乙女ゲームの悪役ボスに生まれ変わったけど、ヒロイン可愛すぎてつらい。

ファネシス

文字の大きさ
15 / 60
第1章

11

しおりを挟む
さて、まずは材料を選ぶところからだ。液体を二種類混ぜ合わせるので二つ選ぶことになる。

何種類ものカラフルな液体が教壇に置いてあり、好きなものを混ぜ合わせるらしい。
ちなみに効果はどれがどれだかわからない。

成功させてからのお楽しみ。その方が面白いでしょ?

とキリトがニコニコと笑いながら言っていた。悪趣味である。
 
「どれにしましょうか?」

フィオナは目をキラキラと輝かせながら、液体を見ている。やはり女の子だから、こういうモノは興味をそそるのだろう。

見ると他の女生徒達が机の周りを囲んでキャイキャイと楽しそうである。

「僕は何でも構わないから、二人で選ぶといい。器具は準備しておこう。」

ルヴィナスはそう言って輪の中を離れていった。

「うーん、効能もわからないのに選ぶのもなんだか怖いわね。」

キリトが選んだ薬剤ということで、少し疑ってかかる私。面白半分に変なものいれていそうだ。

「そんな危ないものは置いていないと思うけど……。」

フィオナは少し困ったように苦笑した。

暫くして、私は青い液体を選んだ。なんとなく綺麗だなと思ったからだ。
フィオナはピンク色の液体を選んだ。かなり悩んでいて、最終的に目をつむって指をさしたものに決定したようだ。

「ふんふん、なるほど~。その液体を選んだんだね~。」

キリトは私達が選んだ液体を見比べながらニヤニヤとしていた。一体なんだって言うんだ。

「一体なんの効果になるのか楽しみですね~。」

フィオナは可愛らしい笑顔を浮かべている。純粋に楽しみにしているようだ。
そんな笑顔を見ると癒される。

私達は選んだ液体をそれぞれ持ちルヴィナスのところへと戻った。

「じゃあ、始めましょう。」

温度を上げる係は火魔法が得意なルヴィナス。かき混ぜ係は最初はフィオナが行い、次に私が行うことになった。

フィオナとルヴィナスは順調に進めていった。

他の班は液体が混ざらなくて分離してしまったり、なぜか爆発しているところもある。力が弱すぎると分離してしまい、力が強すぎると爆発するようだ。

力加減が難しいというキリトの言葉は本当らしい。

「ふぅ、なかなか集中力がいるね。」

フィオナが少し疲れた風に額を手で押さえながら呟いた。

「変わろうか?」

「そうね、お願いしようかな……。」

「うむ、では僕はこのまま火魔法をかけ続けるから二人とも慎重に交代するんだぞ。」

ルヴィナスが注意をかける。
よし、まずフィオナの魔力を感じて……。

カタカタカタカタ……

その時、液体を入れていたビーカーが揺れ始めた。フィオナと私の魔力が干渉しあったからかもしれない。それとも、力加減のさじ加減が急激に変化したのが原因だったのかもしれない。
ビンの揺れがひどくなり、私達が手を打つ前に爆発した。

「きゃっ!」

液体がフィオナの方へ飛び散る。

フィオナを守らなければ!

私はとっさにフィオナへ覆いかぶさる。 
押し倒すような形になってしまったが不可抗力だ。うん。
ちょっとだけ、ラッキーと思っていたのもつかの間。

「あちっ」

液体が私に飛び散った。
火で温めると言ってもそんなに高温ではなかったのが幸いで、これといってダメージはなかったが、とても甘い香りが鼻につく。だが、慣れるととても心地よい香りだ。

なんだか、とってもいい気分。
もしかして、これがマジックキャンドルの効果なのか……?
思考がふわふわとして曖昧になっていく。夢心地。幸せな気分。

「シェリア! 大丈夫?」

私の体の下には愛しいフィオナ。
私を心配してくれているのね。とってもいじらしくて可愛らしい。
彼女の頬に手を伸ばし、触れる。繊細なガラスの置物に触れるみたいに。そう、彼女はとても美しい心を持ってる。でも、綺麗な心は壊れやすいからとっても大切にしなくてはね。

「私を心配してくれるのね。フィオナ。ありがとう。とても嬉しいわ。」

少し戸惑って目をキョロキョロさせるフィオナ。そんな様子も小動物を連想させるようで可愛らしい。
ああ、こんな可愛らしい生き物がいて良いのかしら?
触っても大丈夫かしら?
壊れないかしら?

