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1話 最高にハッピー

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 潮の香りがする。
 生命の溢れる、磯の匂いではない。
 清々しい、風に乗って運ばれてくる、海原の香り。
 そんな潮の香りに、甘いココナッツの匂いが混じる。
 まぶしい日の光。
 青い青い空。
 真っ白なビーチに、エメラルドグリーンの海。
「ここ……天国?」
「縁起でもないことを言うな」
 悠と慎也は、目的地の南の島に到着した。
 美しい自然にはそぐわない、現代的な高級ホテルでチェックインを済ませ、慎也は悠を海辺へといざなった。
 そこには、数軒の水上コテージが並んでいる。
 植物の葉でできた三角屋根と、高床式の造りだ。
「ここで寝泊まりする」
「嘘! すごい素敵!」
 日陰に入ると、外はカラリとした気候ではあるものの、日差しは相当強かったのだということを実感する。
 屋内にはベッドやソファ、籐で出来た椅子がしつらえられ、南国の花で飾られていた。
「あ、見て! 床がガラス張りになってて……お魚が見える!」
 キャッキャとはしゃぐ悠に、慎也はこれまた苦笑いだ。
「気に入るかとは思ったが、予想以上だな」
「うん。すごく気に入ったよ!」
 青い空、緑の山、エメラルドグリーンの海。
 それらを二人で、改めて眺めた。

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