月まで連れてって 恋に戸惑う闇クラブオーナー・アルファ×弟の為に身を売る健気・オメガ ~上下関係を越えた愛が生まれる~

大波小波

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 思いがけないセクシャルな遥の言葉に、了はドキリとした。
「遥、やけになってないか? 自分は大切にしなさい」
「了さん、最近全然僕を抱いてくれませんよね? なぜですか?」
 僕のこと、嫌いですか?
 ぽろぽろと涙をこぼしながら訴える遥に、了は降参した。

「嫌いになんかなるもんか。私はね、航大くんに遠慮してただけだ」
「遠慮?」
「遥には、一番好きな人がいる。そう知ったからには、とても抱けないよ」
「了さん……」
 バスローブ姿の遥が、了の胸にすがる。
 石鹸の香りとオメガのフェロモンとで、了はのぼせそうだった。
 脳をかき回され、熱い衝動が沸き上がって来る。
 最後の理性を振り絞り、了は大切なことを口にした。

「でもね。私にとっての一番は、遥。君なんだ」
「えっ?」
「好きだよ、遥」
 できれば、二番目から一番に昇格させて欲しい、とは言えなかった。
 遥は一番好きな人を、失ったばかりなのだから。
 さあ、と了は遥の肩に手を乗せた。
「お薬を、飲むんだ。フェロモンにイカレたアルファに、抱かれたくはないだろう?」
 しかし遥の返事は、キスだった。
 背伸びをし、了の唇に口づけた。

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