でも、私はフィオナの可愛さに我慢できずそっと彼女の頬へと口付ける。壊れないように。そうっと。

「きゃっ!?」

フィオナはとても驚いたようで、可愛らしい声をあげて顔を真っ赤にしている。
まあ、なんて可愛らしいんでしょう。

「お、おい。変態教師。これは一体どういうことだ!?」

後ろでルヴィナスが声をあげている。
私達の邪魔だわ。ちょっと無粋ね。
周りの生徒達もこちらに釘付けになってみている。野暮な人達。

「んー。彼女達が混ぜていた薬品は好意の感情を伝えやすくするためのものだったんだけど……。」

「どういう事だ?」

「彼女は原液をかぶって香りに酔ってる。効果が強まってるんだろう。今の彼女は惚れ薬を飲んだみたいなもんかな。」

「なんだと!」

「本当は告白する時とかに用いられるものなんだよ。ここまでの効果が出るほどじゃない。」

「あ、あの……! シェリア。これ以上は……!」

フィオナが手で私の顔を押さえる。私はフィオナのおでこや頬、髪、首筋に口付けていた。だって、あまりに愛らしいんだもの。
ああ、でもこれ以上してしまうと可哀想ね。フィオナの顔が、甘く完熟したリンゴのように赤くなっているから。

「お前、フィオナから離れろ。」

ルヴィナスが私の手首を掴んで引っ張り、私の体を無理やりフィオナから引き離す。
もう少しフィオナに口付けていたかったけど仕方がない。
私はルヴィナスの方へくるりと体を向き直し、彼を見つめる。

「な、なんだ。」

ルヴィナスは私と目があうとビクッと肩を震わせ目線をそらす。
可愛い!
この子もなんて可愛いのかしら!
よく顔を見ると照れているのかほおが赤いのがわかる。目があうだけで頬を染めるなんて、まるでどこかの深窓の令嬢のようだ。

「ルヴィナス、貴方ってとっても愛らしい人なのね!」

「へっ!? あ、あいらしい?」

思わず彼に抱きつく。彼はピシッという音が聞こえてきそうな位に動きを止めて固まってしまった。

「ええ、とっても愛らしいわ。」 

私は彼の頬にチュッと音を立てて口付ける。

「ひゃっ……!」

まるで女の子みたいな声を上げるルヴィナス。ああ、本当に本当に可愛らしい!

「やめ……」

頬に口付けていた唇を下に下ろしていき、首筋をくすぐるようにたどっていく。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

今日も学園食堂はゴタゴタしてますが、こっそり観賞しようとして本日も萎えてます。

柚ノ木 碧/柚木 彗
恋愛
駄目だこれ。 詰んでる。 そう悟った主人公10歳。 主人公は悟った。実家では無駄な事はしない。搾取父親の元を三男の兄と共に逃れて王都へ行き、乙女ゲームの舞台の学園の厨房に就職!これで予てより念願の世界をこっそりモブ以下らしく観賞しちゃえ!と思って居たのだけど… 何だか知ってる乙女ゲームの内容とは微妙に違う様で。あれ?何だか萎えるんだけど… なろうにも掲載しております。

この悪役令嬢には悪さは無理です!みんなで保護しましょう!

naturalsoft
恋愛
フレイムハート公爵家令嬢、シオン・クロス・フレイムハートは父に似て目付きが鋭くつり目で、金髪のサラサラヘアーのその見た目は、いかにもプライドの高そうな高飛車な令嬢だが、本当は気が弱く、すぐ涙目でアワアワする令嬢。 そのギャップ萌えでみんなを悶えさせるお話。 シオンの受難は続く。 ちょっと暇潰しに書いたのでサラッと読んで頂ければと思います。 あんまり悪役令嬢は関係ないです。見た目のみ想像して頂けたらと思います。

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

社畜の私は異世界でも社畜精神が残ったままだった

木嶋うめ香
恋愛
貴族学園の小さな部屋で、私は一人書類仕事に追われていた。 今日も寮には帰れそうにない、机の上には大量の未処理の書類。 せめて空腹を紛らわそうと、ビスケットを鞄から取り出し水を汲んでこようとして立ち上がった途端、視界が暗くなり倒れた。 床に倒れた反動で、頭を床にぶつける。 その衝撃で思い出した、私は前世ブラック企業に勤めていた社畜で、二十三連勤サービス残業付きの末、体調を崩し亡くなったアラサー営業職だった。 他サイトでもアップしています。

【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした

果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。 そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、 あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。 じゃあ、気楽にいきますか。 *『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。

処理中です...