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しおりを挟む電車を降りた駅から、学校までの道のりを、要と宇実は並んで歩いていた。
友達は、いらない。
恋なんか、しない。
そんな風に再度誓いながらも、風のように現れた要の存在が、宇実の心をかき乱していた。
一方で、何やら落ち着かない様子の彼を、要は案じた。
(先ほど、電車で性被害を受けたばかりなんだ。大丈夫かな)
学校に着いたら、保健室に行って、心のケアを受けた方がいいかもしれない。
心配している要の心中も知らずに、宇実は彼を試すようなことを口にした。
「僕は、友達いないんだ。休み時間も、一人で過ごすよ」
「そう。でもそれは、気にしたり、恥じたりすることじゃないよ」
人間生きていれば、一人で過ごしたい時期もあるだろうから、と要は言う。
「それに、清水くんは親切でいい人だよ。こうして私を、学校まで案内してくれるんだから」
「ありがとう」
宇実は、ホッとしていた。
(天羽くんは、上から目線で人間を差別をしない人なんだ)
それだけで、目の前が明るくなった。
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