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しおりを挟むデート、と聞いて玲衣は頬を染め、哲哉は愕然とした。
(僕が、哲哉さまとデート!)
(私が、デートなどと浮ついたことを!?)
「屋台の並びを抜けると、その先にホタルのスポットがあります。後は、お二人でどうぞ」
当然のように抜かす池崎に一睨みくれると、哲哉は歩き始めた。
後を、慌てて玲衣が続く。
「……」
「哲哉さま、怒っておいでですか?」
「いや、怒ってはいない」
「やっぱり、怒ってます……」
少し下を向く玲衣に、哲哉は声を掛けた。
「驚いただけだ。それに、思い出が俗世にまみれているので、悲しい」
「哲哉さま」
そういえば彼は、子どもの頃に両親とここへホタルを観に来た、と話していたのだ。
(大切な思い出だったんだろうな)
しょんぼりとしてしまった玲衣を見て、哲哉は反省した。
(今度は私が、この子に思い出を作ってあげる番ではないのか?)
そこで、顔を上げて周囲を見渡した。
「玲衣、何か欲しいものは無いか?」
「え?」
「買ってやる。選べ」
「は、はい」
玲衣は、露店を見渡した。
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