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 徹は、声を立てて笑った。
 この馬鹿正直なところの、何と可愛いことか!

「私と一緒にいる以上、時々は付き合ってもらうぞ」
「コーヒーなら、お付き合いします」
「お堅いなぁ」

 じゃあ、と徹は樹里に顔を近づけた。

「綾瀬さん? あ、やせ、さ……」

 樹里は、そのまま口を塞がれた。
 深く繋がってくる、徹の唇。
 忍び込んできた舌からは、ブランデーの香りがした。

「ん、っく。ぅん、ん、ぅ……」

 ああ、いい香り。
 これが、ブランデーの味。
 綾瀬さんの香り。

 樹里は、酒の香りに、徹の香りにひどく酔った。
 甘くて、ビターな大人の香り。
 そしてちょっぴり、危険な香り。

 せっかくのスーツが、皺になってしまう。
 それほど長い時間をかけて、樹里はソファに寝かされ、たっぷりとキスをもらった。



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