことにされているが実は生きていて宮の座敷牢に幽閉されている。この者を連れ出し、二つ龍が・・・の島に身柄ともども連れて来る事。それを達成したものには相応の力と富を授ける。なお継承者の生死は問わぬが必ず両者を持参する事。以上!」
私には・・・の発音を聞き取れなかったが、それは人外にしか解せない単語のようだった。でも桔梗さんには理解できたようだ。
「そうかい! また、あれをしようとしているのか、十年前と同じように! でも香織様には出来ないの知らんのかしらん! 継承者であっても欠けているものがあるというのに! 欠けさせることで安全だと思ったんだが・・・何故か知らぬか?」
その意味は分からなかった。でも勾玉の力を使えるのは継承者のみであっても完全に使いこなせるようになるのは、今の私には無理だという事はわかった。
「知りませんよ! 知っていたら、あっしも・・・失礼、あっしは占部の旦那に忠誠を誓っていますから大丈夫です! それにしても、何故軍の輸送船を使わないのですか?」
「当たり前だろ! この国は負けたんだから自由にならんのさ! まさか占領している奴に説明できるか? それよりも輸送船の手配は出来ているんだろ?」
どうも桔梗さんは田貫さんと話す時は口が悪いようだった。だから力関係は桔梗さんの方が上のようだった。
「ちょっと迷惑だけど仕方ないわね。取りあえずは! ちょっと田貫さん向こうむいていて!」
そういって、桔梗さんは棒のようなモノを縁石にこすり付けて追手の前に放り出した。すると、物凄い勢いで煙が上がった。それには広場にいた人たちが驚いていたけど、追手の人外たちはその煙を見るなり倒れこんでしまった。
「桔梗さん、早く逃げましょ! あんなものをここで使うだなんて、人外に捕まるより先に警察につかまりますてば! 商売道具を一緒に持ってくださいよ、まったくもう!」
田貫さんは両目を塞ぎながら走り出していた。その煙には人外たちの動きを一時的に封じてしまう効力があるようだった。取りあえず駅前通りを南の海側に向って走り出して、とあるレンガつくりの古いビルに入った。そのビルが田貫さんのアジトのようだった。
「ふー! どうなるかと思いましたよ全く! あんな禁じ手を使うだなんて! あとで警察に手を回しておかないといけないじゃないですか! あんな事をしたら・・・まあ愚痴はここまでにしておきますわ。
それよりも、そこのお嬢さんが例の勾玉の継承者なわけですか? 本当に占部家も十年も人外たちにバレない様に匿っていたもんですな。あっしもこの依頼を聞くまで知りませんでしたわ! 」
田貫さんも勾玉の事を知っているようだった。もしかすると私よりも。それにしても十年前に叔母に何が起きたというのだろうか? 思い出そうとするけど叔母の事は詳しく分からなかった。分かるのは母とは双子の姉だったということだった。
「そうよ! あたしがね香織、いえ香織さまをお守りしてきたのだからね、完璧なはずだったのよ! まあ、勾玉継承計画は大きく変更を余儀なくされたけどね。それよりも持っているんだろ、あれを!」
「へえ、ちょっと待ってくれまし」
田貫さんは本棚の中から本を取り出すと一枚の紙を取り出した。その紙は不気味な色をしていて読めない字が書かれていたが、一つだけ私が分かるものがあった。私の顔が書かれた。それが人外たちによる私の手配書ってことなの?
「ほお、やっぱりそうだったのか。それにしても、これがそちらに届いたのはいつの事なのか?」
「へい、一週間前ですわ。これを作ったのは闇の世界のやんごとなきお方という触れ込みですが、あてにはなりません。あっしが懇意にしている情報屋から仕入れたのですよ。でも、死んだと聞いていた鳳凰宮香織妃が継承者なんて思いませんでした。それで占部の旦那の耳に入れたら、昨日の夕方になって二人の事を手配しろというじゃないですか! 本当に大変でしたんですよ! 本当なら三日ほしかったですよ! おかげで徹夜でしたよ! 占部の旦那に伝えといてくださいよ! 割り増し手当くれと!」
「わかった! 言っていておくわよ! その文字を翻訳して読んでくれないか? 私も半分しか意味をとれんから」
そういうと、桔梗さんは大きめの銀貨一枚を田貫さんに渡した。それって翻訳のお駄賃のようだった。
「分かりましたよ! えーと。この顔の者は四龍の勾玉の継承者たる鳳凰宮香織である。この者は死んだことにされているが実は生きていて宮の座敷牢に幽閉されている。この者を連れ出し、二つ龍が・・・の島に身柄ともども連れて来る事。それを達成したものには相応の力と富を授ける。なお継承者の生死は問わぬが必ず両者を持参する事。以上!」
私には・・・の発音を聞き取れなかったが、それは人外にしか解せない単語のようだった。でも桔梗さんには理解できたようだ。
「そうかい! また、あれをしようとしているのか、十年前と同じように! でも香織様には出来ないの知らんのかしらん! 継承者であっても欠けているものがあるというのに! 欠けさせることで安全だと思ったんだが・・・何故か知らぬか?」
その意味は分からなかった。でも勾玉の力を使えるのは継承者のみであっても完全に使いこなせるようになるのは、今の私には無理だという事はわかった。
「知りませんよ! 知っていたら、あっしも・・・失礼、あっしは占部の旦那に忠誠を誓っていますから大丈夫です! それにしても、何故軍の輸送船を使わないのですか?」
「当たり前だろ! この国は負けたんだから自由にならんのさ! まさか占領している奴に説明できるか? それよりも輸送船の手配は出来ているんだろ?」
どうも桔梗さんは田貫さんと話す時は口が悪いようだった。だから力関係は桔梗さんの方が上のようだった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる