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しおりを挟む第二性がアルファの涼真には、アルファゆえの悩みがある。
涼真は、アルファとして生まれたために、両親から厳しく育てられた。
その期待は、ひどく大きく重く、彼を苦しめた。
常に、トップを走り続けること。
2番では、ダメ。
絶対に、首席。
小学生での徒競走すら、誰かと一緒に仲良くゴールイン、など許してもらえなかった。
しかし涼真は、明るく優しい性格だったので、友達は多かった。
それでも、孤独だった。
テストで優秀な成績を収めても、スポーツで活躍しても。
描いた絵をコンクールで表彰されても、掛けられる声はいつも同じだった。
『武藤は、アルファだからな』
そんな涼真の気持ちを、いつか瑞に話す日がくるのだろうか。
「……無いな」
オメガの運命に苦しんでいる、瑞だ。
涼真のアルファの悩みなど話しても、嫌味にしか聞こえないだろう。
「罪な奴だな、白河くんは」
そう呟いて、彼の鼻をそっとつまんだ。
「ぅん……」
「時間だよ」
平和な昼休みは、終わった。
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